オリ山岡不起訴でも幕引けぬオンラインカジノ問題 事情聴取されたと噂のビッグネームも

鬼筆のスポ魂

チーム合流に先立ち、過去のオンラインカジノ利用について記者の質問に答えるオリックスの山岡泰輔=3月21日、大阪市此花区
チーム合流に先立ち、過去のオンラインカジノ利用について記者の質問に答えるオリックスの山岡泰輔=3月21日、大阪市此花区

プロ野球界で発覚したオンラインカジノ問題は、一件落着どころか、実はまだ氷山の一角があらわになっただけで、今後ビッグネームが浮上する可能性がある。球界内の処分発表で幕引きかと思いきや、法律を破った罪の実態や実名を明らかにしようとする水面下の動きが続いているのだ。

賭博容疑で書類送検

違法なオンラインカジノを利用したとして賭博容疑で書類送検されたオリックスの山岡泰輔投手(29)について、大阪地検は23日、不起訴処分にした。地検は「捜査の結果、諸事情を考慮した」としており、詳細を明らかにしていない。

山岡は春季キャンプ中の2023年2月、宮崎市内の宿泊施設でスマートフォンから海外のオンラインカジノサイトに接続し、ポーカーゲーム賭博をした疑いを持たれていた。今年2月に球団が大阪府警に相談。山岡は府警の調べに、21年9月~23年10月に約300万円を賭けたことを認めた。また、福岡区検はオンラインカジノを利用したとして単純賭博容疑で書類送検されたソフトバンクの関係者を10日付で不起訴処分にしている。

約1カ月ぶりにチームに合流し、室内練習場でキャッチボールするオリックスの山岡泰輔=3月21日、大阪市此花区(中島信生撮影)
約1カ月ぶりにチームに合流し、室内練習場でキャッチボールするオリックスの山岡泰輔=3月21日、大阪市此花区(中島信生撮影)

8球団16人の利用判明

オンラインカジノをめぐっては、山岡の利用が発覚したことを受け、日本野球機構(NPB)が各球団に選手、スタッフらの調査を要請。利用していた場合は自主的に名乗り出るよう呼びかけたところ、7球団14人から申告があったと2月下旬に発表された。3月20日までに自己申告者は1人増え、山岡を含む8球団16人の利用が明らかになった。

NPBは各球団に処分を委ね、1人当たり10万円から最大で300万円、8球団で総額1020万円の制裁金を科した。また、NPBと12球団は、制裁金と合わせて3千万円をギャンブル依存症対策に取り組む団体に寄付。申告者の名前については「警察の捜査に影響がある」として山岡以外は非公表となっていた。

今回、山岡やソフトバンクの関係者の不起訴が発表された。球界での処分も一定の区切りがついたとあって、オンラインカジノ問題は〝鎮火〟の方向に向かうと思われがちだが、実態は全く違う。

山岡とソフトバンク関係者は球団がフランチャイズを置く都道府県の警察当局による事情聴取を受け、結果として不起訴となった。こうした警察の動きは他の14人だけでなく、自己申告しなかった人にも及び、賭博の金額や常習性などが調べられているようだ。

チーム合流に先立ち、過去のオンラインカジノ利用について記者の質問に答えるオリックスの山岡泰輔(左)=3月21日、大阪市此花区
チーム合流に先立ち、過去のオンラインカジノ利用について記者の質問に答えるオリックスの山岡泰輔(左)=3月21日、大阪市此花区

球界内にはさまざまな情報が流れており、警察から事情聴取を受けた人として、かなりのビッグネームの名前も取り沙汰されている。仮に山岡以上の金額を賭けていたり、常習性が認められたりした場合、不起訴にはならないのでは…という情報もある。

実名は公表せず

NPBと12球団は、山岡以外の実名は最後まで公表しない方針。しかし、法律に違反したとして事情聴取を受け、処分が出ても名前が判明しないことなどあり得るのだろうか? 多くの捜査関係者が絡んでいるだけにリークされる可能性があり、実際にそうした兆候も見受けられる。現時点では山岡だけが〝さらし者〟になっているが、今後の動き次第では、ビッグネームの名前が表沙汰になる可能性も大いにある。

プロ野球はシーズンが開幕して約1カ月が過ぎた。オンラインカジノ問題など過去のこと…。そんなふうに幕引きを図りたい関係者もいるだろうが、警察による事情聴取は今が盛りのようだ。

【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや) サンケイスポーツ運動部記者として阪神を中心に取材。運動部長、編集局長、サンスポ代表補佐兼特別記者、産経新聞特別記者を経て特別客員記者。岡田彰布氏の15年ぶり阪神監督復帰をはじめ、阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。

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