トランプ政権VS大学、揺らぐ科学技術大国 予算半減・資金停止1400件
【ニューヨーク=西邨紘子】トランプ米政権による突然の支援削減で、米大学の研究が危機に直面している。医療や人工知能(AI)などの研究が中止や縮小を迫られ、代わりとなる資金のめども立っていない。「世界最強」の米国の経済と軍事を支えてきた圧倒的な研究開発力が揺らぎかねない状況だ。
突然の資金停止、スタッフ200人を解雇
「30年かけた研究とデータ蓄積が無駄になろうとしている」。ハーバード大学医学部のデ...
- 全米科学財団(NSF)の予算削減が研究に与える影響は何ですか
- 国立衛生研究所(NIH)の主な活動内容は何ですか
- トランプ政権の研究予算削減が米国経済に与える影響は何ですか
- 米国の研究開発支援の国際的な位置付けはどうなっていますか
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(更新)- 竹内薫サイエンスライター/ZEN大学教授分析・考察
これまで世界をリードしてきたアメリカの科学技術は、能力のある移民として学生と研究者を受け入れつつ、潤沢な資金によって支えられてきました。あらゆる科学・医学研究の分野で、日本よりも一桁か二桁多い予算がある印象でした。しかし、それは決して金食い虫ではなく、研究成果は、時間遅れでアメリカ経済に還元されてきました。テクノロジーは基礎研究なしには成り立ちません。いま、「リベラル」という政治的なレッテルによって、土台となる基礎研究を削っているわけですが、良い結果は生まないと思います。裾野の基礎研究費を削り続けた日本がどうなったかを見ればわかることですが。
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(更新) - 山崎俊彦東京大学 大学院情報理工学系研究科 教授ひとこと解説
アメリカで研究を行う知り合いが口々に予算カット、外国人研究者や博士学生の受け入れの困難化を嘆いています。 教育は国家百年の大計という言葉があります。 今後、どのようにアメリカという国の研究力が推移し、その先にある経済や軍事などに影響を与えるのか、我々は大変な変化を目にしようとしているのかもしれません。
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(更新) - 菅野暁東京大学 理事(CFO)分析・考察
一昨年訪問した米国公立・私立大学の状況を最近聞くにつけて、大変厳しいことになっていると感じます。一律のコストカットや教職員のレイオフ、寄付金担当者の削減など経費削減は聖域なし、エンダウメントの取り崩し(通常の運用益の繰入れを超える規模の)も行い、大学債の発行も検討しています。一方で、記事中の研究開発費の出所のグラフを見ると、連邦政府55%に対して大学25%とあり、この大部分がエンダウメントの運用益が充てられているということだと思います。日本の国立大学はこの部分がゼロに近い現状の中、米国大学が自律的な研究開発に使える資金額の大きさに彼我の差を感じます。とは言え、米国大学のCFOは大変そうですが。
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(更新) - 佐藤一郎国立情報学研究所 教授分析・考察
仕事柄、全米科学財団(NSF)を訪れることがある。最後に伺ったのは昨年の3月だ。米国の科学技術政策は、研究者による提案よりも、国が設定したテーマに基づく研究を重視する。ただし、そのテーマ設定は丁寧かつ巧みである。NSFなどの研究助成機関は、多数の内部研究者と、大学などから数年間期限で出向してきた研究者(准教授相当以上)が中心となり、研究者へのヒアリングや議論を重ねてテーマを定めていく。一連の助成機関への予算削減は、助成を受ける研究者への影響に目が行くが、助成機関に所属する研究者が散逸すれば、テーマ設定能力が低下する。仮に予算が復活しても、テーマ設定能力を取り戻すには時間がかかるだろう。
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(更新) - 柯 隆東京財団政策研究所 主席研究員ひとこと解説
権力を以て教育機関を痛めつけるところはトランプ氏のもっとも愚かなところである。アメリカを再び偉大な国にするトランプ氏だが、やっていることはすべてアメリカを弱体化させている。本人が自分の愚かさに気づいていないのは残念なことだが、民主主義の国なのに、周囲が彼を目覚めさせることができないのも不思議である。
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2025年1月20日(現地時間)にドナルド・トランプ氏が再びアメリカ大統領に就任。政権の行方など最新ニュースや解説を掲載します。