【某テーマパーク迷惑客の話】①
ショーが始まった瞬間だった。
右隣の女性が一眼レフを構えた。
レンズが顔すれすれ。
シャッター音が連打される。
「見えねえって…」
思わず声に出た。
でも彼女は完全無視。
僕は思わず妻の方を見たが、
妻も苦笑いしていた。
一言注意しようと声をかけた。
「すみません、ちょっと…」
その瞬間だった。
「触らないでくださーい!」
声が響いた。
会場の空気がピリついた。
「撮影は禁止されてないので!」
彼女が叫んだ。
僕の前にいた家族連れも振り返る。
「レンズが顔の真横にあるんです」
そう説明したけど
彼女は「知らないです」の一点張り。
「じゃあ、退いてくださいよ」
そう言われて、僕の中で何かが切れた。
妻が小声で「やめなよ…」と止める。
でも僕の声も自然と大きくなった。
「あなたのレンズ、他人にぶつかってるんですよ」
「はぁ!?
May 18, 2025 · 10:17 PM UTC
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【某テーマパーク迷惑客の話】②
「ぶつかってませんけど?」
彼女の目が笑ってなかった。
後ろの夫婦が「有り得ない…」と呟く。
俺は彼らに背中を押された気がして
「もう少し周囲に配慮したらどうですか」と言った。
その時、彼女が隣の友人に言った。
「マジ無理、あの男ウザ」
その言葉に、妻の目が凍った。
僕も、笑えなかった。
そしてついに――
鞄が僕の胸に当たった。
「わざとじゃないですけど?」
言いながら目はニヤついていた。
僕が言い返すと
「男性が女に怒鳴るんですか?」と被せられた。
もう言葉も出なかった。
でも、周囲の人たちが彼女たちに冷たい視線を送っていた。
「大丈夫ですか?」
後ろのご夫婦が声をかけてくれた。
妻が小さく「すみません」と言った。
僕はその優しさに救われた。
けれど、戦いはまだ終わらなかった。
「最悪だわ ゴミ…
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【某テーマパーク迷惑客の話】③
女性たちは場所を移動しようとしながら
「今日は最悪」と大声で言った。
その声に周囲のゲストも振り返る。
「今の聞こえた?」
僕が妻に小声で聞くと
妻は「聞こえた」とだけ言った。
僕たちが黙ってることを「勝ち」だと思わせたくなかった。
だから言った。
「迷惑行為、スタッフに報告しておきます」
その言葉に、彼女は
「は?証拠でもあるんですか?」と食いかかってきた。
「証人はたくさんいますよ」
後ろのご夫婦も
「私たちも見てました」とうなずいた。
彼女は一瞬たじろいだ。
けれどすぐに開き直る。
「パークって、いろんな人いるんだなあ」
彼女の友人が小声で「もう帰ろ」と言う。
その瞬間、彼女は僕の足元に
レンズキャップを投げた。
「これも証拠にする!
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