東京都が都内の大学研究者から事業提案を募り、都民のインターネット投票で採否を決める「大学提案制度」で、電気通信大(調布市)が、所属する教授の提案への投票をメールで呼びかけていたことが分かった。この制度では、投票段階で提案者名を非公開にしており、自らの提案への投票呼びかけを禁止している。提案は最多の票を集めて2023年度に共同事業に採用され、都は経費2億6000万円を既に支給。今年3月に不正投票が発覚し、都と大学は事業を中断した。不正の監視が難しい制度の穴を突かれた格好だ。(原田遼)
◆都民投票で「最多」の2954票を集めたが
不正があったのは電通大の教授が提案した「都市型太陽電池による創電・蓄電の強化推進事業」。施設の壁面に円筒型の太陽電池を設置し、太陽光発電の強化を目指す。2023~2025年度の3カ年計画で、都の負担額は総額4億9000万円。システム設計などを経て最終年の2025年度に実証を行う予定だった。
2202年度に同事業を含む40件の応募があった。都が実現性などの観点から10件に絞った後、都民投票にかけられ、最多の2954票を集めた電通大の案を含む上位5件が翌年度に事業化された。
投票は組織票を防ぐために提案者名と大学名を伏せた上で、事業名と概要のみを公開して実施された。都は提案者に、投票期間中に自らの提案を対外的に公表しないように通知もしていた。
◆「組織票」働きかけ、投票を呼びかけるSNS投稿も
だが都によると、電通大側は、提案した事業名を明かして学内の職員にメールで投票を呼びかけていた。文面は提案した教授名で、大学事務局が送信したという。
東京新聞の調べでは投票の呼びかけが、大学関係者から学外へと拡散した可能性もある。交流サイト(SNS)では学外の人物が大学幹部から送られたとみられる文面を引用し、投票を呼びかける投稿があった。
電通大は内部調査で不正を確認し、今年3月に都に報告。都は不正の全容が分かるまで事業を止めた。
◆法政大との共同事業に続くトラブル
電通大は東京新聞の取材に文書で回答し、「2022年に投票呼びかけがあった」と認めた。学外への投票呼びかけや、他の年の提案での不正行為の有無も質問したが、回答はなかった。提案した教授らへの取材も「個別...
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