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「夏の甲子園」の暑さ対策についてガチファンが思うこと/その③ 甲子園ドーム化論への見解

こんにちは!

「夏の甲子園」の酷暑問題について、これまで大会批判への見解と、ドーム開催・移転開催論についての見解を述べてきました。今回は暑さ対策について考えたいことの第三弾として、ドーム開催論と同様によく叫ばれる「甲子園のドーム化」についての見解を述べていきます。どうぞ宜しくお付き合いください。

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ドーム開催論と同じく叫ばれ続ける甲子園の「ドーム化」

酷暑問題を語る際、前回考察した「ドームでやれ」案と同じくらいよく目にするのが、「甲子園をドームにしろ」という意見です。こちらもドーム開催論と同様、「暑さだけ」を解決したい場合の効果的な案として誰もが思いつくことができる発想です。そしてまた、この意見も高校野球に精通していない人ほどよく挙げがちですが、ガチファンや有識者からはほぼ聞かれません。なぜなら、今の甲子園球場をドーム化することは、夏の選手権のドーム開催よりもはるかに困難であり、非現実的だからです。

そもそもの前提

この意見について考える上でまず前提として押さえておかなければならないことが、この意見を高野連に言ってもどうしようもない、という点です。甲子園は高野連ではなく阪神電鉄の所有物ですので、ドーム化しろという声、批判を高野連にぶつけるのは間違いで、阪神電鉄やその他関連企業、自治体を説得する必要があります。また、当然ながら甲子園をドーム化する場合、莫大な建設費と維持管理費がかかり、その時点でかなりのハードルとなります。
そしてこれは前回も述べましたが、甲子園をドームにしたところで根本的な暑さ対策の解決案にはならないということを改めて述べておきます。いくら甲子園を涼しくしたところで、地方大会を戦う全国の99%の高校球児にとっては何の対策にもなりません。こちらもドーム開催論と同じで、表面的なうわべだけの解決策に過ぎません。

これらの前提をふまえた上で結論から言うと、今の甲子園球場をドーム化するのはほぼ不可能です。その理由は大きく3つあります。

立地の問題

まず一つ目の理由は、立地の問題です。グーグルマップなどで航空写真を見るとよくわかりますが、甲子園球場はすぐ真横を阪神高速と幹線道路が通っており、周囲は住宅密集地となっています。あれほどの巨大なスタジアムをさらにドーム化するとなるとかなりの大規模工事となりますが、まずそのためのスペースがそもそも足りません。また、建造物に関するさまざまな法的問題や条例をクリアする必要もあるでしょう。甲子園球場はそもそも、ドーム化工事をすること自体が立地的に非常に困難なのです。現在の立地でドーム化するということは、自治体や周辺住民を巻き込んだ一大事業となり、莫大な資金と入念な下準備が必要となります。

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甲子園球場周辺の航空写真(Google Mapより)

耐久性の問題

次に2つ目の理由として、甲子園球場の耐久性の問題があります。甲子園は昨年(2024年)で生誕100周年を迎えた、非常に歴史ある古い建築物で、老朽化も激しいです。時代を経る中で数度に及ぶ改修や耐震工事は行われてはいるものの、老朽化により耐久性はどうしても落ちてしまっています。その上、そもそもドーム化することを考えた設計にもなっていないため、今さらドーム化するのは無理難題です。
この点を説明すると必ず、「西武ドームのように屋根で覆えばいいじゃないか」と言う人たちが出てきます。しかしこれも、現実的ではありません。今の甲子園球場をすっぽり覆う屋根を作るとなると、球場周辺に巨大な支柱を何本も建てる必要があり、前述の通り甲子園にそんな土地はありません。スペースがないとなれば、現在の観客席を取り壊して支柱を建てれば不可能ではないかもしれませんが、その場合は観客席が大幅に減ることで減収につながり、阪神電鉄側は絶対に反対するでしょう。西武ドームは西武球場として1979年に完成し、1999年に現在の屋根が取り付けられドーム化されましたが、丘陵地帯の地面を掘り下げる形で作られており、初めから将来的なドーム化を構想した設計で建設されました。もともと屋根を支える土台が球場の周りを囲っていたため、屋根を付けることが可能だったわけです。甲子園とは条件が全く異なるため、同列に語ることは安直すぎます。

それ以外にも、屋根をつけると甲子園の天然芝は必然的に人工芝に張り替える必要がありますし、夏場は熱がこもる等の問題もあり、熱中症対策の効果もそれほど期待できません。逆に体調不良者が続出する恐れすらあります

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「屋根をつけろ」派が代表例としてよく挙げる西武ドームも、真夏はかなり過酷な環境となる。

「重要文化財」としての問題

3つ目の理由として、「重要文化財」とも言える甲子園球場そのものの価値が損なわれるという問題があります。前述の通り、甲子園は建造から100年という歴史を持つ古いスタジアムであり、文化的、建築学的にも非常に価値のある建造物です。そのような建造物を、原型を止めないほど改修してしまうことは、積み上げてきた歴史的価値をも損なうことになってしまい、これについては野球界だけでなく、財界、政界、一般市民も巻き込んだ大規模な議論が必要となるでしょう。

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甲子園球場は今から100年以上前の1924年8月1日に竣工された、歴史ある建造物だ。

新ドーム球場を建てるしかない

こうした諸問題を見ていくとわかる通り、甲子園球場をドーム化するのはかなり現実味がありません。どうしてもドーム化するならば、すべて解体し、新たに一から小規模なドーム球場を作り直すしかないでしょう。その場合も、じゃあ工事の間、大会はどうするの?阪神タイガースはどうするの?といった、致命的な課題が発生します。ただし、今の甲子園球場の場所にこだわらないのであれば、別の場所に新たなドーム球場を建設するという手があります。

実はかつて、甲子園にドーム球場を建設する構想が浮上していたことがありました。これは甲子園に隣接していた「阪神パーク」を閉園し、その跡地(現在の甲子園ららぽーと)に新甲子園ドームを建設しようという話で、1993年に検討された計画でした。しかし、バブル崩壊の余波と阪神大震災の影響で阪神電鉄やその他阪神地域の企業、自治体の体力が軒並み削ぎ落とされ、この計画は白紙となってしまいました。

この時もし本当にドーム球場が建設され、大会運営が移行されていれば、少なくとも暑さ対策について現在のような賛否は起きていなかったでしょう。元祖・甲子園球場が取り壊されていたかどうかはわかりませんが、「甲子園」という土地に建設されるのであればドーム球場であってもそのブランド力はなんとか維持されていたかもしれません。もっとも、この計画が出た当時はドーム化を拒否する声が多く、果たして現実味があったかどうかは怪しいですが…。

おわりに:「ドーム化論者」へのススメ

以上、ここまで甲子園のドーム化論について考察してきました。この意見は甲子園に行ったことの有る無しに関わらず主張する人が多く、割と切に願っている人もいるようです。現在の甲子園球場をドーム化することはほぼ不可能であり、近隣にももう土地は余っていませんが、甲子園浜あたりを埋め立てて小規模なドーム球場を建設する、といった妄想は僕も好きですので、ドーム化を望む人は新ドーム球場建設に舵を切り力を注ぐことをオススメします。
また、「屋根をつけろ」派の人たちは、果たして夏の西武ドームに行ったことがあるのでしょうか?一度でも行ったことのある人はわかると思いますが、屋根を取り付けただけの球場は熱の逃げ場が少ないため、熱が場内に溜まってしまい、空調も効かないので蒸し風呂のような暑さになります。壁面がないため日差しも入り、雨の日は湿気も溜まります。こういった問題により、西武ドームでは夏場にデーゲームは行われていません。
「甲子園は海に近く、浜風が吹くから熱はこもらない」という意見もどこかで見かけたことがありますが、これは甲子園に行ったことのない人の意見だと思います。一般的に甲子園=浜風というイメージは付き物ですが、浜風なんて常に吹いているわけではなく、観客席では風を感じることの方が少ないです。また、吹いたとしてもその強さは日によって当然違います。真夏の凪の時間帯などは、もう本当に地獄です。そこに蓋をするなんて、考えただけで恐ろしいです。その上人工芝への改造も余儀なくされる訳ですが、一体これのどこが選手ファーストになるのでしょうか。
「屋根をつけろ」派の人たちには、甲子園に屋根をつけることがまずかなり困難で、つけたところで別の弊害が起きる、ということを知ってもらいたいです。

さて、ここまで三弾に渡り夏の選手権の暑さ対策への見解を長々と述べてきました。次回はいよいよ、現在進行形で物議を醸している、7イニング制について語りたいと思います。引き続き宜しくお願いします。

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高校野球を年間70~100試合ほど現地観戦している関西在住の高校野球ファンです。近畿の高校野球の話題を中心に、ライト層からコア層のファンまで楽しめるような有益な記事を投稿していきたいと思います。 宜しくお願いします。
「夏の甲子園」の暑さ対策についてガチファンが思うこと/その③ 甲子園ドーム化論への見解|しんのG
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