貧困に耐えかね「ウリ専」に走るノンケ男性が急増中? 知られざるゲイ向け風俗の世界

 威勢のよかったアベノミクスはどこへやら。庶民の生活は楽になるどころか、苦しくなっていく一方である。


 
 そんな厳しい経済状況のなか、「宝島」(宝島社)2015年8月号に驚くべきレポートが掲載された。なんと、窮乏に耐えかねて、"男性が男性に性的サービスを提供する"、いわゆる"ウリ専"ビジネスに足を踏み入れる人が増えているらしい。

 さらに驚くべきことに、ゲイではなく、"ノンケ"(ゲイでもバイセクシャルでもない、女性が好きな男性)が、ウリ専ビジネスに流れているというのだ。

 男で手っ取り早く金を稼ごうと思ったら、お水の世界だと、"ホスト"か"ウリ"になる。しかし、ホストは上下関係も厳しいし、お客さんとのメールは四六時中応じなくてはいけない。その点、ウリ専であれば、週1日1時間だけのシフトを組むことも可能。時間的な拘束が少ない。なので、昼は一般の仕事を続けながら兼業することも容易となる。それが、ノンケの男たちをウリ専の世界に誘っている大きな要因なのだそうだ。

 終わりのない不況の煽りを受け注目度を増す"ウリ専"とはどんな世界なのか? 実際にウリ専として働く"ボーイ"たちのインタビューを通し、その知られざる世界をまとめた、松倉すみ歩『ウリ専!♂が♂にカラダを売る仕事』(英知出版)を紐解きながら見てみたい。

 まず、ウリ専の店だが、日本最大のゲイタウン・新宿二丁目ではなく、意外にも"高田馬場"が熱いスポットらしい。ウリ専の店はプレイ用として、マンションに専用の部屋をもっていることが多いが、学生街である高田馬場だと部屋数も多く簡単に部屋を押さえられる。
また、ゲイの街としてあまりにも有名になってしまった新宿二丁目だとお客さんも通いにくいが高田馬場なら怪しまれることなく通うことができる。以上の2点がその理由という。

 また、ウリ専のホームページをのぞくと必ずあるのが、"タイプ"と"バックタチ・バックウケの可否"だ。"タイプ"とは、ゲイなのか、バイなのか、ノンケなのかの属性を指す。ウリ専の世界では、ノンケは絶対的な人気を誇る。"ノンケ礼賛"とすら言えるほど。理由は単純、"現実の世界ではノンケとは絶対にヤレない"からだ。しかも、ノンケだとゲイやバイの人間以上にウリ専の世界に抵抗感をもつので、ウリ専のボーイになる人も少ない。慢性的な需要過多状態なのである。

 なので店側は、本当はゲイのボーイでも、ノンケとして売り出すことは珍しくない。いわゆる、"偽ノンケ"である。ただ、それはゲイの客にはバレバレ。
どんなに仕事に慣れたノンケのボーイだとしても、どうしても生理的に受け付けない部分はあり、プレイ中にそれが無意識に表情に出てくる。ゲイやバイのボーイにはそれがないので一瞬で分かるのだ。

 しかし、ゲイの世界ではノンケが人気といっても、ウリ専に来る客は、基本的には性行為で気持ちよくなりたい人たち。微妙なプレイしかできないノンケは避け、ゲイやバイのボーイに"ノンケの演技"をしてほしいと要望するお客さんも多いという。複雑な世界である。

 そして、もうひとつ、ホームページに書いてある要素"バックタチ・バックウケの可否"は、アナルに挿れたり挿れられたりできるかどうかを指す。"バックタチ可"は、性器を勃起させて客のアナルに挿入することが可能ということ。"バックウケ可"は、客の性器をアナルで受けることができるという意味だ。

 だが、プロで身体を売っている男ならばすべてできなければならないかというと、そうでもない。ノンケだったらどちらもできず、手や口でしか射精に導けなかったとしても問題はない。むしろ、それがノンケらしさにつながる。

 客も、自分で挿れたい人もいれば、ボーイに挿入されて前立腺を刺激されながら射精する"トコロテン"(相手の性器から押し出されるようにして、トコロテン作りの要領で射精する様子からつけられた専門用語)を好む客もいる。
ノンケの性癖も色々だが、ゲイの世界の性癖も色々なのだ。

 ちなみに、こうした"本番行為"を前提にした表現が堂々とホームページに掲載されているのは、売春防止法で"同性間における性行為"は適用範囲外になっているから。ソープなどともっとも大きく異なる部分である。

 なお、ウリ専は、基本的には女性客が利用できない仕組みだが、"オーナーやマネージャーとコネがある"などの理由で、稀に秘密で女性客の利用を受け付けることがある。前述した通り、同性間における性行為は売春防止法の適用外だが、異性間の性行為は風営法や売春防止法によって禁じられている。なので、一応は「デートのみ」という話なのだが、実情は......である。

 その際は、ノンケのボーイが対応にあたるのだが、ノンケで女性客の相手をできるのだから良いのかと思いきや、意外にも男の相手をするのよりも嫌なのだそう。「あんなの相手するくらいなら、おっさんの方がまし」とまで言い放つボーイもいるほどだ。

 そこには、ゲイの客がもつ、セクシャルマイノリティだからこその「慎み」「思いやり」のようなものが関係している。

「どこか後ろめたさがあって、その裏返しに思いやりっていうか、そんなのがあるんです。それでいて同じ男っていう気安さもあって。でも女性はそうじゃないんですよね。
要するに剥き出しなんです」(前掲書より)

 普段、そんな男性客を相手にしているだけに、珍しく女性客を相手にすると、自分たちは女性客から"種馬"のように見られているんじゃないかと感じる人もいるほどだ。

 しかし、筆者である松倉すみ歩氏は、ボーイたちがそう感じる理由として、「思いやり」以外にも理由があると分析している。

 男性と性行為をすることはノンケの彼らにとって「非日常」であり、そのなかでは、自分が身体を売っているという意識が希薄になるが、女性とセックスすることは日常と地続きであり、それが「自分はいま売春している」という事実をまっすぐに突きつけてくるので戸惑いの感情が生まれてくるのではないか、というのだ。

 さて、冒頭に紹介した「宝島」の記事では、"貧困"がウリ専に走らせていると書かれているが、貧困以外の理由でウリ専の扉を叩く人も、もちろん存在する。そのなかでも多いのが、芸能界に入るきっかけを求めてボーイになるパターンだ。

 クリエイティブな職についている人はゲイの比率が高いと言われている。ウリ専の仕事を続けていれば、芸能関係の職種の客と出会う機会も多い。そういった出会いのなかで、業界関係者に見初めてもらおうと考える音楽家やモデル、俳優の卵は多い。実際、真偽不明の噂レベルの話ではあるが、演歌歌手の氷川きよしや俳優の成宮寛貴は、デビュー前にウリ専の経験があったのではとも言われている。

 以上、紹介してきたウリ専の世界だが、いくらお金を稼いでも、貯金などはまったく増えず、生活状態がより不安定になるケースが多いという。その理由は「金銭感覚の乱れ」だ。ちょっとした移動にもタクシーを使うようになるなど、小さなところから確実におかしくなっていく金銭感覚。
一度壊れたその感覚は復活することはなく、何度足抜けしても、またウリ専の世界に復帰してくる人は後を絶たない。
 
 どうしても仕方がない事情があったとしても、夜の世界に足を踏み入れるのであれば、相当の覚悟と自制の気持ちを持ち続けていなければ、結局、"貧困"から抜け出すことはできない。それどころか、昼の仕事に戻ることすらも困難にさせてしまう。厳しい世界なのである。
(田中 教)

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統一教会被害者救済法策定に萩生田が関与で「泥棒が法律つくるようなもの」と批判殺到、安倍派と教団の癒着に新事実判明もマスコミは 

萩生田光一公式HPより


 呆れてものも言えないとはこのことだろう。統一教会とのズブズブの関係が次々と明らかになり事実上更迭された山際大志郎・前経済再生担当相が、更迭からわずか4日後に自民党の新型コロナウイルス対策本部長に就任したという問題。

これだけでも信じられない話だが、そのトンデモ人事をおこなったのは、あの萩生田光一政調会長だったのだ。

 萩生田政調会長は8日、「辞任した大臣が党に戻ってきて党の仕事をするというのは、そんなに特別なことではない」などと開き直っていたが、ようするにこの男はいまも何の反省もしておらず、心のなかでは「統一教会との関係を持ってどこが悪いのか」と考えているのである。

 しかし、これも当然だろう。萩生田氏をめぐっては、今年夏の参院選公示前に生稲晃子氏とともに教会施設を訪問していたことをはじめ、「萩生田さんは教祖のことを“ご父母様”と言っていた」「“一緒に日本を神様の国にしましょう”と話していた」といった証言が続出。自民党のなかでも、もっとも統一教会との関係が深い議員のひとりだ。

 ところが、萩生田氏は「反省している」と口にしただけで、いまや何事もなかったかのような顔で政調会長の座に居座りつづけている。その結果、統一教会との関係について反省の色をまったく見せなかった山際氏を党の役職に就けるという信じられない人事がおこなわれてしまったのだ。

 しかも、さらに信じられないのは、岸田文雄首相が統一教会の被害救済・防止のための新法について、党内調整を担っているのが萩生田氏である、という事実だ。統一教会とズブズブの関係にあった人物が、被害者救済法策定の中心人物になったという事実に、「泥棒に法律をつくらせるようなもの」「犯罪者に警察官をやらせるような話」との批判が殺到している。

 自ら統一教会との関係についてなんらきちんと説明することのないまま、すべてを片付け、いつの間にか人事や政策を我が物顔で差配し始めた萩生田氏──。それもこれも、岸田首相が萩生田氏を守るどころか重用し、メディアが途中で萩生田氏の圧力に怯えて追及を止めてしまったからだ。

 いや、追及しなくなったのは、萩生田氏に対してだけではない。

萩生田氏の親分であり、統一教会と自民党のズブズブ関係をつくりだした元凶である安倍晋三・元首相についても、完全に追及がやんでしまった。

 安倍派の前会長である細田博之・衆院議長も結局、放置されたままだ。細田氏は2019年に韓鶴子総裁が出席したイベントに参加した際、「韓鶴子総裁の提唱によって実現したこの場は大変意義深い」「安倍総理に早速報告したいと考えております」などと発言していたほか、ジャーナリストの鈴木エイト氏は2016年参院選の票の差配についても「細田氏がある候補者に統一教会票を回すと打診したが、その候補が断わったために、別の議員に票が差配されたと言われている」と指摘するなど(NEWSポストセブン10月8日付)、新たな疑惑も浮上しているが、新聞・テレビなどの動きは鈍い。下村博文・元文科相の名称変更への関与疑惑もそのままになっている。

 ようするに、被害者の救済法案や質問権行使の動きがあるため、統一教会じたいの問題や、山際・前経済再生担当相のような小物の政治家のことはかろうじて報道されているものの、最近は癒着の本丸である安倍派の政治家たちの問題については、いつのまにかどこかにいってしまっているのだ。

 あらためて言っておくが、“統一教会の政界汚染”は、安倍派と同教団の構造的癒着を抜きにしては、解明することができない。

 実際、ここにきて、統一教会の安倍派取り込みが、教祖・文鮮明の意向だったという新たな事実が判明した。

 毎日新聞が6日・7日と立てつづけにスクープしたのだが、まず、6日付記事では、統一教会の創始者である文鮮明氏の発言録を精査。その結果、1989年に文氏は信者に向けた説教のなかで、当時、晋太郎氏が会長を務めていた安倍派に言及し、“安倍派を中心にした国会議員との関係強化”を訴えていたことが判明した。

 このとき、文氏は「国会議員の秘書を輩出する」「体制の形成を国会内を中心としてやる。そのような組織体制を整えなければならないだろう」「自民党の安倍派などを中心にして、クボキを中心に超党派的にそうした議員たちを結成し、その数を徐々に増やしていかないといけない。分かるよな?」などと語っていたことが記されていたという。

この「クボキ」とは、日本の統一教会と国際勝共連合の初代会長を務めた久保木修己氏を指すと見られている。
 
 だが、さらに重要なのは7日付記事だ。同じく文鮮明氏の発言録によると、安倍元首相がはじめて首相に就任した1週間後にあたる2006年10月3日、文氏は有力信者に対して「(安倍氏の)秘書室長の名前は何だ」と尋ね、信者が「ナカガワです」と応答。すると、文氏は「お前が2度会ったのか」と質問し、信者が「2回です」と答えると、文氏は「3回、もう一度会わなければいけない」と命じたというのだ。

 なんと、教祖自らが晋太郎氏の時代から安倍派への接近を言い付け、さらには第一次安倍政権の発足時には側近への度重なる接触を命じていた──。この「ナカガワ」という人物について、毎日新聞記事では、当時自民党幹事長を務めていた安倍派所属の元衆院議員・中川秀直氏ではないかと推測。中川氏に面会の有無を取材したところ、「記憶にもないし、会ったこともない」という回答だったというが、少なくとも、安倍元首相に近い関係者に対し、第一次政権の時点で統一教会が接触していたことは間違いないだろう。

 安倍元首相が統一教会との関係を深めたのは下野時代だと見られ、実際に安倍氏の地元事務所の内情を知る人物が「(統一教会が)事務所との協力関係にあった」と証言した際、当初は統一教会と一定の距離を置いていたとし、「特に親密になったのが、第二次政権の前くらいから」「第二次安倍政権を誕生させるために統一教会の力が必要だった」と述べている(FNNプライムオンライン10月8日付)。

 一方で、統一教会と政界の関係は、安倍元首相の祖父・岸信介氏が大元であり、父の晋太郎氏も、教会員を他の議員に秘書として紹介したり、議員を教団のセミナーに勧誘したことが報じられてきた。

 そして、今回の文教祖の発言録。ようするに、教祖である文鮮明の意思によって、取り込みがおこなわれ、安倍元首相を筆頭にした安倍派と統一教会の協力関係が深まっていったのだ。さらに第二次政権になって、安倍元首相らの差配によって、その癒着が自民党全体へと波及し、自民の候補者と「政策協定」を結ぶ関係にまで至った……。

この歴史的な経緯を考えれば、統一教会と安倍派の構造的な問題の解明なくして関係の清算は絶対にありえないということは、明々白々だ。

 ところが、岸田自民党が安倍元首相の問題について調査を拒否しつづけていることをはじめ、細田氏はいまだに衆院議長の座のまま、萩生田氏も政調会長として前述したように山際“ズブズブ”前大臣を役職に就かせる始末。なにより、こうした安倍派絡みの問題に対し、メディアは深堀りしようとも徹底追及しようともしない。そのせいで、細田氏や萩生田氏が要職にのさばるという異常事態に陥っているのだ。

 このメディアの姿勢の背景には、萩生田氏をはじめとする自民党幹部のメディアに対する圧力体質に忖度が働いている。そして、マスコミがそんな体たらくだからこそ、萩生田氏がいつのまにか、我が物顔で人事や政策に口を出し始めているのだ。

 国民を舐めきったこの政治家の暴走を抑えるためにも、マスコミはあらためて萩生田氏をはじめとする安倍派連中の統一教会汚染を徹底的に追及する必要がある。

オリックスDHC買収で「虎ノ門ニュース」だけでなくヘイトデマ垂れ流しの「DHC テレビ」も解体の動き 問われる吉田会長の責任

DHCテレビHPより


 今月7日、DHCテレビジョンが制作するネット配信番組『真相深入り!虎ノ門ニュース』が11月18日をもって終了すると発表された。『虎ノ門ニュース』といえば、百田尚樹氏や有本香氏、ケント・ギルバート氏、竹田恒泰氏などといった安倍政権応援団がコメンテーターとして勢揃いし、ヘイトと陰謀論、フェイクを撒き散らかしてきた“ネトウヨの巣窟”的番組。

それが7年8カ月の歴史に幕を下ろすと公表され、歓迎の声の一方で「いったいなぜ」と憶測を呼んでいたのだが、その理由が明らかになった。

 11日にオリックスが、DHCテレビの親会社であるDHCを、事業継承目的で買収すると発表したのだ。

 オリックスはDHC創業者でDHCテレビの代表取締役会長でもある吉田嘉明・DHC会長兼社長から全株式を買い取り、吉田会長兼社長は株式譲渡完了後に退任する。日本経済新聞によれば、今回の買収総額は3000億円程度にのぼると見られ、〈事業承継目的のM&A(合併・買収)では過去最大規模〉だという。

 じつはこのオリックスによる発表より前に、『虎ノ門ニュース』中心メンバーである百田尚樹氏が自身のYouTube配信で『虎ノ門ニュース』終了に言及した際、「親会社がちょっといろいろ、M&Aと言いますかね」「会社の都合なんです」などと口を滑らせていた。これには「インサイダー情報では」と指摘の声があがったせいか動画は非公開になってしまったが、まさに百田氏のフライング情報通り、親会社の買収が番組終了の理由だった、というわけだ。

 実際、この買収によって終了となるのは、『虎ノ門ニュース』という番組だけではないかもしれない。

 というのも、『虎ノ門ニュース』のチーフプロデューサーであり、番組にもたびたび出演してきたDHCテレビの山田晃社長が、いつのまにかDHCテレビを辞任。『虎ノ門ニュース』11月4日(金)放送回まではプロデューサーとしてクレジットされていたが、番組終了が発表された11月7日(月)放送回ではその名前がクレジットから消えている。また、DHCテレビが制作してきた『#渋谷オルガン坂生徒会』が10月29日をもって終了し、『ときめき♡BBA』も11月18日以降の放送予定がアナウンスされていない状態だ。さらに、『#渋谷オルガン坂生徒会』番組関係者のツイートでは、渋谷のハンズ(旧・東急ハンズ)1階に設置されている「DHC渋谷スタジオ」も「10月末に契約満了で閉館した」という。ただし、現時点ではまだ「DHC渋谷スタジオ」は存在しており、公式にも閉館とは公表されていないため、今後動きがあると見られている。

 このような流れから、DHCの買収にともなって『虎ノ門ニュース』が番組終了となるだけではなく、DHCテレビ自体が解体されるのではないか、という見方が出てきているのだ。

 いまさら説明するまでもないが、DHCテレビといえば、『虎ノ門ニュース』でのフェイク・ヘイト垂れ流しにとどまらず、沖縄ヘイトデマを放送した『ニュース女子』問題で、放送倫理・番組向上機構(BPO)が「重大な放送倫理違反」「名誉毀損の人権侵害」があったと指摘・認定。また、市民団体「のりこえねっと」の辛淑玉・共同代表が起こした名誉毀損裁判では、一審・二審ともDHCテレビ側の主張を「事実無根」と断罪。今年6月の控訴審判決では「在日朝鮮人である原告の出自に着目した誹謗中傷を招きかねない構成」だったと踏み込み、東京高裁は一審を支持しDHCテレビに損害賠償550万円とウェブサイトへの謝罪文の掲載を命じている。

 だが、こうしたデマ・差別認定後も、DHCテレビ側は反省するどころか、デマ・差別を上塗りするかのような姿勢をあらわに。BPOが「重大な放送倫理違反」だと意見書を出したあとも「基地反対派の言い分を聞く必要はない」「言論活動を言論の場ではなく一方的に『デマ』『ヘイト』と断定することは、メディアの言論活動を封殺する、ある種の言論弾圧」「今後もこうした誹謗中傷に屈せず、日本の自由な言論空間を守る」などという見解を変えず、辛淑玉氏に敗訴した控訴審判決後も「不当判決だ」とし、番組の削除が求められなかったことから「プチ勝訴」と主張する始末。同時に上告の意向を表明していた。

 このように、裁判所も認定したデマや差別を放送しながら、一貫して強気の態度で開き直ってきたDHCテレビ。ところが、親会社が買収された途端、看板番組が終了し、そのヘイトデマの正当性をがなり立てていた社長がいなくなって、会社自体の存続も危ぶまれる事態となっているのだ。

 しかし、考えてみれば、当然だろう。そもそもDHCテレビというのは、代表者の吉田嘉明・DHC会長兼社長の存在あってこそのメディアであり、その内容も明らかに吉田会長の思想が反映されたものだった。

 本サイトでは何度も取り上げてきたが、吉田会長は極右・歴史修正主義をがなりたてている企業経営者のひとりで、2016年には「DHC会長メッセージ」のなかで在日コリアンにかんするデマを書き立てた上で〈似非日本人はいりません。

母国に帰っていただきましょう〉などとヘイトスピーチを堂々と掲載した(詳しくはhttps://lite-ra.com/2017/01/post-2865.html)。

  さらに、2020年12月には、同社の公式オンラインショップ上のコラムで、サプリ商品で競合しているサントリーについて〈サントリーのCMに起用されているタレントはどういうわけかほぼ全員がコリアン系の日本人です。そのためネットではチョントリーと揶揄されているようです〉〈DHCは起用タレントをはじめ、すべてが純粋な日本企業です〉などとヘイトスピーチそのもののデマ文章を掲載。ネット上で大きな批判を浴び、「#差別企業DHCの商品は買いません」というハッシュタグがトレンド入りしたほどだった。

 だが、そうした批判もよそに、さらに酷いことが起こる。2021年4月、吉田会長によるこの差別コラム問題をNHK『おはよう日本』が取り上げたのだが、NHKの取材に対して、吉田会長は問題になったコラムにつづけるかたちで、新たな差別デマを書き連ねたのだ(現在は削除)。

〈(NHK記者の)名前を聞いて、明らかに在日系が好む日本名であることから、NHKを騙るコリアン系の反日日本人かと思ったが、NHKに問い合わせてみると確かに在籍しているとのこと。〉
〈小生は常々、日本の朝鮮化ということを何よりも危惧しているが、その元凶であるNHKからの問い合わせに小躍りした。〉
〈朝鮮化ということではNHKは最も触れられたくない問題のはずである。これはもう日本国民の誰もが気がついていることであると思うが、NHKは幹部・アナウンサー・社員のほとんどがコリアン系である。出演者についても、学者・芸能人・スポーツ選手の多くがコリアン系であり、ひどいことに偶然を装った街角のインタビューさえコリアン系を選んでいる。予めリストアップしているのである。

特徴のある名前とつき出たあご、引きしまった小さな口元、何よりも後頭部の絶壁ですぐ見分けがつく。〉
〈サントリーが日本海を「東海」と言おうが、社員・タレントをコリアン系ばかりにしようと、一私企業であるから誰も文句は言えない。NHKは全国民から強制的に受信料をむしりとっている公的機関であるから放置するわけには行かない。〉

 なんと吉田会長は、NHKの幹部、社員、出演者、さらには、街頭インタビューに出てくる一般人までを「コリアン系」だと決めつけたのだ。NHKの局員や出演者にコリアンルーツの人がいるとしてもなんら問題ではないし、このように国籍やルーツをあげつらうことは、外国籍や外国にルーツを持つ人々の生存権を奪うことにつながる差別煽動以外のなにものでもない。しかも、「名前や外見ですぐ見分けがつく」などと言っているところをみると、「コリアン系」という言葉を「反日」の比喩として言っているのではなく、NHKが在日コリアンに乗っ取られていると本気で信じ込んでいるらしい。

 しかも、吉田会長がコリアン系に支配されていると主張したのは、NHKだけではない。その後の文章では、野党、自民党の一部、さらには経団連までがコリアン系で占められている……という荒唐無稽なヘイトデマを主張したのだ。

このように、ネットに横行するヘイトのなかでももっとも質も悪いネトウヨの差別・陰謀論を抽出して煮詰めたような主張を展開していた吉田会長。DHCテレビが、裁判 所やBPOがデマ・差別を認定しても反省するどころか増長してきたのは、こうした思想を持つ吉田会長に支えられてきたからにほかならないのだ。

 こんな組織を、上場企業であるオリックスがそのまま引き継げるはずがない。実際、オリックスは、欧米やアジアを中心に世界約30の国・地域に事業所を持ち、グローバルな事業を展開している。

もし、DHCテレビのような民族差別や歴史修正主義を助長するメディアを抱えていることが国際社会に知れ渡れば、たちまち事業は立ち行かなくなるだろう。

 そういう意味では、オリックスによる買収にともなうかたちで、DHCを冠にしたヘイトメディアは消滅する可能性はかなり高いと思われるが、そのことを手放しで喜ぶことはできない。このままでは、オリックスの事業継承によって、吉田会長やDHCテレビが喧伝してきた犯罪的なヘイト・陰謀論などがなかったことにされ、問題自体がフェードアウトしてしまう恐れがあるからだ。

 しかも、DHCテレビがなくなっても、もっとも酷いかたちで復活する可能性もある。前述したように、今回の買収総額は3000億円程度と言われており、吉田会長は莫大な金を手に入れることになる。新たなメディアを立ち上げることはもちろん、巨額の資金をバックに政界に進出しても、何ら不思議はない。

 こういった暴挙を許さないためにも、DHCの名の下に吉田会長が垂れ流してきた差別、DHCテレビが流布してきたデマやヘイトをなかったことにせず、その犯罪性を改めて徹底的に糾弾していく必要がある。

 そしてもちろん、DHCを買収し、吉田会長に巨額の金を払うことになるオリックスもその社会的責任が問われるべきだ。

 オリックスは、メディアの取材に「人種などによるあらゆる差別を容認しない」という通り一遍のコメントを出しただけで、ネット上では「差別を容認しないなら、なぜそんな会社を買うのか」と批判を受けているが、たしかに、この程度の対応でお茶を濁していいはずがない。

 少なくとも、DHCの事業を引き継ぐ以上、その代表、会社および関連会社がやってきた行為についてきちんと総括したうえで、吉田会長をきちんと名指ししてヘイトを批判し、社会や被害者に対して真摯に謝罪する必要があるはずだ。

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