Vol.537「対米外交自立68%の激増」
(2025.5.13)
【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…4月27日の朝日新聞1面に載った記事には驚いた。戦後80年に当たって朝日新聞社が行った全国世論調査で、「日本の外交は、アメリカの意向になるべく従ったほうがよいと思いますか。それとも、アメリカの意向からなるべく自立したほうがよいと思いますか」という質問に対して、「なるべく自立」が68%にも上り、「なるべく従う」は24%に留まったという。同様に、「日本とアメリカの間には、日米安保条約があります。いざという場合、アメリカは本気で日本を守ってくれると思いますか。そうは思いませんか」という質問には、「そうは思わない」がなんと77%!「本気で守ってくれる」はわずか15%だったというのだ。これはまさに、驚くべき変化である。かつてアメリカのイラク侵略を批判して対米自立を訴え、猛烈なバッシングを受けたわしから見たら、まさに隔世の感がある。なぜ、このような劇的な変化が起きているのか?時代の変化、世の中の風潮とは何なのか?今、忘れられつつある過去とは何か?
※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…さららと草壁皇子を含むわずか30名の大海人皇子一行は、近江朝廷・大友皇子を討つべく吉野を発った。琵琶湖の南側を迂回して不破道(岐阜県不破郡)へと進む道中では、大海人に味方する豪族や猟師などが加勢。大海人の息子・高市皇子(21)も無事に近江を脱出し、武人を引き連れて合流。強行軍に心身ともに疲労困憊のさららだったが、伊勢国の空に現れた荘厳な太陽に心を打たれる。そして、ようやく大海人の挙兵を知った近江朝廷は慌てて動き出すが……!?
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」…昨今、若者の間で広がっている「人間関係リセット症候群(リセット癖)」をどう思う?日本の女性インフルエンサーがドバイへ出稼ぎ(売春)に行っている!?最新号の「ゴー宣」でも描いていた衛藤晟一(自民党)は、薬害エイズ訴訟の時もトンデモ発言をしていた!夫婦別姓は、社会の男系概念を残す方向で使われる場合が多くなるのでは?若い人との付き合いで心掛けていることはある?大阪・関西万博にお出ましになった愛子さまをどう見た?…等々、よしりんの回答や如何に!?
1. ゴーマニズム宣言・第566回「対米外交自立68%の激増」
世の中の風潮は、時に大きく変化する。
その変化を特定の誰かが起こす場合もあるのだが、それは至難の業である。
ところがその時代を経験していない世代は、今ある風潮を当たり前に存在するものと思ってしまう。
だから、かつてはどうだったかということを語り伝えるのは、古い世代の責務ともいえよう。
4月27日の朝日新聞1面に載った記事には驚いた。
戦後80年に当たって朝日新聞社が行った全国世論調査で、「日本の外交は、アメリカの意向になるべく従ったほうがよいと思いますか。それとも、アメリカの意向からなるべく自立したほうがよいと思いますか」という質問に対して、「なるべく自立」が68%にも上り、「なるべく従う」は24%に留まったという。
同様に、「日本とアメリカの間には、日米安保条約があります。いざという場合、アメリカは本気で日本を守ってくれると思いますか。そうは思いませんか」という質問には、「そうは思わない」がなんと77%! 「本気で守ってくれる」はわずか15%だったというのだ。
記事では、「調査方法などが異なるため単純な比較はできない」としながらも、過去の調査では対日防衛懐疑派は多くても6割弱で、今回は突出していると書いている。
これはまさに、驚くべき変化である。
かつてアメリカのイラク侵略を批判して対米自立を訴え、猛烈なバッシングを受けたわしから見たら、まさに隔世の感がある。
だが、アメリカが「世界の警察」を標榜していた時代を知らず、傍若無人に「アメリカファースト」を主張するトランプ政権のアメリカしか知らない世代が出てきたら、アメリカ依存なんかできるわけがないと思うのが当たり前になるだろうし、2025年に「驚くべき変化」が起きたということも理解できなくなってしまうかもしれない。
先週、7月12日に開催する「小林よしのり50年祭り」の第1部で予定している議論のテスト動画を収録した。
『戦争論』について、作者のわしを交えずに読者だけで議論をするという初めての試みなので、本当にやってみて面白いものになるのか、一度テストしてみる必要があったのだ。
そうしてみたら、予想以上にものすごく面白いものになった。
『戦争論』を出版したのは1998年、今から27年も前だ。世紀も変わり、元号も変わった。それだけ経てば、その時代を経験した人でも当時の感覚を忘れかけていたりもする。
だが若い時に衝撃を受けた経験については、その記憶は決して消えないものだ。『戦争論』を学生時代にリアルタイムで読んだ世代も既に40代以上になるが、みんな当時の感覚を鮮明に覚えていて、当時の時代状況がどうで、その中で『戦争論』がいかにインパクトのあるものだったかということを口々に語っていた。
それで、聞いている方も当時の感覚を思い起こされて、これが非常に面白かったのだ。
今の20代くらいの人には、『戦争論』を出版した当時の世間の風潮は「自虐史観」一色だったという感覚もよくわからないかもしれない。
とにかく戦争をした日本は完全なる「悪」であり、戦前・戦中は暗黒時代だったという「自虐史観」以外の見方は許されないというのが当時の風潮だった。もちろん「大東亜戦争肯定論」なんか最大のタブーであり、「大東亜戦争」という歴史的な用語を口に出すことすらはばかられていたのだ。
その結果、全ての中学歴史教科書に「従軍慰安婦」が掲載されるに至り、これを機に、自虐史観教育の是正を目指した「新しい歴史教科書をつくる会」が結成された。
そしてわしは初代会長の西尾幹二に誘われ、この運動に加わったのだった。
ところが当の「つくる会」ですら「大東亜戦争肯定論」は極端だとして、そんなことを唱えたら「右翼」と見られて運動の障害になると考えていた。
もともとの「つくる会」の歴史観は、明治までの日本は立派だったが、昭和の日本はダメだったという「司馬史観」であり、そのため江藤淳や渡部昇一、中村粲、そして西部邁といった大東亜戦争肯定論者は意図的に排除していた。わしが誘われたのも、その頃はまだ明確に大東亜戦争肯定論を打ち出していなかったからだったのだろう。
だがわしはそんな会の内部事情など一切知らず、その後に平然と「大東亜戦争肯定論」を誰よりも強力に描き始めたものだから、会の方ではさぞかし相当に慌てたことだろう。実際、「大東亜戦争肯定論は言い過ぎだ」などと言われることもしばしばあった。
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小林よしのりライジング
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。 毎週、気に…


購入者のコメント
49大分、遅くなりました、今号の感想です。
少し体調を崩しており、感想が遅くなりました。申しわけないです。
このところ、「世代感」というTV朝日の土曜夜の番組を見ているのですが、常識は時代や世代によってかわるものなのだな、文明の発達と文化や風俗の変遷によっても異なってしまうのかなと思いつつ、見ています。たとえが違うのかもしれませんが、「戦争論」や「同時多発テロ」のことなども(多分、「コロナ」のことも)同じではないか、と思います。
しかし、その成果を目のあたりにできない場合も多いことは、悲劇なのでしょうか?
にしても、自分に都合の良いときだけ、「戦争論」を持ち上げ、そうでない時はバッシングする「保守層」は…ふさけんじゃニャーゴ、でしょう(しかし、人間はそんなものなのかも知れない…)
もくれんさんの久しぶりの「壬申の乱」・「持統天皇」の連載ですが、(以前にもコメントしたように覚えているのですが)地図をみていて、名阪国道・東名阪自動車道・そして、関ヶ原までの東名・名神高速道路だな、と思いました。昔から、この道は重要なものなんだな、とも。
(この話とはあまり関係ないのですが)のちに天武天皇は長野に副都を築こうと調査をさせるのですが、都市建設や交通のことには以前からかなり留意していたのでしょうか?そんなことも思い出しました。
吉備の国司は、近江側の使者に殺されたという話も、つけ足しておきます(大海人に味方しようとしたことを感づかれて)。しかし、徴兵はできなかったわけです。
とりあえず、次回の展開を期待します。
しゃべくりのネタですが、「夕やけに拍手」は、小学校時代に合唱コンクールなどでよく歌った曲で、「今日の日はさようなら」とともに、思い出深い曲です。やなせたかしさんの作品だったのは知らないでいました。今調べたら、(「みんなのうた」で流された)「天使のパンツ」もそうみたいですね。
それと、「ニャンダーかめん」、2000年頃のアニメなのですが、日曜朝によく見ていました。(魔法少女「ファンシーララ」の主題歌歌手や主演をされた)大森玲子さんが歌っていた、「夢のマント」も好きでした(途中で忙しくて見られなくなりましたが)。悪者が基本的にいない世界で、人気者投票が主題の話だったのですが、主人公の(普段は弱虫でぼーとしている)ニャーゴも好きでしたが、ライヴァルのニャオンの、(功名心からではあるけれども)英雄になろうと努力奮闘して、殆ど報われない姿にも惹かれるものがありました。
こんなところです、少し疲れ気味なので…こんなところで、すみません。本当に遅くなってすみませんでした。<(_ _)>
それでは次号を期待します。
ゴーマニズム宣言・第566回「対米外交自立68%の激増」拝読しました。
あの傍若無人なアメリカ第一を連呼するトランプを見てれば、「アメリカについて行けば大丈夫!」なんてとても思えないでしょう。
ついて行こうものなら、確実にとばっちり食らうこと確実。
これを気に、「依存をやめて自立した方がいい」と考える人の割合が増えるのも当然のことでしょう。
時代は変わるのです。