国民民主・玉木氏「SNS、全部見ている」 支持率ブレーキに危機感

安倍龍太郎 南有紀

 国民民主党の勢いにブレーキがかかった。朝日新聞社が17、18日に実施した全国世論調査で、国民民主の政党支持率は8%と前回4月調査の12%から減少した。参院選比例区の候補予定者をめぐって、SNSなどでの批判が続いており、党内には危機感が広がる。

 「様々なご批判の声が上がっていることも全部見ているし、受け止めている。(候補擁立の)意義や理由をよりきちんと説明していくことが必要だ」。同党の玉木雄一郎代表は19日、支持率の落ち込みについて記者団に問われ、こう答えた。

 国民民主は昨秋の衆院選で「手取りを増やす」と訴えて支持を伸ばし、4倍増の28議席を獲得した。10月は2%だった支持率は衆院選後の11月には10%に上昇。12月以降は野党第1党の立憲民主党を上回り、4月まで10~12%を維持していた。

 ところが、今回の調査で衆院選後、初めて支持率が1桁台に落ち込んだ。支持率では「野党第1党」を維持したものの、7%の立憲との差はわずか。参院選の比例区投票先では13%で立憲に並ばれた。

若手「執行部からは擁立の理由が説明されていない」

 風向きが変わるきっかけになったのは、14日に参院選比例区の候補予定者として、同党の元衆院議員だった山尾(本名菅野)志桜里氏や、立憲に所属していた前参院議員の須藤元気氏、日本維新の会に所属していた前衆院議員の足立康史氏らの擁立を発表したことだ。

 SNS上では山尾氏の過去の私生活をめぐる報道に対する批判に加え、新型コロナウイルスをめぐり、須藤氏がワクチン接種に否定的な発言をしていたことなどへの疑問が殺到。足立氏についても他党に対する言動で懲罰動議を受けた過去などが指摘された。「人選がひどすぎる」「応援をやめた」などの書き込みが相次ぐ「炎上」が続いている。

 こうした批判を受け、玉木氏は擁立発表の前日の13日、比例区の立候補予定者に対して党の理念や重要政策への賛成を約束する「確認書」を交わすと発表した。確認書では「党として合意した事項に反する行動はとらない」と明記。党内の引き締めを図り、支援者への理解を求めた。

 一方で玉木氏は「受かりたいから国民民主に来るとか、選挙を就職活動にしない」と強調してきた。党内の若手からは「執行部からは擁立の理由が説明されていない」「地方議員の仲間からも『どういうことなのか』と問い合わせが来た」などと、今回の人選をめぐる不満の声が上がる。

 今回の世論調査では、もともと浸透が課題とされてきた女性の支持率が、4月調査の10%から3%と大幅に減少。4月は自民党に倍近くの差をつけていた若者の支持率も、18~29歳が20%から16%、30代が20%から15%に下落し、自民と同水準(ともに16%)にまで落ち込んだ。

 一部の候補予定者の擁立に慎重だった党幹部の一人は、「ネットをよく見ている若い世代が、書き込みの影響を受けているのだろう」と話す。

 玉木氏はこの日、「長く支援をいただいた方に不信感を与えるような形になってはいけない」とも説明。当面は静観する構えだが、自身のユーチューブチャンネルに、党の公認基準を自ら解説する動画をアップするなどして、沈静化を図っている。

報道各社の世論調査での国民民主党の支持率(4月→5月)

朝日新聞 12→8%

毎日新聞 15→13%

読売新聞 13→11%

共同通信 18.4%→13.2%

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    鳥海不二夫
    (東京大学大学院教授=計算社会科学)
    2025年5月20日10時0分 投稿
    【解説】

    須藤元気氏の擁立については、その可能性がニュースになった4月23日から25日ごろのX(旧Twitter)のデータを調べていたのですが、もともと国民民主を支持していたと考えられるアカウントから反対の声が多く投稿され、ワクチン政策に反対する立場の人たちからも好意的な反応は確認されませんでした。 玉木氏は「SNS、全部見ている」とのことですが、目で見たものは全体のごく一部に過ぎず、データで網羅的に見なければ分からないことが多いのはよく知られています。 もちろん、X上の言説が世論のすべてではないとはいえ、データからはこうなる可能性があることは十分に予想されていたと言えるでしょう。SNSの利用に長けた玉木氏であれば、データ分析を専門家に行ってもらうことの重要性も理解しているはずですが、今回の擁立がどのような分析結果に基づいて実現したのかは気になるところです。

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    藤田直哉
    (批評家・日本映画大学准教授)
    2025年5月20日10時24分 投稿
    【解説】

    確かにこれは、失敗な人選だったんだろう、と感じます。国民民主党は、SNSを用いたアピールの戦略をしていましたが、そのSNSの人たちの「感覚」と、多分この候補者たちは、ズレているんだと思うんですよ。 想像というか、ぼくの肌感覚で言うと、この人たちが既存のエリートであり、年齢が上すぎていて、ネットで主流の世代感とは違い、既存の政治やエリートに絶望し別種の政治のあり方を希求している人たちの期待を萎ませてしまうんだと思うんですよね。若いインフルエンサーとかYouTuberとかNPOやっている人とかで、理念がしっかりした人とかを候補にした方がよかったのでは、と…… SNSでの反応を見ていると、致命的なのは、須藤元気さんだったように見えます。東日本大震災、コロナと、ワクチンを巡る議論はネット上でずっと繰り返され、地道な啓蒙がなされ、非科学的なものが政策に入り込むことに対する草の根反対運動がSNSでは続いていました。そして、スピリチュアルやパーマカルチャー的なものとも親和性が強く見える方ですよね。そちらのニーズはおそらく参政党が応えていて、国民民主党には、そうではない、合理的な政策で政治経済を良くしていくことを期待していた層が支持していたのではないでしょうか。その期待が一挙に萎んだ結果なのだと見えます。

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