「コメ価格2倍高騰」の裏に“JAの政治力”。元日銀副総裁が明かす「減反政策の真実」と1700万トン生産の可能性
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政策が実施できない理由はJA(農協)の政治力の強さ
ただし、零細規模の兼業農家は国民の平均所得程度の所得がありますから、直接払いの対象としません。制度・規制改革学会有志の試算では、必要な直接払いは、1500億円程度です。したがって、差し引き、国民の税負担は3000億円程度減少します。 このような政策が実施できないのは、JA(農協)の政治力が強いためです。JAは高い米価の販売から高い手数料収入を得るとともに、高米価で温存された零細兼業農家の勤労所得から預金を集めて収益を上げています。 この状況を打ち破るには、国民が減反政策の意味を真に理解し、反対の声を上げ、減反廃止を掲げる有力な政党が現れることが不可欠です。つまり、「事実上の減反政策を廃止すれば生産が増えて価格は下がる」が、コメの価格を下げる政策といえるのです。 【岩田規久男・元日銀副総裁】 東京大学大学院経済研究科博士課程退学。上智大学名誉教授、オーストラリア国立大学客員研究員などを経て、’13年に日本銀行副総裁に就任。’18年3月まで務め、日本のデフレ脱却に取り組んだ経済学の第一人者。経済の入門書や『「日本型格差社会」からの脱却』(光文社)、『自由な社会をつくる経済学』(読書人)など著書多数
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