「偶発的な事故」ではなかった
原告であるAさん・Bさんの代理人弁護士・若宮隆幸氏は、判決言い渡しの後、姫路市内で記者会見を開いた。発言の要旨は、以下のとおりだ。
「今回、原告側が強調して主張してきた慰謝料増額事由、つまり事故の重大性、事故対応の杜撰さが一定程度認められたと受け止めました。そのことに関しては、良かったと言えます。
たんに注意義務違反があったということではなく、『著しい注意義務違反があった』と認められましたが、医療過誤訴訟でこのように判断されることは、あまりないのではないでしょうか。いわゆる偶発的な、不幸な事故ではなく、基本的なことができていなかったために起こった事故だと裁判所が認めたと認識しています。
ただ、もう少し踏み込んだ判断をしてほしかった部分もある。松井医師の技量が足りていないことをストレートに認めてほしかったのが、まず一点。また赤穂市民病院では、この件を含め多数の医療事故が短期間に起こりましたが、具体的な検証がなされていない。その点に関する評価が不足していると思います。
判決の認定の細かいところで、不満がないわけではありません。しかし、慰謝料増額事由がある程度認められたことについては、原告のAさんやそのご家族もホッとしていると思います。一般的に、後遺障害1級事案の慰謝料は2800万円程度になることが多いですが、今回は3300万円が認められた。これは、比較的高いほうなのではないかと思います。