「ウォッチメン」の2回目観賞です。最初の感想はこっち。
で、映画「ウォッチメン」の感想をあらためて書こうかなと思ったんですが、ふと気づいて、僕はかなり原作を読み込んでいるので、もはや映画としての判断は出来ないなあ、ということ。例えばこの作品を原作を読んでいない人が観て理解できるのか、といった見方が不可能。どうしたって読んだ人の立場でしか観ることができない。そこで開き直ってココが原作と違う!という感想をキャラクターごとに書きたいと思います。
そこで最初に断っておくと、僕は映画「ウォッチメン」については満足しています。原作ではこうだった、と多く書くと悪口に聞こえるかもしれませんが決してそういうことではないです。(ただし日本版の予告編に関しては大いに不満があるのでそのことについても触れていくつもり)
まずはミニッツメン。 ミニッツメンはウォッチメン世界での最初のヒーローチーム。1939~1949年まで続いた。発起人はキャプテン・メトロポリス。
メンバーは、左からシルエット、モスマン、ダラービル、初代ナイトオウル、キャプテン・メトロポリス、初代シルク・スペクター、フーデッド・ジャスティスそして手前でしゃがんでいるのがコメディアン。ではそれぞれのキャラごとに。
フーデッド・ジャスティス
ウォッチメン世界最初のコスチュームヒーロー。巨漢。アメリカの第二次大戦参戦前までは公然とナチス指示を表明していた。KKKともつながりがあったらしい。同性愛者でキャプテン・メトロポリスと恋人関係にあった。シルク・スペクターと共に行動していたのはゲイ隠しの目眩ましだった。政府に正体を公表するよう求められた際に拒絶して姿をくらます。(正体は反共のロシア移民でコメディアンに殺害された)
初代ナイトオウル
本名ホリス・メイソン。職業警官。比較的まともな性格でミニッツメンの実質的リーダー&まとめ役だった。引退後は旧車専門(この世界ではDr.マンハッタンの発明により電気自動車が普及している)の自動車整備工場を経営している。独白本「仮面の下で」を執筆。1985年、ロールシャッハ脱獄のニュースを聞いた不良達に二代目ナイトオウルと間違えられ襲撃、死亡(このシーンは日本版の予告編には収録されている。だから本編にもあるだろうと思っていた。全く嘘がうまいぜ)
初代シルク・スペクター
本名サリー・ジュピター(さらにいうとジュスペクツィクが本名か)スーパーヒーローに商業的価値を見出したスーパーヒロイン。代理エージェントを立ててミニッツメン結成のきっかけを作った。現役時は主にフーデッド・ジャスティスとともに行動(これは前述の通り、ゲイ隠しの目くらまし)。エージェントのシュクスナイダー(旧版ではシュナイダー)と結婚、引退、後離婚。ローリーを二代目にするべく鍛えた。1985年時は老人養護施設にいる。
キャプテン・メトロポリス
本名ネルソン・ガードナー。海軍中尉。組織犯罪に強かった。ミニッツメンの発起人でもある。人種差別主義者で同性愛者。
この人の見せ場はDr.マンハッタンが出現した時に過去のヒーローブームの生き残りとして苦笑いしながらインタビューを受けるシーンと前にも書いた「クライムバスターズ」の会合でコメディアンに計画表を燃やされ狼狽するシーンなのだが、映画ではばっさり切られ結構重要な人物なのにシルエットやダラービル、モスマン以下の存在感になってしまった。1974年に交通事故死。
ダラービル
ホリス・メイソン曰く善人。銀行の広報ヒーロー。実用性無視のコスチュームを着せられ、銀行強盗を追う際、マントが入り口に挟まって身動き取れないところを射殺された。本人が衣装をデザインしていればあんなことにはならなかっただろう、とはメイソンの弁。
ダラービルが射殺されるシーンは原作ではメイソンの「仮面の下で」(サブテキスト)の中で語られるだけだが、映画ではオープニングクレジットで映像化され少ないながらも強い印象を残している。死に様は後に「Mr.インクレディブル」のマントのエピソードとして登場する。
ちなみに日本のTVスポットだと彼の殺害現場にあわせて「ヒーローの連続殺人」みたいなテロップが入るが彼が死んだのは1946年のことであり、物語本編とは一切関係が無い。
モスマン
本名バイロン・ルイス。実際に滑空することも出来るコスチュームを身にまとっている。原作でも映画でも実際に出来るかは微妙な姿だが。金持ちの子息で道楽でヒーローをやっていた。戦後赤狩りの際、学生時に友人が共産主義者だったため警察に痛めつけられ精神的ダメージを負いアル中に。さらに精神を病んで病院行きとなった。このシーンも映画では映像化された。我々の眼から見ると「そりゃ、そんな格好してれば・・・ね」という感じか。ある意味でウォッチメン世界をもっとも体現した人。
ローリー曰く「私もああなるの?散々努力して、行き着く先がアレなの」
シルエット
コスチュームというよりはスタイリッシュなモデルっぽいいでたちで児童ポルノや女性差別と戦うフェミニストヒーロー。ポーランド系ユダヤ人。同じ女性でもシルク・スペクターとは仲が悪かったらしい(これはなんとなく予想が付くね)。同性愛者でありそれを公表したためミニッツメンを首に。ただし実際には上述の通りフーデッド・ジャスティスとキャプテン・メトロポリスも同性愛者であり、本当は政治的な思想の対立かららしい)その後恋人と主に仇敵に殺される。
この人も原作では文章で表されてたシーンが映像化されてるので印象深い。WW2勝利時の看護婦とのキスシーンと殺害現場。サリーの引退パーティーでは恋人の看護婦と仲良く座っているので映画ではミニッツメンを首にされる設定は無いのかもしれない。
コメディアン
本名エドワード・モーガン・ブレイク。もっとも長く現役を続けたヒーローで、1939年16歳でヒーローデビュー。1940年のミニッツメンの記念写真の後、サリーを強姦しようとした。早々とミニッツメンを離れもっぱら政府の裏仕事を引き受けていた。途中でコスチュームを星条旗の肩当にスマイルマークというそれこそ性質の悪い冗談のような格好で非道なことをしまくっていた(ベトナム以降はマスクを着用)。JFK暗殺も実はこの人の仕業。キーン条例以後も政府の管理下で活躍していたがとある秘密を知ったことがきっかけで1985年に殺される。彼の死から物語が始まる。常に物事を冗談めかして笑い飛ばすが、最後の真実だけは笑い飛ばすことは出来なかった。
とにかく劇中でももっとも最低な人物場なのだがどこか憎めない。前半は各キャラの彼への回想シーンで構成される。この人の台詞はとにかく名台詞が多いがおすすめはこれ。
「サイゴン最低!ニューヨーク最高!どうだ、わかったか!?」
と、書いててどんどんへこんでくるほど悲惨なミニッツメンだが、別に彼らが歴史の裏で暗躍してたとかは一切無い(コメディアンは戦場で戦果を挙げたらしいが)。それとミニッツメンの出来事は基本的に物語の背景。
彼らの功績はコスチュームヒーローが当たり前に存在する空気を作り上げたこと。
メイソン曰く
「ヒーローは短期的ブームから、アメリカの日常の一部となりつつあり、消え去るのではなく、存在し続けるようだ。
善かれ悪しかれ・・・・・・。」
それではザック・スナイダー渾身の珠玉のオープニング・クレジットをどうぞ!
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次回は第2世代のヒーローたちについて。先輩達に負けず劣らずへこみます。
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