“卸を通さない優先枠も”備蓄米「新ルール」で流通改善する?

スーパーJチャンネル

[2025/05/16 19:36]

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 備蓄米を巡り、農水省が「新ルール」を示しました。新たな入札枠などが盛り込まれたのですが、これで本当に改善するのでしょうか?

■備蓄米入札の「優先枠」とは?

 政府備蓄米の流通の円滑化に向けて、16日に江藤拓農水大臣は、改善策を公表しました。

「4回目の備蓄米の入札を今月28日から30日にかけて行う。これまでは入札の都度(備蓄米の)数量を決めていた。しかし、これからは5月は10万トン、6月10万トン、7月10万トンとする」
備蓄米の入札数量
備蓄米の入札数量

 政府は今月以降、備蓄米の入札数量を7月まで毎月10万トンとすると決めました。すべて放出されれば、合計61万トンに及びます。

入札される10万トンの内訳
入札される10万トンの内訳

 今月28日から入札される10万トンの内訳は、2024年産が1万トン、2023年産の古米が1万トン、2022年産のいわゆる古古米が8万トンです。

 また、備蓄米は政府が売り渡した集荷業者から、同じ量を買い戻す期限を「原則1年以内」としていましたが、「原則5年以内」に延長します。

 さらに、大きく変わるのは、備蓄米の流通のルールです。

コメの主な流通経路
コメの主な流通経路

 これまでの備蓄米の流通ルートは、落札したJAなどの集荷業者から、卸売業者を経て、スーパーなどの小売店に渡っていました。

 しかし、備蓄米の流通が一部にとどまり、広く行き渡っていないことや、店頭に並ぶまでに多くの時間がかかっていることが指摘されています。

「今後、売り渡される政府備蓄米ができるだけ早く、かつ広範に消費者の手に届けられるよう、あらかじめ販売される小売店を決めた上で入札に参加してもらう仕組みを導入する」
「具体的には集荷業者が卸を通さずに、あらかじめ計画された小売店に直接販売するもの、集荷業者があらかじめ計画された卸・小売店に販売されるものについて、入札の優先枠を設定することで備蓄米がよりスピーディーに
消費者に届くようにする」

 毎月、入札される備蓄米10万トンのうち6万トンは、小売店までの流通を加速するため「優先枠」とします。 その条件は、集荷業者の引き取りから、小売りまでおよそ1カ月を目安とした早期の販売計画を立てることです。

備蓄米10万トンは…
備蓄米10万トンは…

 優先枠は2種類あり、6万トンのうち2万トンは、集荷業者が卸売業者を通さずに、町の精米店など小売店に卸すケースです。あらかじめ販売計画を立てたうえで、入札に臨みます。

 残りの4万トンは、精米する機能を持たない小売店もあるため、あらかじめ、販売する卸売業者と小売店を決めるケースです。

「優先枠については卸売業者を通さないことになれば、その分の時間とコストは確実に削られる。より消費者の期待する価格、スピード感で出せるようになることを期待している」

 優先枠の販売計画については、小売店が主導できるメリットがあるといいます。

農水省担当 横山純子記者
「これまでは落札した集荷業者から声がかからないと、自分たちがどれだけもらえるのかというところが分からずに、不安や不満感を感じる部分であったと思うが、小売り側から集荷業者に対して『このぐらい欲しいので優先枠で入札に参加してほしい』とアプローチできるのも小売り側のメリットになるかなと」

 備蓄米の「優先枠」について、町の精米店の反応は?

小池精米店 小池理雄代表
「果たして集荷業者、JA全農とかがうちと直接取引するはずもなく、卸売業者を通さなければ効率よい分配はできない」
「集荷業者と直でやりとりはしていないので、その時点でうちは違うのかなと。単純に考えて取扱量が非常に多いと思う。そのコメをここまでどうやって持ってくるのかなと」
「集荷業者が細かく分けて(精米店に)配送するとなったら、多分そういう物流方法もないでしょうし、弊社と新しく取引するのであれば、小さなコメ店がたくさんあるから口座(新規取引)を作るのは実務上かなり時間がかかる」
卸売業者を経ない「優先枠」
卸売業者を経ない「優先枠」

 備蓄米を落札する大手集荷業者と取引した実績がないため、販売計画を立てることは難しいといいます。

 米穀小売業者が会員となって組織する全国団体、日本米穀商連合会・相川英一専務理事を取材すると…。

日本米穀商連合会 相川英一専務理事
日本米穀商連合会 相川英一専務理事
「きょうの朝聞いたばかり。相談が事前にあったわけでもない。非常に驚いている。基本的に今の段階を素直に言うと、集荷業者から小売りはあまりルートとしてはない」
「組合を使って新しいルートが作れたらいい。今週、来週に向けてルートの開拓を含めて相談してやっていきたい。地方では意外と集荷業者とつながっている小売業者がいる。全くできないわけではない」

 集荷業者のJA全農にも優先枠の受け止めについて聞くと…。

「詳細内容を確認の上で今後対応を検討いたします。現時点で本会でも詳細を確認できていないこともあり、明確なお答えができず申し訳ありません」

 公立の小・中学校に、給食のコメを届ける卸売業者です。

卸売業者 サプライズ・マスダ 増田 善光 代表
卸売業者 サプライズ・マスダ 増田 善光 代表

 備蓄米がいまだ集荷業者から回ってこないなか、新たに打ち出された優先枠のルートに、期待と不安が入り混じっています。

卸売業者 サプライズ・マスダ
増田 善光 代表

「今までよりはスピードアップすると思う。ただ、どういうルートで入ってくるかは定かではない。そこがもう少し明確になって、僕らがどういう手順を踏んで備蓄米を手に入れられるのか分かれば、どうしていくか先が見通せる」

 備蓄米の優先枠は、今月28日から始まる4回目の入札から適用されます。

  • 江藤拓農水大臣
  • 備蓄米の入札数量
  • 入札される10万トンの内訳
  • コメの主な流通経路
  • 備蓄米10万トンは…
  • 卸売業者を経ない「優先枠」
  • 日本米穀商連合会 相川英一専務理事
  • 卸売業者 サプライズ・マスダ 増田 善光 代表