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【第54回】地方の出世と補助金の私物化――某中国地方中核都市の職員が中小企業庁で何をしていたのか


◆ 実地検査に“地方公務員”が同席してきた日

ある日、事業再構築補助金に関する実地検査に、私たちがまったく想定していなかった人物が現れました。

名刺も出さずに自分で名乗るには「中小企業庁」。実地検査中には気付かなかったが調査をすると彼は、出向元は某中国地方中核都市の市役所の「市長動静」に頻繁に名前の挙がる人物で市役所の職員と言うことが判明しました。

その人物、中小企業庁職員A氏は、現場で驚くべき態度と発言を繰り返しました。

明確な法的根拠も制度上のルールも示さず、
「名刺や名札を出す義務はない」
「録音をするなら検査を妨害したとして不交付にする」
「(取引に関係のない)全ての勘定元帳を見せろ」
――
荒唐無稽、支離滅裂。しかも、その態度には明らかな“威圧的な物言い”が漂っていました。いわゆる「昭和の役人像」そのものを地で行くような、令和の世では考えられない対応です。

今思えば「鼻から当社の補助金の返還を決めていた」かのような、結論ありきな検査をしていたのかもしれません。


◆ なぜ地方公務員が、国の制度で「断罪者」を演じていたのか?

本来、地方職員が出向で中央省庁に赴くのは、政策の現場を学び、地元に還元するための貴重な機会であるはずです。

しかし、今回のA氏のような対応を見る限り、それは制度運用の盾として利用されているようにすら見えます。

しかも彼は、明らかに制度の本質を理解せず、行政手続の手順も無視し、補助金適正化法に関して誤った考えを持って、「言質」だけで補助金交付を拒絶しようとしていました。

これは単なる不適切対応ではありません。
出向という身分の地方公務員が、法律に基づかない判断で補助金の支給を実質的に左右するという、明確な行政法上の逸脱行為です。


◆ なぜ“某中国地方中核都市”の職員が、そんなことをしていたのか?

そのヒントは、実は彼の出向元である、某中国地方中核都市B市にあります。

B市は、全国でも数少ない事業再構築補助金の「産業構造転換枠」の地域指定を受けておりました。

「産業構造転換枠」とは、その地域の基幹産業を担うような大手企業などが、撤退するなどに伴い地域経済の救済を目的に、特別な優遇を受けられる枠です。

直近では以下のニュースソースの様に「広島県呉市の日本製鉄工場の撤退に伴う」地域産業の構造転換で用いられるような事例が典型的です。(あくまで呉市は「事例」です。)
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E6%97%A5%E9%89%84%E5%91%89%E8%B7%A1%E5%9C%B0-%E9%98%B2%E8%A1%9B%E6%8B%A0%E7%82%B9%E6%A1%88-%E5%91%89%E5%B8%82%E9%95%B7%E3%81%8C%E5%8F%97%E3%81%91%E5%85%A5%E3%82%8C%E8%A1%A8%E6%98%8E/vi-AA1ESlU9?ocid=socialshare&pc=U531&cvid=fc5de7d4611b4921bc314dc260decc39&ei=9

この枠において次のような破格の優遇措置を受けています。

【B市の優遇制度(抜粋)】

  • 補助率が通常1/2から2/3に引き上げ

  • 廃業費用の補助上限が最大2000万円上乗せ

  • 市独自に最大300万円(+追加最大300万円)の上乗せ補助

  • 対象企業は基幹企業との取引10%以上がある企業に限定

つまり、B市にとって事業再構築補助金は、地域産業政策の根幹にあるのです。
補助金がもたらす財政インパクトと政治的効果は、地方行政にとって極めて重要。

そんな中で、「中央で補助金を握る」=出世への最短ルート
中小企業庁に出向したA氏が、そのポジションで「取り締まる側」「選ぶ側」として振る舞ったのは、単なる職務以上の、政治的野心と組織的思惑の表れだったのかもしれません。

当然、市長動静にも名前がよく出てくる人物ですし、かなり市長からも目をかけられていたことが予想されます。

将来は企画系のトップや副市長の座であったり、もしかすると市長を狙えるような立場である可能性が高いです。

本人もその自覚があるわけですから、「ふんぞり返って偉そうに、補助金の実地検査を犯罪捜査や税務調査と勘違いしたかのような態度で」対応しており「一般市民を下賤な者」という目線で常に見下した偏った考えの持ち主ということでしょう。


◆ 中小企業庁のキャリア官僚を“守る盾”としての地方出向

もう一つ、私たちが見逃してはならない構造があります。
それは、中小企業庁のキャリア官僚が直接矢面に立たず、出向職員が代わりに現場で「言いにくいこと」を口にする構図です。

職員A氏が荒唐無稽な審査論理を展開していた背景には、
本来説明責任を負うべき中小企業庁のキャリア職員を“汚れ役”から守るという内部力学が働いていた可能性があります。

「地方の人間が言ったことにすればいい」
「出向だから、戻れば終わり」
「職名だけ“庁職員”なら、責任の所在は問われにくい」

まるで、制度のグレーゾーンを出向職員に押しつけるための“便利な仮面”にされているようでした。


◆ このような人物が出世していくB市民に哀悼を

私たちは、現場でA氏のあまりの不誠実さと理解不足に唖然としました。
しかしそれ以上に衝撃だったのは、こうした職員が“中央での実績”をもって、B市に戻っていくという事実です。

そして、そうした人物が、また地元で中小企業政策や産業施策を主導していく。
これこそが、日本の補助金制度と地方行政が抱える、最も根深い“人材の負債”です。

真面目に現場で頑張る事業者を見下し、制度を恣意的に扱い、己の評価を優先する――
そんな人材が上に立っていく組織に、希望などあるでしょうか。

B市の将来を託された市民の皆さまには、心からの哀悼と同情を禁じ得ません。


◆ 制度改革を叫ぶ前に、人事構造の透明化を

補助金制度の適正運用を求める声が高まっています。
石破政権はエネルギー関連補助金の拡充を掲げていますが、このままでは同じ構造、同じ歪みが繰り返されるだけです。

補助金の見直しだけでは足りません。

  • 補助金を運用する実行部隊の組織改編

  • 出向職員の責任体制の制度的明確化

  • 中小企業庁と機構の役割分担と文書記録義務の厳格化

これらを行わなければ、補助金は支援ではなく、中央と地方の人事ゲームの舞台であり続けるでしょう。


◆最後に:A氏の私に投げかけた言葉をお返しします

検査時に、私が私たちの会社が何ら問題なく、事業を展開していることを私が伝たえたうえで「どうして、このように別段問題なく補助金を活用して運営している会社に対して、白いものをとにかく黒くするような審査をするのか?」と問いただしたところ、彼は人を見下した物言いで、鼻で笑いながらーーーーーーー

「情で審査していませんから、事実に基づいて審査するだけです」

という一言を投げかけました。果たして、「情」や「私情」で審査をしていたのは誰でしょうか?
自分の出世欲、市長にいい顔をしたい、そのためには国から良い予算を取り付けるために、中央官僚に「いい所見せたい」と思いながら日々の業務に当たっている人間に果たして「私情」がないと神に誓って言えるのでしょうか?

ましてや「従業員が証言したので工事はやっていない」などと言い、工事当時に在籍していない社員があたかもそのように証言したかのような嘘の報告を挙げさせることを主導した、この市役所職員が人様に「事実」や「真実」を語る資格が果たしてあるのか?

一通りのことが済んだら私は、B市市長に裁判の経緯や彼の取った態度、うその証言の首謀者の一人であることを告発しようと思っています。

こんな人物が市役所の職員として働き続けて言い訳がありません。ましてや副市長や市長になりたいという野心があるならば、余計にその濁った心の野心を阻止しなければならないと考えています。


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