「1日30品目食べる」は過去の話

ここ20年で栄養学の常識は大きく変わりました。

例えば、「1日30品目食べる」。バランスがよくて健康につながると信じている方も多いと思いますが、厚生省(現厚生労働省)が1985年に推奨するようになったものの、現在では「30品目にこだわらず、いろいろな食材を食べることの目安に」と、だいぶゆるやかな表現に変化しています。

糖質をはじめとした栄養素が体に及ぼす影響が明らかになるにつれ、30品目も食べる必要はないどころか、肥満、胃腸の不調などにつながりかねないことがわかってきたからです。

これからは「1日30品目」に縛られて必死に調理したり食べたりする必要がないというのは朗報ではないでしょうか。

60歳以降の方々は、学校教育で「タンパク質=肉」「食物繊維=野菜」と教わったと思いますが、この古い情報によって選択肢が狭められ、調理負担が増えている側面もあります。

「タンパク質」は、肉・魚・卵・大豆製品のいずれからでも摂取できます。このなかで最も準備が大変なのが肉です。

肉は調理に手間がかかり後片付けも面倒になるのに対し、刺身なら調理いらず。卵はゆで卵なら包丁もまな板も不要。

ゆで卵、煮卵、温泉卵は惣菜コーナーのレギュラーメンバーなので買って済ませることもできます。さらに、納豆や豆腐にいたってはパックを開けるだけの手軽さです。

便通を促進し腸内環境を整える「食物繊維」は、生活習慣病の原因となる糖や脂質などを体外に排出してくれます。積極的に摂っていきたい食物繊維は、野菜だけでなく、きのこや海藻にも豊富です。

なかでも海藻の手軽さはありがたい! 焼き海苔のり1枚をご飯に添える、もずくのパックを開ける、糸寒天いとかんてんをみそ汁に入れる、ひじきならわざわざ煮なくてもパック製品で十分です。

きのこも海藻も乾燥タイプは日持ちがするので買い置きしておくとよいでしょう。食材を乾燥させると栄養素が凝縮され、生で食べるよりも食物繊維などが豊富になる点も魅力的です。

「栄養バランスよく食べるために三角食べをしなさい」は大間違い

さて、ここまで紹介した食材で朝食のメニューをつくってみましょう。

メインは納豆に生卵。みそ汁は豆腐とワカメ。箸休めにパックのもずくも添えましょう。主食の白米がなくても、結構、お腹いっぱいになりそうですよね。

白米などの主食を抜くと食べた気にならないと思い込んでいる方もいますが、糖質制限の食事は結構ボリュームがあるのです。

大柳珠美『糖質を“毒”にしない食べ方』(青春出版社)
大柳珠美『糖質を“毒”にしない食べ方』(青春出版社)

では、このメニューを食べるとき、どの順番で食べればよいでしょうか? 多くの方が「栄養バランスよく食べるために三角食べをしなさい」と教わったと思いますが、三大栄養素であるタンパク質、脂質、糖質の体への作用が明らかになり、「栄養バランス」の考え方も変わりました。

新しい栄養バランスは「タンパク質はしっかり、脂質は種類を吟味して、糖質は控える」。三角食べで満遍なく食べても健康にプラスにはなりません。

このメニューならタンパク質をすべて平らげられるように「メインの納豆と生卵→豆腐とワカメのみそ汁→もずく」の順番がベストです。

新しい栄養常識を知らずに旧来の知識のまま、よかれと思って食べ続けていると、知らないうちに健康が損なわれていきます。まさに「知らぬが仏」で、1食ごとに本当に「仏」に近づく危険があるのです。

【まとめ】60歳からは「知らぬが仏」では済まされない
□パンやシリアル、麺類などの常食は、栄養不良の原因に。
□朝食を抜くなど不規則な食生活は自律神経を乱し、不調を呼ぶ。
□古い健康情報のままでは健康を損なう。
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