「守秘義務は絶対」?実は“解除できる条件”がある件
守秘義務は解除できる?〜一見絶対のようで、実はそうでもない話〜
「その話、守秘義務があるから言えないんだよね」。
ビジネスでもプライベートでも、そんなセリフを聞いたことがある人は多いはず。秘密を守るのは信用の土台。だからこそ、「守秘義務」はとても大切だ。でも実は、この守秘義務、条件付きで“解除”できることがあるってご存じだろうか?
今回は「守秘義務って絶対じゃないの?」「解除ってどういうときに?」といった素朴な疑問を、カジュアルに解きほぐしていく。
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守秘義務ってそもそも何?
まず基本から。守秘義務とは、業務上知り得た秘密を他人に漏らしてはいけない義務のこと。たとえば:
• 会社員なら、社内の機密情報や顧客リスト
• 医療従事者なら、患者の病状や診療内容
• 弁護士なら、依頼人の相談内容
といった具合に、職業や立場によって対象は異なるけれど、「知ってしまった情報を、勝手に外に話さない」という共通点がある。
この義務には大きく分けて2種類がある。
1. 法律に基づく守秘義務(法的義務)
例:医師法・弁護士法・公務員法など
→破ると罰則や処分の対象になる。
2. 契約に基づく守秘義務(契約義務)
例:雇用契約書やNDA(秘密保持契約)など
→違反すれば損害賠償請求の対象に。
つまり、「法的義務」と「契約的義務」があり、どちらも重いものだということは間違いない。
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守秘義務は絶対なのか?
では、この守秘義務は「絶対に破ってはいけない」のだろうか?
答えは、「原則としてはYES、でも例外もある」。
たとえばこんなケースでは、守秘義務が“解除”される(または正当化される)ことがある。
1. 本人(情報の提供者)の同意がある場合
「その話、もう公開していいですよ」と情報の出どころが許可すればOK。契約書でも「書面での同意により解除できる」と明記されていることが多い。
2. 法令や裁判所からの命令がある場合
警察や裁判所などの公的機関から「情報提供を求められた」とき。これは「守秘義務より法令が優先される」というパターン。たとえば、証人として出廷する、税務調査で開示が必要、など。
3. 公益性がある場合(内部告発など)
企業の不正や法令違反を知ったとき、「このまま黙っていたら多くの人に被害が出る」と判断された場合。
このときは「公益通報者保護法」という法律に守られるケースがある。ただし、通報先や手順を間違えると逆に訴えられるリスクもあるので慎重に。
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「解除できる」は「勝手に解除していい」ではない
ここで大切なのが、「解除される可能性がある=自分の判断で勝手にしゃべっていい」という意味では決してないということ。
たとえば、「もう退職したから言っていいでしょ?」というのは大間違い。退職後も守秘義務が継続する契約は非常に多いし、過去の職場情報を漏らしてトラブルになるケースはあとを絶たない。
また、「これは社会のためになるから、しゃべっても正義でしょ?」というのも危険。公益性の判断は主観ではなく、法律や裁判で慎重に判断される。一歩間違えば名誉毀損や信用毀損に問われかねない。
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守秘義務の解除を考えるときのポイント
• まずは契約を見直す:守秘義務がいつまで続くか、解除条件はどうなっているか。
• 勝手な判断は避ける:心配なら上司や法務、外部の弁護士に相談を。
• 正当な手続きで解除する:必要なら書面での同意を得る、通報先を明確にするなど。
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まとめ:守秘義務は「基本厳守、でも例外もある」
守秘義務は、信頼関係を築くうえで欠かせない大切なルール。でもそれは「何がなんでも一言も話してはいけない」という絶対的なものではない。状況によっては、正当な手続きや理由があれば解除されることもある。
大切なのは、自分勝手に判断せず、「話していいのか?」に迷ったら、まずは黙って調べる、そして相談するという姿勢。
情報社会のいま、信頼を守るのも、時に真実を明らかにするのも、守秘義務をどう扱うかにかかっている。
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