1─3月米学生ローン延滞率急上昇、返済猶予終了後の苦境浮き彫り=NY連銀
ニューヨーク連銀が15日発表した5月のニューヨーク州製造業業況指数はマイナス9.2となった。2019年3月、ニューヨークで撮影(2025年 ロイター/Brendan McDermid)
[13日 ロイター] - ニューヨーク連銀が13日発表した家計債務に関する四半期報告で、学生ローンの延滞率が今年1─3月に大きく悪化したことが分かった。コロナ禍で実施された返済猶予が終了した後、学生たちが支払いに苦しんでいる様子がうかがえる。
1─3月の家計債務残高は前期比0.9%増の18兆2000億ドル。学生ローン残高は160億ドル増の1兆6300億ドル、住宅ローン残高は1990億ドル増の12兆8000億ドル、クレジットカード債務残高は290億ドル減の1兆1800億ドル、自動車ローン残高は130億ドル減の1兆6400億ドルだった。
家計債務のうち90日以上返済が遅れている借入比率は、昨年10─12月の3.6%から4.2%に上昇。特に学生ローンの延滞率は1%弱から約7.7%に跳ね上がった。他の種類の債務では延滞率がおおむね横ばいで、学生ローンが全体の延滞率を押し上げた形だ。
ニューヨーク連銀のエコノミストは、学生ローンの延滞率上昇率がコロナ禍以前のトレンドに戻っていると述べ、問題を抱えた債務は「深刻な」水準にあると指摘した。
広告 - スクロール後に記事が続きます
同エコノミストは「数百万人の借り手が信用力の急激な低下に見舞われ、それが借り入れコストを増大させるか、住宅ローンや自動車ローンなどの借り入れの重大な制約につながるだろう」と警告。ただ学生ローンの延滞状況の実態がはっきりするには、数四半期かかる可能性もあるとの見方を示した。
学生ローンの借り手にとっては、トランプ政権の姿勢も逆風だ。同政権は4月下旬、返済できなくなったり返済が遅れたりしている人々を対象に回収の取り組みを強化すると表明した。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab