ベラスコ自身も日本のスパイだけではなくバチカンを通じた闇の支配権力と枢軸三カ国を股にかけるによる三重スパイである。本書で綴られる内容は大東亜戦争におけるスパイ活動の裏側だが、その実態は、悉く日本側が自軍に有利な情報をわざと破棄し、無理な作戦により多くの兵士が犠牲になり敗戦に導かれたことが色濃く綴られる。ベラスコによる証言、日本側の特殊諜報機関として活動した内容も貴重なものだが、併行して綴られるナチスの脱出計画にベラスコ自身が携わっている記述やヒットラーの影武者についての詳細な証言も大変貴重だ。中盤ではベラスコの証言の他にも野口雄一郎の論文であったり国際政経学会を創立しユダヤ勢力を監視した渡部悌治、山本五十六生存を実証した川尻徹らの書籍における記述からも構成される。
「日本の対アメリカ戦はとうに終わっていたのに、とベラスコは振り返る。ベラスコが西海岸から発信したアメリカ艦隊情報を日本の戦争指導部は無視した。それどころか、決定的な勝利情報を日本は受け取らなかったのだ。開戦初期に須磨公使はベラスコと契約して英米連合軍情報の入手を懇願したというのに、日本政府の東郷外相はなぜベラスコ情報を無視したのか・・・日本政府と軍部(少なくとも山本五十六元帥率いる日本海軍)には、何が何でもアメリカに勝つ強い意志など、最初から微塵もなかった事実・・」
「ヒトラーの第三帝国に続く第四帝国の建設(マルチン・ボフマン)とナチズム復活プロジェクト(ペーパー・クリップ作戦)の莫大な資金やナチス製の原爆を使用することで未使用に終わったマンハッタン計画の資金21億ドルもそれら全ては、ベラスコやヒロヒトが所属した第三極の金融資本家、つまり世界特殊権力者勢力が、連合国と枢軸国に代わって賄った。ヒロヒトの金塊がそれだ。半世紀前の戦争とはこんな構造から世界建設を目指したロクでもない連中のおこないを隠すための口実(金融ゲーム)だったのだ。」
「ベラスコは日本海軍が米英艦隊を徹底壊滅して戦勝国になり得た機会が少なくとも四回はあったと断じていた。たとえ情報が敵側から完璧にキャッチされていたにせよ、戦術、物量、装備、士気などが米英艦隊以上に優れていた初期の日本海軍機動隊部隊は、普通の参謀が指揮しても開戦初期から一挙に敵をつぶせたという。なぜなら、ベラスコはTO情報を連合国と同じ発想、つまり戦争を支配するユダヤ系民族特有の思考と手口で収集分析したからこそ、武闘で争う日本勝利は確実だった。しかし、日本は自国民固有の発想と価値観でTO情報を分析解析したからこそ誤ったのだとベラスコは口惜しがった。日本海軍四回勝利説の戦場はどこか。いわくミッドウェー海戦、ガダルカナルが完全勝利の場だった。敵国の詳細な動きを伝えるTO情報の電文は悉く無視され破棄された。そもそも初めから勝つ気などなく、日本側に有利となる情報は破棄されていった。」
世界は自分の意識が作る