骨を集める男の子の目的は 「どくだみ」描いた価値の逆転 手塚治虫文化賞
第29回手塚治虫文化賞(朝日新聞社主催)の受賞作が23日、発表された。清新な才能に贈る新生賞は、「どくだみの花咲くころ」(講談社)の城戸志保さんに決まった。独創的な作品をつくりだす変わり者と、その作品にほれ込む優等生。小学生2人の関係を通して、何を描こうとしているのか。城戸さんにたっぷり語ってもらった。
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――手塚治虫文化賞新生賞に決まった、今の気持ちを教えてください。
寝耳に水だったので、本当に驚いています。手塚先生の作品は子どもの頃に、初めて読んだマンガじゃないかと思います。おそらく「ブラック・ジャック」に触れて、「ブッダ」「火の鳥」と読み進めた記憶があります。すごくうれしいです。
――「どくだみの花咲くころ」は、初めての連載作品だそうですね。連載が始まるまでの経緯を教えてください。
コロナ禍で、マンガを描こうと思ったんです。当時の仕事が忙しかったこともあって、「みんなが家で休んでいるのに、自分1人だけ忙しい」と思って、つらくなっちゃったんですね。なかなか外に遊びにも行けないし、すごくストレスがたまっていて……。
ただ、楳図かずお先生や、安野モヨコ先生の原画展には行ったんです。そこで生原稿に触れて、めちゃくちゃ格好いいと思って。今まで、「ネーム」という下書き状態のマンガは結構描いていて、1人で楽しんでいました。けれど、マンガは仕上げなきゃダメだと。
それで久しぶりに仕上げた作品を、2022年5月に「コミティア」という同人誌の即売会に出してみました。「どくだみの花咲くころ」の第1話にあたる部分です。
そこで講談社「アフタヌーン」編集部の方から声をかけていただいて、それを「四季賞」というアフタヌーンの賞に出したら、22年秋の大賞に。そのマンガをSNSに載せたら少し反響をいただいて、23年にアフタヌーンで連載が始まった。そんな経緯です。
「普通」の枠からはみだす信楽君。その描写には繊細なこだわりも詰まっていました。
原点は「見られることを気にしない芸術」
――作品の題材は、どうやって選んだのでしょうか。
私自身がアール・ブリュット…