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2025年5月21日水曜日

第1回【戦場の風】ローグライクハーフリプレイ FT新聞 No.4501

第1回【戦場の風】ローグライクハーフリプレイ

※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「戦場の風」の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。


■ローグライクハーフとは

「ローグライクハーフ」は、TRPGのように遊ぶこともでき、ゲームブックのように遊ぶこともできるという両者の中間のような位置づけのルールです。
1人でもプレイできますし、3人まででTRPGのように遊ぶこともできます。
その内容はランダムダンジョン。サイコロを振ってイベントを決め、起きた出来事に対処します。
同じイベントに行き当たらないような工夫がされているのもポイント高いですね。
簡単に遊ぶには、とても良くできたシステムなのです。


●作品紹介

ぜろです。
今回のリプレイは、いつもと少々違った趣向と言えるかもしれません。
プレイする作品は「ローグライクハーフ」の「戦場の風」です。作者は丹野佑さん。

この作品は2024年8月4日に、FT新聞にて配信されたd33シナリオになります。
そして、ゲームブック版の「戦場の風」のリメイク作品なのです。

普段私は、リプレイ執筆時点で入手可能な作品を、ということを意識しています。
それは、FT新聞がFT書房の情報発信を目的としている以上、少しでも販促に繋がれば、という思いもあります。
そればかりではなく、せっかく面白そうな作品を紹介しても、それが入手不可能では、興味を持ってもらっても、そこ止まりですからね。

FT書房以外の作品を紹介することも、もちろんあります。
それはFT書房ばかりでなく、ゲームブックやローグライクに接する界隈を、少しでも活気づけたいという思いでもあります。

さて、ローグライクハーフ「戦場の風」は、私がこれを書いている時点では、FT新聞への掲載以外、他で公開されておりません。
そのため、当時FT新聞に登録していたか、期間限定のタイミングで見られた方しかプレイできない作品ということになります。

なぜそれをあえて今回リプレイにしたのか。
それは、ゲームブック版とローグライクハーフ版をプレイし比べてみたい、という欲求に抗えなかったためです。
そんなわけで、ゲームブック版「戦場の風」に引き続き、ローグライクハーフ版「戦場の風」をプレイさせていただきます。

実を言うと、あのゲームブック版をローグライクハーフに落とし込むのって、けっこう無理がある場面もあるなって感じているんですよね。

特にそれを感じるのは、牛飼いに扮してドラッツェン軍の陣の中に潜り込む場面。
ローグライクハーフでは、2人プレイか相棒を連れているのでなければ、従者がぞろぞろとついて来るんですよ。
2人とか3人くらいまでなら、まあアリかな、とも思うんですが、さすがに7人も連れているのはどうかと!
そのへん、どういう風になっているのか、気になります。

あと、元々かなりストーリー志向が強く、イベントの順番もがちがちに固まっていたこの作品が、ランダムイベントの塊であるローグライクハーフに、どうやって落とし込めるのか、純粋な興味もありますね。
「王女を見つけるまで」「ウォードレイクの攻略法を見つけるまで」「ラストの脱出行」、みたいに3つに分けたd66シナリオではなく、1回ですべてをやりきるd33シナリオにした、というところなんかも。

掲載されたFT新聞の作者の言葉には、こうあります。

「リメイクにあたって、元の難易度をできるだけ残しつつ、『ローグライクハーフ』らしくスピード感あふれるシナリオとして作成しています。あなたはロング・ナリクの王からの密命を受け、王女コーデリアを救い出すため、混乱を極める戦場へ飛び込みます。疾走感あふれる冒険をお楽しみください。」

なるほど疾走感!
d66ではなく、1回こっきりのd33シナリオにした理由の一端が見えました。

それにしても、「元の難易度をできるだけ残しつつ」ですか。これは怖い。
なにしろゲームブック版「戦場の風」の難易度はかなりのものでしたからね。
ローグライクハーフには仕込めないギミック「パラグラフジャンプ」を多用した凝った難易度設定でした。

そもそも繰り返しプレイを前提としたゲームブックと、1回でクリアできることも想定したローグライクハーフとでは、難易度の基準の置き方が違うと思うのです。
元の難易度を意識しつつも、やたら死にまくる感じじゃないといいな。

それではそろそろ、キャラクターの作成にいきましょうか!


●キャラクター作成

それではここからは、キャラクターの作成に移りましょう。
ローグライクハーフはゲームブックに近いとはいえTRPGにも寄せていますので、他作品でプレイしたキャラクターをこちらに投入することができます。
つまり、初期に「黄昏の騎士」に挑戦した戦士シズや、「あやかし」等で活躍したサクラを、この作品で続投させることが可能です。
特にシズについては、最初のシナリオで登場させて以降、使用していないため、そろそろなんらかの作品に出したいところではあります。

なんてことを考えながらも、今回は新規のキャラクターを作成することにしました。
せっかくゲームブック版で遊んだのですから、そちらで登場したキャラクターをローグライクハーフに登場させるってのもアリですよね。

で、それならクリアした時のキャラクター、ロニーにするのが順当なところですよね。
でも、私が選んだキャラクターは違います。
アタック04に登場した、ウォーレンです。

すごい偶然で、この戦場で命を落とした当代随一の聖騎士ウォーレンと名前がまるかぶりしてしまった人物です。
そのおかげもあり、また、序盤のウォードレイク戦の袋小路からはじめて抜け出した人物でもあり、私にとってはクリアしたロニーより、彼の方が印象深いのです。
名前が同じことから聖騎士にあこがれた少年が騎士を目指し、武勲を立て、聖騎士に叙勲されるといった美しいストーリーに、ぜひしたいものです。

さて、今回は拡張ルールにある、職業を導入してみましょう。
もちろんウォーレンの職業は【聖騎士】です!

なんと、いきなり最初から聖騎士だった!
たった今「美しいストーリー」とか言っていたものがさっそく台無しに。

いえいえ、これはあくまで職業適性とか特性みたいなもの、という理解でいきましょう。
ウォーレンはあくまで、聖騎士を目指す若き騎士です。あるいは聖騎士見習い。
いや、騎士見習いは聞いたことあるけど、聖騎士見習いなんてあるのでしょうか。

気になって「聖騎士見習い」で検索をかけたら、えっちな同人RPGが唯一ヒットしましたので、それ以上深く突っ込むのはやめておきました。

もう自分で設定しておいて最初からツッコミどころ満載なのですが、気にせずいきましょう。


【ウォーレン レベル10聖騎士 技量点2 生命点8/8 筋力点4/4 従者点7】
【装備】
片手武器
板金鎧(生命点2 防御1)
丸盾(生命点2)

【食料】2
【金貨】0

【持ち物】


【高潔な魂】【全力攻撃】【神の加護】

【未使用経験点】0


キャラクターを作成しました。
聖騎士は、戦士系ベースのキャラクターなので、副能力値は筋力点になります。
聖騎士は【高潔な魂】という特殊技能を最初から持っています。
そして他の特殊技能は、戦士系職業が持つ【全力攻撃】【全力防御】のほか、【神の加護】【癒しの光】【神撃】から2つ選択ができます。

私が選んだのは上記のとおり。

【高潔な魂】は、できごとで死亡した従者1人を復活させられるという破格の技能です。従者プレイの多い私のようなプレイヤーにはとてもありがたい。
【全力攻撃】は、戦闘時に筋力点を用いて判定ができるというもの。いざという時頼りになります。

そして【神の加護】。これはなんと【対魔法ロール】を筋力点で行うことができるという、すごい発想の技能です。
だって考えても見てください。筋力点で魔法はじいちゃうんですよ。
「魔法? そんなことより筋肉だ!」みたいなイメージしかできない。
しかもこれ、自分だけじゃなくて、他のキャラクターをかばう形で使うこともできるのです。筋力で。最高か。

あと【癒しの光】はその名の通り回復の効果を持ちますが、自分には使えないという時点でやめました。
2人プレイか、相棒プレイでは役立ちそうです。しかし従者プレイだと、ダメージを受ける時が死亡する時なので、使い道がないんですよ。

【神撃】は追加ダメージを与えられるという強力な技能です。
しかし、対象が【アンデッド】【悪魔】【神霊】に限定されます。
今回の舞台は戦場。敵も人間かウォードレイクが想定されますので、除外しました。

【癒しの光】を取得しなかったことでおわかりかと思いますが、主人公2人体制ではなく、従者プレイで行います。
自分で主人公2人を操るなら、2人分の設定をきちんと詰めたいところ。今回は完全に聖騎士を目指す若き騎士ウォーレンの物語にするつもりなので。
「竜鍵諸島」のように、相棒となるサンプルキャラクターが設定、選択できるようになっていたなら、そちらを選んだかもしれません。

従者については物語の進行に合わせて登場させることにして、挑戦をはじめましょう。

ローグライクハーフ版「戦場の風」はd33シナリオです。
d66シナリオは3回のダンジョンアタックが基本ですが、d33だとそれが1回になります。
この1回でミッションを達成しなければなりません。

プレイを始める前のおことわりを。

「ローグライクハーフ」のルールは、FT新聞誌上の発表も含み、追加要素などもいろいろ発表されています。
しかし忙しい私はあれこれ参照しきれません。
なので私は冊子版の基本ルールと、FT新聞に掲載された「戦場の風」本編を参照にプレイしています。
たまにインターネット上で、ローグライクハーフwikiを参照することもあります。

ローグライクハーフwiki
https://ftbooks.xyz/ftwiki/index.php

さて、私はうっかりさんなので、基本的なところで根本的な勘違いをしたまま、あるいは堂々と間違った解釈をして突き進んでしまうことがあるかもしれません。
だから、私のプレイにとらわれず、みなさんはみなさんのローグライクハーフライフを送ってください。

リプレイの文中では、「プレイヤー視点」と「キャラクター視点」をあまり区別せず、わざと混在させて書くのがいつものスタイルです。
あるときにはキャラクターの心情になりながら、あるときにはメタ視点から眺めつつ進めていきます。


●アタック01-1 ウォーレンと国王からの密命

俺は唐突に、ロング・ナリクの国王から呼び出しを受けた。
それも謁見の間に、ではない。国王の執務室へ、だ。
これはつまり、公式ではなく秘密裏に呼びだされたということ。

俺はウォーレン。ロング・ナリクにて当代一の聖騎士と言われるウォーレンと同名だ。
名前が同じこともあって、俺はいつしか聖騎士ウォーレンにあこがれるようになった。
自分もいつか、聖騎士ウォーレンのようになりたい!

しかし俺はしがない貧乏騎士家の生まれ。そんな機会はないものと思っていた。
それがあるとき偶然、謎の集団に襲撃されて、不利な戦いを強いられている一団に加勢してみれば、それがなんと国王様だったってわけ。
国王は、俺が騎士団の末席に名を連ねていることを知り、その後なにかと目をかけてくれていた。
俺もその期待に応えられるよう研鑽を重ね、ついにレベル10に至った。レベル10になれば、主人公として冒険ができるんだ。

そんな折に、国王からの秘密の招集。いったいなにが起きているのか。

「頼む。我が娘を助けてくれ」

国王の第一声がそれだった。
国王の娘。たしかコーデリア王女だ。年齢は15歳くらいだったはず。
今はドラッツェンの侵攻に対抗するため、軍を率いて戦場に赴いているはず。

「そのとおり。コーデリアは『金牛の丘』の戦場にある。あれは、これが初陣だ」

王女を助けてほしいということは、戦況は芳しくないということか。

「……つい先ほど、ウォーレンが名誉の戦死を遂げ、我が娘は丘に取り残されたという報告が入った」

え。聖騎士ウォーレンが、戦死?!
そんな馬鹿な。あの当代一の聖騎士が。俺のあこがれ、俺の目標。いつか、あの人のようになりたい、その人が……戦死した、と。

「この戦は国境の小競り合いなどではない。ドラッツェンは我らが思っている以上に本気で攻めてきておる」

王女は初陣だという。実質的な指揮は聖騎士ウォーレンが執っていたに違いない。
その人物を失ったとあっては、ロング・ナリクの軍は瓦解したも同然だ。そのうえ王女が丘に取り残されているというのだから。

「撤退すべき局面だ。だが、コーデリアはなおも戦いを続けようとしておる。かような激しい戦に身を置くには、幼すぎたのだ……」

地方の小競り合いで経験を積ませようとしたことが、裏目に出たといったところかな。

「ドラッツェン軍を指揮しているのは、ジャルベッタという女だ。冷酷な軍人だという評判は大陸中にとどろいておる。コーデリアを人質とし、我が国にさらなる要求を突きつけるくらいのことは、当然に狙っておるだろう」

まあ、そうだろうな。戦争は、その戦場の決着のみにあらず、いかに相手から有利な条件を引き出すかまで含めて戦争だからな。
つまり国王が言いたいのは、もはや戦場での勝敗を決する段階ではなく、王女が捕らわれるかどうかの問題になっていると。
王女が敵の手に落ちれば、多大な要求を突きつけられる。応じれば娘のために国を売ったと言われ、応じなければ娘を見殺しにした非情の王とそしられる。
王女がドラッツェンの虜囚になることは、なんとしても避けなければならない。

この状況を聞いたところで、俺を秘密で呼び出したって、嫌な予感しかしないんだけど。

「戦場へ走り、我が娘に戦いを止めさせるのだ。そして、ドラッツェンに捕らえられるよりも早く、この長大なるナリクへとあれを連れ帰れ。我が国の未来を、救いだしてくれ」

やっぱりそうなりるよなー。
おおっぴらに軍を動かすわけにはいかないから、俺を呼んだってことだよな。密命として。

「あれは、我が妻が遺した、たったひとりの娘なのだ……」

それは密命というより、懇願であった。
公にできない任務を胸に秘め、俺は戦場へと向かう。


次回、旅立ったと思ったらいきなり……? さすがランダムイベント。


【ウォーレン レベル10聖騎士 技量点2 生命点8/8 筋力点4/4 従者点7】
【装備】
片手武器
板金鎧(生命点2 防御1)
丸盾(生命点2)

【食料】2
【金貨】0

【持ち物】


【高潔な魂】【全力攻撃】【神の加護】

【未使用経験点】0



■登場人物
ウォーレン 主人公。ロング・ナリクの若き騎士。
ロング・ナリク王 コーデリア王女の父。主人公に密命をくだす。
聖騎士ウォーレン 主人公のあこがれであり目標。戦場で命を落とす。
コーデリア ロング・ナリクの王女。15歳で初陣。戦場の指揮を執る。
ジャルベッタ ドラッツェン軍の指揮官。冷酷無比との噂。

■作品情報
作品名:『戦場の風d33』ローグライクハーフd33シナリオ
著者:丹野佑
初出:FT新聞2024年8月4日(No.4211)号

本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。
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