レベルの高いタイプ5は空白を作り出す
『IQの上がった人類は本当に賢くなったのか?』
中国、韓国、日本、台湾、シンガポールなど、東アジアの国々は世界的にみてIQが高いことが知られています。
しかし歴史を振り返ると、議会制民主主義の確立、新大陸の発見、科学的・学術的な知見の集積、技術革新・産業革命、近代資本主義のシステムなど、文明の発展をリードしてきたのは常にヨーロッパ大陸でした。
イスラム教やキリスト教、仏教、儒教といった近代以前の知識の伝統は、この世界について知るのが重要である事柄はすでに全部知られていると主張した。偉大な神々、あるいは単一の万能の絶対神、はたまた過去の賢者たちが、すべてを網羅する知恵を持っており、それを聖典や口承の形で私たちに明かしてくれるというのだ。凡人はこうした古代の文書や伝承をよく調べ、それを適切に理解することで、知識を得た。聖書やクルアーン(コーラン)、ヴェーダから森羅万象の決定的に重要な秘密が抜け落ちており、それが血の通う肉体を持つ生き物、つまり人間に今後発見されるかもしれないなどということは考えられなかった。
一五世紀から一六世紀にかけて、ヨーロッパ人は空白の多い世界地図を描き始めた。ヨーロッパ人の植民地支配の意欲だけでなく、科学的な物の見方の発達を体現するものだ。空白のある地図は、心理とイデオロギーの上での躍進であり、ヨーロッパ人が世界の多くの部分について無知であることをはっきり認めるものだった。
アメリカ大陸の発見は科学革命の基礎となる出来事だった。そのおかげでヨーロッパ人は、過去の伝統よりも現在の観察結果を重視することを学んだだけでなく、アメリカを征服したいという欲望によって猛烈な速さで新しい知識を求めざるをえなくなったからだ。彼らがその広大な新大陸を支配したいと心から思うなら、その地理、気候、植物相、動物相、言語、文化、歴史について、新しいデータを大量に集めなければならなかった。聖書や古い地理学の書物、古代からの言い伝えはほとんど役に立たなかったからだ。これ以降、ヨーロッパでは地理学者だけでなく、他のほぼすべての分野の学者が、後から埋めるべき余白を残した地図を描き始めた。自らの理論は完全ではなく、自分たちの知らない重要なことがあると認め始めたのだ。
進んで無知を認める意思があるため、近代科学は従来の知識の伝統のどれよりもダイナミックで、柔軟で、探究的になった。そのおかげで、世界の仕組みを理解したり新しいテクノロジーを発明したりする私たちの能力が大幅に増大した。
視野が狭かったために高い代償を払う羽目になったのは、アメリカ大陸の先住民だけではない。オスマン帝国やサファヴィー帝国、ムガル帝国、中国など、アジアの数々の大帝国の人々は、ヨーロッパ人たちが何か大きなものを発見したという話が早々に伝わってきたにもかかわらず、そうした発見にあまり関心を払わなかった。世界はアジアを中心に回っていると信じ続けており、アメリカ大陸、あるいは大西洋や太平洋の新しい遠洋航路の支配をめぐってヨーロッパ人と競おうとはしなかった。スコットランドやデンマークといったヨーロッパの小さな王国でさえ、アメリカ大陸に向けて探検と征服のための遠征隊を数回送り込んだが、イスラム教世界やインドや中国からは、探検隊であれ征服隊であれ、アメリカ大陸へ送られたことは一度もない。
この話を面白く読みました(まず『サピエンス全史(下)』読めって話ですけど・・)。
IQは処理能力でしかないということなんですよね。
それを使う性格が、例えば、日本だとエニアグラムのタイプ6なんで、未知や混沌を嫌うという。そのIQを使って未知に踏み込むことはありません。
そしてタイプ6は依存的性格なので、内発的に考えることもありません。
なので、高いIQがあっても、それは、正解のコピーに使われます(※ タイプ6は知情意の知のコピーをします)。それが悪いことでもないのですけど、ヨーロッパ的な成功はできないということです。
日本に関して言えば、ヒトラーの日本評が辛口です。これはいつかnoteで取り上げるかも知れません(面倒なので書かない可能性もあります)。
ヨーロッパの場合は、『観察者』『思考者』のタイプ5文化が混ざっている可能性を考えています。
私からすれば、今のイギリスはタイプ5で、フランスが『夢想家』『芸術家』「美学」「理想」のタイプ4、ドイツが『完璧主義者』「べき」のタイプ1、こういった価値観が主張し合う中で、ヨーロッパの発展があるのだろう、と見ています。
もうひとつ思ったことがあります。
「空白のある地図」という価値観です。
数学においては、問題の解答よりも、問題の提起に価値があると聞いたことがあります。
エニアグラムに、レベルという考えを持ち込んだリソ&ハドソンの著書を読むと、
タイプ5のレベル2(上から2番目の、かなり良い状態)の記述には、
彼らはまた、非常に優れた概念形成者であり、当を得た基本的な疑問を提示し、自分が関わることになった問題領域を知的に、かつ、適切に明確にする。
と書かれています。
問題の提起や疑問の提示は、空白の提示でもあります。
なるほどレベルが上がり『観察者』に加え『思考者』の面も出てきたタイプ5の説明に「当を得た基本的な疑問を提示」があることに、少しだけ理解ができた私なのでした。
レベルの高いタイプ5は空白を作り出すこともするわけですね。
※ タイプ5に『傍観者』『観察者』『思考者(考える人)』とあることの説明は以下に書いています。
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