「心の糧」は、以前ラジオで放送した内容を、朗読を聞きながら文章でお読み頂けるコーナーです。

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坪井木の実さんの朗読で今日のお話が(約5分間)お聞きになれます。

希望のしるし

森田 直樹 神父

今日の心の糧イメージ

 聖書の中には、少し不思議なお話があります。エルサレムから10キロほど離れたエマオという村へ歩いていた二人の弟子が、復活したイエスさまに出会うお話です。

 イエスさまが十字架にかけられて亡くなり、墓に葬られた後、二人は気を落としながらとぼとぼと旅路を進んでいます。ちょうどそこにイエスさまが来られて、一緒に歩き始められます。ところが、この二人の弟子はイエスさまだと気づきませんでした。

 イエスさまのお墓に婦人たちが出かけて行って、ご遺体を見つけなかったことを弟子たちが告げると、イエスさまは、聖書の中で、ご自分について書かれていることを説明されます。

 日が傾き、さらに先へと進もうとされるイエスさまを二人の弟子は引き止めます。そして、食事の席に着いた時、イエスさまはパンを取り、賛美の祈りを唱え、パンを裂いて弟子たちに渡されます。その時、二人の弟子は、イエスさまだと気づきます。

 二人の弟子はこの出会いを振り返って、「聖書を説明してくださったとき、私たちの心は燃えていたではないか」(ルカ24・32)と語り合います。

 このお話は、私にとって、希望のしるしです。このお話の中心テーマは「イエスは生きておられる」という天使が告げた言葉(ルカ24・23)だそうですが、まさに、このお話のとおり、イエスさまは生きていて、いつも私たちと一緒に人生を歩んでくださるのです。そして、聖書の言葉に触れた時、また、ミサでパンを裂くときに、復活したイエスさまが、今、共にいてくださるのです。

 イエスさまの復活の出来事は、2000年前に終わってしまった出来事ではありません。現代の私たちにとっても、体験できる出来事として、そして、「希望のしるし」として、今も続いているのです。