〈社説〉柏崎刈羽原発 不安拭えぬ避難計画だ
原発で重大事故が起きた時に住民の安全は守れるのか。
新潟県の東京電力柏崎刈羽原発で避難計画の実効性のなさが浮かび上がった。
柏崎刈羽で重大事故が起きた際、住民避難を担うバスの必要台数が確保できるか見通せない状況であることが判明した。国や県は実際に稼働できる台数を把握しておらず、避難計画の信用性が問われる事態だ。
国は今月2日に、住民避難計画を含む緊急時対応案を取りまとめた。原発から5キロ圏の避難にバス177台が必要だと想定。5~30キロ圏で放射線量が基準値を超えた場合に必要な台数は、最大1357台に上っている。
だが、新潟県バス協会の会員58社に共同通信が尋ねたところ、住民避難用に稼働できるバスは、回答した41社が保有する車両の1割強、134~177台にとどまった。このうち12社は、運転手が被ばくする危険性などを懸念して0台と回答。未回答の17社は、運転手や予約状況が不透明とした。
緊急時対応の策定は事実上、再稼働の条件の一つとなっている。今後、住民説明会などを経て、政府の原子力防災会議で対応案が審議される。
バスがなければ避難できない住民は少なくない。有識者からは「机上の空論だ」との声が上がっている。このまま手続きを進めていいとは到底言えない。
新潟県の対応も問われる。
バス確保を巡り、花角英世知事は14日の定例記者会見で、県内で対応できなければ周辺の県に協力を求め、最後は自衛隊などが支援すると国の計画に明記されているとし「問題が起きないよう対応していける」とした。
また、同県は事故時の被ばく線量のシミュレーション(予測)結果も公表。5キロ圏内の一部で国際原子力機関(IAEA)の基準値に達する想定があるものの、予防的に避難することで「基準を上回る被ばくは避けられる」とした。だが、公表した六つの想定を超える事故は起こりえないのか。いずれも根拠や説明が求められる。
花角氏は会見で、再稼働の是非を自身が判断する前に県民の意見を確認する方法の一つとしている「公聴会」を、早ければ6月から始める考えも示した。
避難に当たっては、地震や豪雪が重なった場合に経路を確保できるのかも大きな課題だ。
まずは住民が納得できる避難計画が要る。再稼働是非の判断はそれからである。
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