法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

支援団体Colaboが撤退を選ぶような「是正」によって深刻な問題が発生したなら、本当に「是正」だったかを疑うべきではあるだろう

 以前にも東京都の事業「きみまも」が、性加害がおこなわれうる場所として問題となったり、リソース不足を露呈して、Colabo代表の仁藤夢乃氏の批判が妥当とわかったことがある。
東京都の支援事業が想定以上の相談数でリソース不足を露呈した問題が、なぜか支援団体の問題にすりかえられている謎 - 法華狼の日記

 もし「あいつら嫌われていた」が事実だったとして、嫌われている側に見識と妥当性があって嫌った側が誤っていたなら、原則として問題があるのは嫌った側であって嫌われた側ではない。

 今回はColaboと入れかわるように東京都の事業に参加した支援団体、日本駆け込み寺の事務局長がコカインを所持していたとして逮捕されたという。
コカイン所持か「日本駆け込み寺」事務局長を逮捕(2025年5月19日掲載)|日テレNEWS NNN

捜査関係者によりますと、公益社団法人「日本駆け込み寺」事務局長の田中芳秀容疑者は18日夕方、東京・新宿区でコカイン1袋を所持した疑いがもたれています。

田中容疑者と一緒にいた20代の女も、コカインを使用したとして逮捕されています。

警察官が2人に職務質問したことから発覚したもので、調べに対し、田中容疑者は「自分で使うために持っていた」と容疑を認めているということです。

逮捕された女は「日本駆け込み寺」の相談者で、警視庁は田中容疑者が女に薬物の使用を勧めたとみて調べています。

 なお一般論としては、逮捕され自白した段階では無実の可能性も残されているし、組織の一員に犯罪者がいたとしても組織全体の問題とは限らないし、薬物乱用は罰則よりも治療の対象と考えるべきではある。
 しかしColaboよりは明らかに懸念されるべき状況ともいえるだろう。Colaboは仁藤氏の逮捕どころか、監査で不正会計は見つからず現在まで弁護団記者会見の説明が当初から基本的に妥当だったと認められているのだから。
暇な空白氏が刑事事件で起訴にいたった現在からふりかえると、2023年11月のColabo弁護団による記者会見が基本的に正しかったということ - 法華狼の日記

 記者会見の後、2024年1月以降に発表された監査結果でわかった会計ミスを「杜撰」と表現して公金の投入を否定するような論調もあるが*3、記者会見の時点で弁護団は「軽微なミス」があることなどは認めていた*4。


 はてなブックマークの反応を見ていると、id:mag4n氏のように少し前は東京都の変化を妥当なものという前提でColaboを批判しながら、変化による問題の発覚は切断処理しようとするコメントが今回も見られる。
[B! 暇空茜] 「暇空茜」を在宅起訴 中傷被害法人、厳罰訴え | 共同通信

mag4n 結局東京都が半端な会計処理を見逃してたのがうんこなのとColabo自身は活動家的な行動でほぼ名指しで発注蹴られた事象が総括なので勘違いせぬよう。てかこれより上の云々はどーなったん。

[B! 福祉] コカイン所持か「日本駆け込み寺」事務局長を逮捕|日テレNEWS NNN

mag4n 某laboは一旦切り離して考えるべきで、これ界隈的に近いから汚染されたが正しそう。

 念のため、「活動家的な行動」という主張は名誉棄損裁判でも認まった主張と考えられるし、公開されている東京都の判断とColaboの撤退理由も異なる。
 他に「不正会計」をもちだすコメントが複数あるが、他団体と大差ない会計ミスが問題になったわけではない。
もしも他の支援団体には会計ミスが存在しないならColaboだけが問題視されることも理解できるが、現実はそうではない - 法華狼の日記

*7:https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/jakunenjosei/moderu.files/tenkenkekka.pdf

 Colaboをふくむ全団体が、経費として認められない部分は補助金以上に経費をつかわざるをえない範囲におさまり、返金の必要はないと認められた。いわば横領などの不正をふせぐためだけならば制度に特段の是正をする必要がないことが確認されたわけだ。
 Colabo以外の3団体は制度変更後も東京都の事業をつづけていることからも、会計ミスやその対応が致命的な問題にはならなかったことがうかがえる。

 基本的にColaboは支援対象者の個人情報を行政にわたさないことを選んだのだ。
 たとえばDVなどで家族から逃げている状況で行政に情報をわたすと家庭にもどされることを支援対象者が懸念するような問題がある。セックスワークが違法とされている社会においてセックスワーカーの支援対象者の情報を安易に行政にわたせない問題もある。
 少なくともColaboはセックスワーカーの女性を守る方針をつづけている。仁藤氏が女性の性的な権利を否定しているという評価を見かけるが、ならばこそColaboへの攻撃に同調するべきではあるまい。
「さっさと不備の訂正上げれば終わっていた件でSLAPPはじめた宗教右翼の廃娼運動」がColaboの評価としてふさわしいとは思えない - 法華狼の日記

 コンドーム配布なども、性行為そのものを外形的にやめさせようとする宗教右翼とは一線を画している。むしろColaboが売春支援しているかのような揶揄が暇な空白氏らによっておこなわれ、今でも散発的に見かける。