米国ハーバード大学医学部に勤務中の韓国人研究員A氏は最近、指導教授に8月に研究室が閉鎖されると通知を受けた。 ドナルド·トランプ政府が国立保健院(NIH)研究開発(R&D)予算を大幅に削減し、指導教授が支援した課題が大挙脱落したためだ。
A氏は「一生トップティア研究をしてきた方なので(脱落に)衝撃が大きかったようだ」として「米国が基礎科学R&Dを大きく減らしているということが実感された」と話した。 A氏は直ちに8月から働く新しい職場を急いで探している。 学界の事情があまりにも良くなく、研究から手を引く決心までした。 学術誌の編集者など、さまざまな選択肢を考慮している。
今月8日(現地時間)、米マサチューセッツ州ボストンで会った韓国人研究者らは、米国の科学界が冷え込んでいると説明した。 特に、博士号取得後の研究員(フォダック)らが大きく動揺する雰囲気だった。 ポドックとは、博士号を取得し、大学や研究所で働く契約職の研究員を指す。 国内の科学技術界と産業界では、予算削減で研究開発が萎縮した今が、優秀な人材を迎え入れる最適のタイミングだという話も出ている。
これに先立ち、トランプ大統領は来年度のR&D予算を大幅に削減した。 来年度の米国立科学財団(NSF)とNIHの予算は、今年比それぞれ55%と40%に半減した。
匿名を要求したあるMIT博士研究員は「R&D予算削減を韓国で体験し、米国では体験しないと思っていたが再現されている」として「むしろ今は韓国がもう少し安定した状況のように見える」と話した。
米マサチューセッツ工科大学(MIT)のヨン·ヒョンソク博士研究員も、「米政府のR&D予算の厳しい風で、最近、指導教授がポドックにそれぞれ『生きている男(Survive)』と話した」とし、「直ちに再来年のための支援を最善を尽くして探そうという意味で、学界の雰囲気がそれだけ不安定で良くない」と伝えた。
状況は良くないが、韓国人研究者たちはまだ米国、特にボストンを離れないように頑張っている。 最上のバイオ研究環境のためだ。 いつでも協業できる世界最高の専門家が随所にいる。 コロナワクチン開発業者である米国モデナの創業者ロバート·ランガーMIT教授のような人たちが学校キャンパスを歩いている。 彼のオフィスのドアはいつも開いている。
各種大学や研究所、病院、ビッグファーマも集まっている。 全世界から集まった人材が仕切りを行き来しながら仕事をして競争する。 金羅英(キム·ナヨン)米ハーバード医学部フェローは、ハーバード·ビス研究所のポドックであり、MIT研究員だ。 あちこちを自由に歩き回りながら、望む研究ができるというのが最高の長所だ。
これらの機関が共用で使用する研究空間と装備もある。 キム·フェローは「重複した投資なしに効率を追求しようとするもの」とし「大学や研究所、病院の他に企業も活用できる」と説明した。
この日会った韓国人研究者たちは、それぞれ主専攻が違ったが、皆バイオ分野の研究を遂行中だった。
ヨン博士後研究員は電子錠剤を体内で発生する電気で駆動させる研究を、チェ·ウジンMIT博士後研究員は腸内微生物の数を化学工学で遺伝子変形なしに増大させる研究をしている。 キム·フェローは自然にないRNA転写過程を作る研究を、イ·チャンリムハーバード大学医学部研究員は男と女の目がどのように違うのかを探求している。
彼らは、米国の科学界が不安定であるほど、韓国人博士研究員に対する支援拡大が必要だと強調した。 米国ボストンを韓国のためのバイオ人材養成所として引き続き活用しなければならないということだ。
生命科学分野の韓国人科学者たちの集まりである「ニューイングランド生命科学協会(NEBS)」の副会長を歴任中のキム·ナヨンフェローは「約900人の会員を対象にアンケート調査した結果、10人中7人ほどが韓国に帰ることを希望した」として「韓国に帰ろうが帰まいが、韓国との研究協力を継続する研究者が大多数」と話した。
韓国人研究者に対する戦略的人材の迎え入れ策が必要だという意見も提示された。 米国ダナファーバー研究所のイ·ユンホ博士研究員は「博士号取得から約10年が経った韓国人研究者を集中的に迎え入れる必要がある」とし「企業や大学、研究所などで競争力を確実に立証した人に対する誘引策を増やせば、韓国にも効率的な人材迎え入れ政策になるだろう」と話した。