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俺と君達のダンジョン戦争  作者: トマルン
第四章 三章で出揃ってきたキャラや勢力の活躍などなど
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第三十話 朝チュンと白濁液

「—— け、結局、一睡もできませんでしたわ……」


 シャルロット公女がソファでぐったりと項垂れる。

 公女らしい振舞ではないが、幸いここは俺の私室内。

 今くらいは良いだろう。


「ああ、だけど、その成果は確かにあった」


 俺と公女が夜通しで考えたプランを書き留めたメモアプリを保存しながら、俺は思わず自分の口角が上がるのを感じた。

 

「うぅぅ、これでダメなら、もうどうにでもなれーですわぁ」


 徹夜で体力を使い果たした公女は、疲労困憊気味にそう言い捨てると、眠気覚ましの缶コーヒーをグビリと飲み干した。

 その姿は早朝の工事現場付近にいる夜勤明けの職人と大差ない。

 元々体力が少ないのもあるが、精神的に切羽詰まってたからなぁ。


 それに誕生日会の後、間を置かず徹夜会議へ突入したこともあって、お互い昨晩は風呂に入れてなくて身体も少々汚れている。

 流石に、湯船に浸かる時間は無いけど、シャワーを浴びてさっぱりしたいものだ。


「よし、もう朝になってしまったけど、ここで会議はお開きにしよう。

 さあ、お家へお帰り」


 俺は最後くらい爽やかに公女を送り出そうとするが、公女はよほど疲れたのかソファから梃子でも動こうとしない。

 シャワー浴びたいからさっさと帰って欲しいんですけど……


「流石にこのまま放り出すのは薄情でなくって?

 妾は熱いシャワーを所望いたしますわ」


 湯上りにはキンキンに冷えた炭酸で割ったローズヒップティーを用意して下さいな。

 公女はそう言い残すと、俺が止める間もなくお風呂場へと続く扉に消えて行った。

 

 あの女、俺を差し置いて……

 ムスッとするが、まあ仕方がない。

 一蓮托生とは言え、ここまで付き合って貰った礼もあるし、渋々と私室内に持ち込んだミニ冷蔵庫を漁る。

 公女希望のローズヒップティーは無いが、群馬県川場村名産のむヨーグルトならあった。

 150mlで税込140円と安くはないが、仕方ない。

 公女にも群馬の味を布教するとしよう。


 俺は一番手前にあったのむプレミアムヨーグルト(500ml税込480円)を見えないよう奥の方へ隠し、のむヨーグルト(150ml税込140円)をズラリと並べて防壁を作った。


 ヨシッ!


 





「—— ふぅ、さっぱりしましたわ」


 グンマが用意したタオルで髪を拭きながら、バスローブのままで執務室のソファに座り込む。

 殿方の部屋で一晩過ごし、そのままシャワーを浴びるなんて、普段だったなら考えられないけど、そんな判断もつかないほど疲れ果てていたということだろう。

 今頃になって気恥ずかしさがやってくる。

 自分の顔が紅潮するのが嫌でも分かってしまう。


「そ、そういえば、グンマが冷蔵庫に飲み物があると言っていたわね」


 今の状況を意識し始めてしまった自分を誤魔化すように、声に出しながら飲み物を求めて立ちあがった。

 彼がシャワーを終える前に、火照ってしまった身体を覚ましておきたかった。


「………… 何ですの、これ?」


 執務机の隣に置かれた小さな冷蔵庫の中には、白い液体が入ったペットボトルがズラリと並んでいた。

 

「KAWABA?」


 ラベルに日本語らしき文字で何かが書かれている中、辛うじてあったアルファベット。

 恐らく名詞だろうけど、この液体はなんだろう?

 ドロドロしてるようだし、ちょっと不気味ではある。


「グンマが用意しているし、飲めないものではないのでしょうけど……」


 少しだけ飲むには勇気がいる。

 でも、のども乾いたし、日本は美食で有名だし、不味くはないだろう。

 それに、これだけ冷蔵庫に詰め込んでいるということは、彼にとってかなりお気に入りの物な気がする。

 となれば、飲まないのは失礼にあたる。


「…… 飲みますか」


 銀色の紙蓋をはがすと、乳製品らしき風味が漂う。

 ヨーグルトかしら……


 恐る恐る口をつける。


「…… 甘い」


 一口、口に含んでみる。


「おい、しい」


 グイッと飲み干す。

 濃厚な自然の風味豊かな味わいが舌を楽しませる。

 まろやかで濃厚な味わいなのに、後味はスッキリ爽やか。


「…… 美味しいですわね、これ」


 口元にヨーグルトが付くのも構わずに飲み干してしまった。

 そして気づけば、もう一本に手を伸ばそうとしている自分がいた。


「帰りに何本か譲って貰えないかし——」




コンコンコンッ


「トモメ殿、朝でござるよ」




「———— ッッッ!!!?」


 アル姉様!!!???

 ヤ、ヤヤヤヤ、ヤバいですわ!!!??


 改めて自分の状況を確認する。


 今の時間は、早朝の起床時間帯!

 今いる場所は、グンマの私室内!!

 グンマとは、アル姉様の片思い相手!!!

 自分の格好は、シャワーから上がりたてのバスローブ姿で髪も濡れたまま!!!!


 アウトですわ!!??


「トモメ殿! 朝でござるよー! 起きるでござるよー!」


 ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいっっ!!!


 ヤバいっ!


 ですわ!!


 ああ、グンマ!!

 早くシャワーから出てきてくださいましっ!

 

「トモメ殿!! もう朝ごはんも出来てるでござるよー!!」


 あっ、ドアノブ、ガチャガチャしてる!?

 ヤバいですわ!


 グンマー! グンマー!

 助けて下さいましー!!


「もう! 朝ごはん冷めちゃうよー!」


ガチャッ


 あっ————



それはケフィアですか?

いいえ、のむヨーグルトです。

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― 新着の感想 ―
うーん・・・ ちょっと無理やり感がきつい
[一言] ドアノブガチャガチャで開くガバガバセキュリティは運営くん修正した方がいいと思うよ ぐんまちゃんは早く風呂から上がってこないと焼死体がお出迎えすることになるぞ!
[良い点] へいへーい(お腹痛い) [一言] これもグンマーちゃんの策略に違いない! 中は見れないけど、若い男女が個室に入って一晩 国民はどう思うか!?w
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