[del] [mhtで保存] [「」ッチー]
index:バンドリ! 報告

二次元裏@ふたば

画像ファイル名:1745506999252.jpg-(60037 B)
60037 B25/04/25(金)00:03:19No.1305663617そうだねx7 02:12頃消えます
「祥」
聞き慣れた声。
きっと目を閉じても、まぶたの裏に、その相貌のひとつひとつをつぶさに思い浮かべられるほど見慣れているわたしの幼馴染は、ゆったりとした仕草で、傘を広げて、入ってといわんばかりにわたしを見つめた。
スタジオに入ったそのときには、雲一つもない快晴だった。
でも、いま、立ち尽くすしかないほどの雨は、軒下に立った彼女の白い肌を、白い髪を少しだけ濡らしていた。
ふたりで入るには、あまりにもちいさな傘だった。
「睦」
わたしの呼びかけに頷いて、肩を寄せる。彼女の髪とわたしの髪が溶け合うほどの距離。
「そうではなくて……、ギターが濡れますわよ」
睦が、ちいさな身体に背負っていたギターケースを身体の前にまわして、抱き抱える。そうして、また、わたしを見つめる。
ため息。
「きっと、通り雨でしょう」
「少しだけ、雨宿りしていきましょう」
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
125/04/25(金)00:04:16No.1305663992そうだねx1
「アールグレイを」
カフェスペースの奥深くの席に腰掛けて、手短に注文を済ませる。
「睦は――」
「いらない」
「祥がいてくれれば、それでいい」
わたしの隣に、ぴたりと座った彼女が、そう言い捨てる。
「かしこまりました」
少し困惑した様子で、キッチンへと消えてゆくホールスタッフの背中を意味もなく、目で追いながら、睦の手を握る。握り返される。
そうして、思う。
この子は一体誰なのでしょう。
睦、モーティス、あるいは。
225/04/25(金)00:05:02No.1305664251そうだねx1
「最近は、眠れていますの」
問いかけに、少しだけ間を置いて、応えが返ってくる。
「わからない」
彼女のちいさな頭が、わたしの肩にもたれかかる。遠くから香るコーヒーや紅茶の匂いに、睦の匂いが混じる。拒む理由はない。
わたしが頼んだアールグレイが運ばれてくる頃には、睦はあまりにもしずかな寝息を立てていた。
話し声。カップが置かれる音。うっすらと店内をただよう音楽。
暇を持て余して、彼女の髪をやさしく撫でてみる。遠い日の記憶のなかのそれと寸分も変わらぬ、天鵞絨のような髪。
わたしの手が離れようとするたびに、すぐさま、睦の手のひらが追いかけてきて、それをぎゅっと握りしめる。赤子のようだと思う。
雨は止む気配を見せない。時々、突然の降雨に店に避難してきたであろう一団の声が響く。
意味もなく、壁掛け時計の秒針を目で追ううちに、睦にもたれかえすようにして、わたしもまた、眠りに落ちていった。
325/04/25(金)00:05:52No.1305664554そうだねx1
夢を見た。
睦とまぐわう夢だった。
天蓋つきの大きなベッドで、天井いっぱいの夜とお星さまとお月さまがわたしたちを見守っていて。
「祥」
耳許で、なんども名前をよばれ、愛をささやかれる。
心地よい声だなと、素直にそう思う。
「どこにもいかないで」
わたくしは、いつでも睦のとなりにいますわ。
深く口づけを交わす。深く抱き合う。
「祥、どこにいるの」
やさしく頬を撫でる。やさしく額を合わせる。
ねえ、睦。
あなたは今どこにいますの。
425/04/25(金)00:06:31No.1305664791そうだねx1
「――雨、止んだよ。祥」
落下するような感覚とともに、目を覚まして、辺りを見渡す。
気づけば、とうに日が落ちていた。
いやにありありとした感触とぬくもりが、目を覚ましたあとも残っているような気がして、頭がぼーっとする。
「睦はどんな夢を見ていましたの」
彼女は不思議そうに首をかしげて、行こうとつぶやいた。
長い眠りについたであろう"睦"は、いま夢を見ているのでしょうか。
もしそうなのだとすれば、それがしあわせでいっぱいの夢であってほしいものですわ。
冷めきったアールグレイを飲みほして、席を立つ。
睦の手を引いて、家路を辿る。ちいさくて、か細くて、ひんやりとした手。
夢での話とはいえ、この手がつい先ほどまでわたしを愛撫していたのだと思うと、少しだけむず痒いような気持ちになる。
525/04/25(金)00:08:02No.1305665312そうだねx1
「睦」
別れ際に、ふと名前を呼んでみる。
立ち止まって、わたしの目を見つめる空虚な瞳に射られて、わたしは言葉を継ぐことができなくなった。
「なんでもありませんわ」
言い終える前に抱き寄せられる。まるでわたしが、そうしてほしいと言ったかのように。
「祥」
また雨が降り始める。わたしの頬を伝う涙を隠そうとするように。
睦がわきに抱えていた傘が倒れて。
そうして、わたしたちは、雨に降られるまま抱き合っていた。
625/04/25(金)00:11:35No.1305666555+
むつさきは…長く続く…
725/04/25(金)00:14:41No.1305667624+
>むつさきは…長く続く…
続いてるかなァ?!
825/04/25(金)00:16:14No.1305668149+
違う味になったけど続いてる…
925/04/25(金)00:19:29No.1305669247+
しっとりむつさきはケンコウニイイ!ようなワルイ!ような…
1025/04/25(金)00:20:59No.1305669721+
目の前でむつさきのじっとりイチャつきを見せられたスタッフの気持ちよ…
1125/04/25(金)00:24:24No.1305670909そうだねx2
凄い言葉少ななのがいい...
1225/04/25(金)00:25:02No.1305671119+
こういうの原作でも見たい
1325/04/25(金)00:29:55No.1305672583+
いい…
1425/04/25(金)00:36:24No.1305674671+
死別するな帰ってこい
抱け頼む…
1525/04/25(金)00:41:27No.1305676098+
二人は言葉少なくても通じちまうからそれが本編だとトラブルの元になってチクショウ!
1625/04/25(金)00:43:23No.1305676661+
でも濡れっぱなしはケンコーニワルイ!早く温めあって!
1725/04/25(金)00:47:28No.1305677863+
8話のむつさきがそのまま続いてたらこういう感じだったのかな…
1825/04/25(金)00:59:06No.1305680949+
お互いの名前を呼ぶだけで意思疎通してるむつさきを見てちょっと引いてるにゃむちはどこかにいるはず
1925/04/25(金)01:08:49No.1305683142+
眠りについたお姫様を目覚めさせるのは王子様のキスだって古事記にもそう書いてあった


1745506999252.jpg