今回は新興のクラフトウイスキー蒸溜所である久住蒸溜所のシングルモルト久住 THE FIRSTを飲みます。

酒造業未経験から始まったウイスキー作り

kuju_1久住蒸溜所は、大分県竹田市久住町にある蒸溜所です。元々は日本酒の酒蔵だった場所で、それを蒸溜所として改修したようです。

運営をしているのは津崎商事で、元々は酒店を営んでいた企業で、酒の製造については未経験でした。
創業家出身の宇戸田 祥自氏は、実家の品揃えをウイスキー中心にした洋酒専門店に切り替えると共に、学生時代に惚れ込んだウイスキーを自ら製造することを夢見るようになりました。

その後、竹田市久住町にあった元々酒蔵だった土地を買い取り、そこを蒸溜所として回収しようと考えたそうです。

しかし製造免許を持っていなかった宇戸田氏は、イチローズモルトで有名なベンチャーウイスキーと、マルスウイスキーで有名な本坊酒造でそれぞれウイスキー作りについて学びました。

2019年に蒸溜所建設が始まり、2021年に竣工。同年にウイスキー製造免許を取得し、本格稼働しました。

そして2025年2月に、ブレンデッドモルトウイスキーとして「Green Dram」をリリース、4月に11,000本の数量限定のシングルモルトウイスキーとして「シングルモルト久住 THE FIRST」をリリースしました。

シングルモルト久住は、バーボン樽原酒をキーモルトに、リフィル樽原酒、シェリー樽原酒を加えた構成になっています。
また、加水を行わないカスクストレングスであり、冷却濾過を行わないノンチルフィルタードの製法を採用しています。

テイスティング

グラスからの香り、液色

グラスからは青リンゴの爽やかな香りが広がります。
液色は淡いゴールドです。

ストレート

青リンゴ、レーズンの香りが中心に広がります。

味わいはアルコールからの辛みがとても強く、口が麻痺するほどです。

ロック

青リンゴのような爽やかな香りが広がり、レーズン、ピート、ミントと続きます。
味わいは、スパイシーさが先にやってきて、酸味へと続きます。

ハイボール

青リンゴの香りが先に広がり、続いてレーズンの香りが追いかけてきます。
味わいは、軽い苦みと共に酸味が広がります。甘さはありません。

フレッシュさが目立つボトル

全体的には青リンゴとレーズンの香りが強く、スモーキーさも多少感じられるものの、全体的にはライトなボディ感があるように思います。

やはりカスクストレングスで3年熟成と短いため、ストレートではアルコール感がとても強く、加水しないと厳しいです。
また、甘味がほとんど感じられず、酸味主体の味わいですので、ハイボールにして揚げ物と一緒に飲むならいいかもしれません。

今後5年、10年、20年と熟成が重ねられることで、どういう変化が生まれるか期待したいと思います。

700mL、アルコール度数は58度、価格は17,000円弱です。
クラフトウイスキーであることと数量限定であることを含めても、簡単に飲めるものではないです。
オーセンティックなバーに置いてあったらラッキーかも知れません。

<個人的評価>

  • 香り B: 青リンゴとレーズンの香りが強い。奥からミント、スモーキーさも加わる。
  • 味わい C: ストレートでは辛みが強すぎて飲みにくい。加水で酸味がメインに。苦みも裏に潜む。
  • 総評 C: 若さの詰まったボトル。今後の熟成に期待。