日本学術会議の歴代6会長が20日、学術会議を現行の「国の特別機関」から特殊法人に移行させる法案の廃案を求める声明を連名で発表した。首相が活動を監督する仕組みとなっており、「学術会議『管理』法だ」などと批判している。
声明を出したのは、吉川弘之▽黒川清▽広渡清吾▽大西隆▽山極寿一▽梶田隆章――の6氏。声明では、現行法で経費の国庫負担や独立性が保障されているのに特殊法人に切り替えるのは「不適合の立法措置」と指摘し、「政府による科学の独立性の軽視と科学の手段化を深く憂慮する」などとしている。
特殊法人化に当たって「監事」や「評価委員会」を新設して活動を監査したり評価したりすることや、新会員の選考を首相が関与した選定委員会が行う政府方針についても、独立性の観点から強い懸念を示した。
20日に記者会見した梶田氏は「法案は日本学術会議をよりよいものにする理念は感じられず、むしろ、幾重にも政府の監視を強め、政府がコントロールしているように感じる」と語った。
学術会議法案は今国会で審議中で、今月13日に衆院を通過した。学術会議側は法案の修正を求めているが、政府・与党は現状では応じていない。
6氏は今年2月、法案の撤回を石破茂首相に求める声明を連名で発表していた。【菅沼舞】
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