海辺の景色と庭の花を眺めながら食事ができる、イタリア、ポジターノにある貸別荘。(PHOTOGRAPH BY MASSIMO BASSANO, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
海辺の景色と庭の花を眺めながら食事ができる、イタリア、ポジターノにある貸別荘。(PHOTOGRAPH BY MASSIMO BASSANO, NAT GEO IMAGE COLLECTION)

 国連や米調査会社ギャラップなどがまとめた2025年版の「世界幸福度報告書(World Happiness Report)」によると、誰かと一緒に食事をとること(共食)は、幸福度の指標として、所得や雇用状態に匹敵するほど強力だという。

 地中海、ラテンアメリカ、東南アジアといった地域では、料理の内容こそ違えど、「テーブルを囲んで食事を分かち合う」という習慣が文化に深く根付いており、まるで神聖な儀式のように大切にされている。人々は共に食事をし、皿は思いやりを持って手渡され、全員が食べ終わるまで誰ひとり席を立つことはない。

 一方、世界では、皆で食卓を囲むことが珍しい行為になりつつある地域もある。昼食にまるまる1時間かけると言えば奇異な目で見られ、一緒にきちんとした食事をとるといった基本的な行為でさえ、贅沢として一蹴されてしまう。われわれの幸福に欠かせないはずの習慣が、これほど簡単に切り捨てられてしまったのはなぜなのだろうか。

ギャラリー:健康で幸せになりたいなら誰かと一緒に食事をしよう 写真5点(写真クリックでギャラリーページへ)
ギャラリー:健康で幸せになりたいなら誰かと一緒に食事をしよう 写真5点(写真クリックでギャラリーページへ)
米メリーランド州ボルチモアの自宅で楽しそうにはしゃぎながら料理をする看護師と看護学校生の姉妹。(PHOTOGRAPH BY ROSEM MORTON, NAT GEO IMAGE COLLECTION)

食卓を囲む習慣、世界ではどうなっている?

 報告書によれば、米国では4人に1人がすべての食事を1人でとっており、その割合は2003年以降、53%増えている。誰かと一緒に食事をする頻度のランキングでは、142の国と地域のうち米国は69位、英国は81位だ(編注:日本は133位)。

 一方、セネガル、ガンビア、マレーシア、パラグアイといった国々は世界ランキングのトップを占めており、平均すると彼らは週に11回以上の食事を誰かと一緒にとっている(編注:日本は3.7回)。

 誰かと一緒に食事をする割合が高い国の人々はまた、社会的に強く支えられていると感じ、孤独感が弱い傾向にある。この結果が示唆しているのは、社会の工業化が進み、共に食事をする機会が減っているのは、単なる生活習慣の変化ではなく、以下に述べるように公衆衛生上の懸念でもあるということだ。(参考記事:「「持続的幸福度」の最新の調査結果が明らかに、日本は最下位」

脳への影響

 2017年に学術誌「Adaptive Human Behavior and Physiology」に掲載された研究では、人と一緒に食事をとることが、脳内のエンドルフィン系を刺激することが示唆されている。この経路は、絆や信頼などに関わる神経化学物質であるオキシトシンやドーパミンと密接に関連している。食卓を共に囲むことは、会話と同じくらい、人と人とのつながりにとって極めて重要な行為であるようだ。(参考記事:「ドーパミンは「快楽物質」ではない、“幸せホルモン”の真実」

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