「合理的配慮は一切できない」。東北大法科大学院(仙台市)に在籍していた元学生が発達障害を理由に合理的配慮を大学側に求めたところ、担当の教授は冷たく突き放した。「弱者の権利を守るべき法を教える教育機関がなぜ……」。自主退学し、弁護士の夢を諦めた元学生の悔しさはいまだに拭い切れていない。
「弁護士は中学時代からの夢」
元学生は和久井幸一さん(31)。退学後の現在、東京都内でウェブマーケティングの会社を経営している。
「弁護士になることはもう考えていません」。今は会社の運営で精いっぱいだ。いずれは障害者雇用の支援事業も手掛けたいと考えている。
弁護士になることは中学時代からの夢だった。非行に走り、弁護士の温かいサポートを受けた経験があったからだ。「人生のやり直しの機会を与えられる素晴らしい職業だと思った」
都内の私立大で学んでいた2016年、勉強の中身が頭に入らないような症状があり、注意欠陥多動性障害(ADHD)と診断された。思い返せば、子どもの頃から忘れ物が多かったり落ち着きがなかったりするなどの傾向はあった。
だが、夢を諦めなかった。「自分と同じような障害のある人をサポートできる弁護士になりたい」。そんな思いが後押しし、治療と並行して勉強を続けた。19年4月に東北大法科大学院に入学した。
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