2600台の自走式ロボットが荷物を運搬 アマゾン新設の物流拠点
ネット通販大手のアマゾンは8月、千葉市美浜区に物流拠点「アマゾン千葉みなとフルフィルメントセンター(FC)」を開設する。自走式ロボットを導入する物流拠点としては、国内で最大規模になるという。7日には建設が進む施設内を報道陣に公開した。同社が稼働前のFCを公開するのは国内で初めて。
千葉みなとFCは4階建て、延べ床面積12万平方メートル。保管する商品は1700万個を超え、関東地方を中心に毎日約60万個の出荷を予定している。同FCで働く従業員の職種は30以上で、新たに生まれる雇用は2千人以上としている。
同FCには、「アマゾンロボティクス(AR)」と呼ばれる、アマゾンが開発した独自の自動運搬システムが導入される。同社は全国で25カ所以上のFCを展開しているが、AR導入拠点としては最大という。
ARは多くの商品をより速く出荷できるようにした最新の技術。スタッフは基本的に商品探しなどで移動する必要はなく、「ドライブ」と呼ばれる自走式ロボットがスタッフの元まで運搬する。千葉みなとFCにはこのドライブが約2600台配備される。
商品の棚入れでは、ドライブが「ポッド」と呼ばれる棚を持ち上げてスタッフのいるステーションに運搬。スタッフがポッドに商品を入れる際に頭上のスキャナーが商品を特定するとともに、カメラの画像を使ってどの位置に保管したのか自動で記録される。
客からの注文が入ると、その商品が保管されたポッドをドライブがステーションまで最短距離で移動させる。スタッフが広い倉庫を歩き回らなくても済むため、出荷にかかる時間が短縮できる。在庫保管も最大で約4割増やせる。ポッドの数は約3万台になる見込みだ。
省資源化のため、これまで配送の多くで使っていた段ボール箱からリサイクル可能な紙袋への変更を進め、自動梱包(こんぽう)システムも導入する。FC屋上にはソーラーパネルを置き、施設内で必要とされる電力の相当量をまかなうという。
千葉みなと地区に拠点施設を置いた理由について、同社は①大消費地の1都3県へのアクセスの良さ②高速道路へのアクセス③従業員の通勤の利便性を挙げた。全国のFC計画を取りまとめているFCオペレーション事業部の原祐介・統括本部長は、「雇用創出とコミュニケーションを通して地域の発展に努めたい」と話す。