神奈川の大量コカイン漂着、海外密輸組織関与か
大量の薬物はどこからやって来たのか――。神奈川県の海岸でコカインが相次いで見つかった事件。鑑定中の粉末と合わせると計約120キロ(末端価格約72億円相当)と、国内過去最大の押収量とみられる。外国から流れ着いた可能性もあるが、捜査関係者は海外の組織が日本の市場開拓を狙って密輸を図っていたのではないかとみて、警戒を強めている。
「毎日いろんなものが流れ着くけど、こんなのは初めて」。相模湾に臨む横須賀市長井6の砂浜で、発見者の漁師の男性(74)が振り返った。男性が見つけたのは19日早朝。ごみ拾いをしていると、ポリタンクやペットボトルがロープで結び付けられた、不審なリュック4個が波打ち際に流れ着いていた。
男性によると、三浦半島西側の海域は、太平洋から相模湾への漂着物が流れ込む。海外からのごみなども多く、リュックやポリタンクは日に焼けており、長い間、海上を漂っていたように見えたという。
通報を受けた県警が調べると、リュックには小さな袋約80個に小分けされたコカイン計約80キロが詰め込まれていた。21日には数キロ離れた、横須賀市御幸浜4と葉山町堀内の海岸でも、同じようなリュックが1つずつ見つかり、同じく袋に入ったコカインとみられる白い粉末計約40キロが出てきた。一部には「CH」と「B」と油性ペンで書き込まれていたという。
県警は船舶から海に落とした違法な薬物や銃などを拾い上げて取引する「瀬取り」という手口で、密輸組織が回収に失敗したのが原因とみて捜査している。
「今回は天候が悪かったか、目印がはっきりしなかったため、回収できなかったのではないか」と推測するのは県警薬物銃器対策課の志水佳比古薬物捜査伝承官。瀬取りはチェックの厳しい空港や港湾からの密輸と比べて発覚のリスクが少なく、最近は携帯電話や全地球測位システム(GPS)を使うなどハイテク化が進んでいるという。
量の多さに注目するのは薬物問題に詳しい小森栄弁護士だ。コカインは欧米が主な消費地だったが、近年は東アジアで市場が広がりつつあるため「日本における市場開拓を狙った海外グループが関与している可能性がある。水際対策を強化すべきだ」と指摘している。〔共同〕