秘密投票の舞台裏で何が?コンクラーベ 菊地枢機卿が語る
レオ14世が投票の結果を受諾したときの様子について、こう語るのはコンクラーベに参加した菊地功枢機卿です。
初のアメリカ出身の教皇はどのように選ばれたのか。新教皇はどのような人物なのか。外部との接触を完全に断って行われた秘密投票の舞台裏を菊地枢機卿に聞きました。
※以下、菊地枢機卿の話(インタビューは5月12日に行いました)
コンクラーベどうだった?
実は「教皇選挙」の映画を飛行機の中で見て、こんなふうなんだと思っていたのですが、実際に集まってみると、本当に和気あいあいとした雰囲気でした。映画みたいにお互いをけなし合ったりおとしめたりというような、謀略的なことは実際にはなかったです。
133人の投票権を持った枢機卿たちは、最近枢機卿になった新しい人が多いので、お互いをあまりよく知らないんです。ですから、「あなたはどこの国から来たんだ」とか、「その国の状況はどうなんだ」とか、お互いを知るための会話がものすごくたくさんありました。
世界中から集まった枢機卿 言語は?
コンクラーベの前に毎日行われていた枢機卿団の総会では、英語とイタリア語、フランス語、スペイン語などの同時通訳が入っていたので、なんとか何が行われているかわかりました。
コンクラーベの会場でも、本当に重要なことはイタリア語と英語で案内されたので、ある程度まではみんなわかっていたと思いますが、説明や理解に時間がかかるのと、資料はほとんどイタリア語のものしかありませんでした。
本当に携帯なども取り上げられる?
そこに空港の保安検査場と同じような機械がずらっと並んでいました。そこで全員が持っている荷物をエックス線検査の機械に通して、その場ですべての電子機器を取り上げられました。
スマホから始まって、パソコン、充電器もです。全部その場で取り上げられて、特別な封筒の中に入れて、封をされました。非常に厳重なセキュリティ検査でものすごく時間がかかりました。
いわゆるスマホに連動しているような腕時計がありますよね。それを持っていた枢機卿も、みんな取り上げられました。
それで何人かの枢機卿は一切時間を知る手段がなくなったので、「明日はどうやって起きるんだ」みたいな騒ぎになって、職員の人が慌てて近くの土産物のお店に目覚まし時計を買いに行って、みんなに配っていました。
コンクラーベ中 どうやって過ごした?
私はたまたまジャーナリストの人から、前回の教皇フランシスコが選ばれたときのジャーナルを頂いていたので、英語でしたがずっとそれを読んでいました。
それからサンタマルタ館(宿舎)の1階にフランシスコ前教皇がご存命だったときに、毎朝、ミサを捧げていた聖堂があるんですが、そこに行くと、いつも誰か、枢機卿さんがお祈りをしていたんです。だから、お祈りをする時間をとてもたくさん持つことができました。
クリスチャンですから、お祈りをするというのはとても重要な意味があるので、その意味で十分に祈る時間を与えられたというのはとても助かったと思います。
2日目に決まると思っていた?
2日目の午後の投票で決まりましたが、正直なことを言うと、2日目の午後の投票を始めるときには「もしかしたらもう1日くらいかかるんじゃないかな」と、みんな思っていたんです。でも午後の最初で決まって、みんなほっとしていました。まずはよかったなと。
午後の投票の前、お昼ご飯と休み時間があったんですが、そのときプレボストさんはお昼ご飯を食べに来なかったと思うので、お祈りをしていたんだと思います。
午前中から票が少しずつ増え始めていて、このままいくだろうなという雰囲気でしたので、一生懸命悩んでいらっしゃったのだと思います。
決まったときの雰囲気は?
それで、教皇になるのに必要な票を超えた瞬間にみんないっせいに拍手をし、立ち上がって拍手をしている枢機卿もいました。
私もずっと皆さんの顔を見ていたのですが、私が見た限りではみんな本当に喜んで、これで新しい牧者(=信者のリーダー)が誕生した、よかったという喜びの表情でした。プレボストさんは本当に頭を抱えるような、下を向いてずっと何か祈っているような雰囲気でした。
新教皇レオ14世はどんな人?
彼はスペイン語を話すグループに入っていましたので、あまり深いコミュニケーションがあったわけではないですけれども、とても優しそうな人だなという印象が1つ。
それと、彼がアメリカ人だということに気がつかずにペルーの人だとばかり思っていたので、後からシカゴ出身だと聞いてびっくりしました。
もの静かでコミュニケーションがとりやすい人だったと思います。今回のコンクラーベにアメリカから来ていた枢機卿さんたちと比べると、プレボストさんはとても落ち着いた感じで、典型的なアメリカ人という雰囲気ではありませんでした。
レオ14世の様子 どうだった?
投票が終わって選出された後に、首席の枢機卿が「その結果を受諾しますか」と尋ねるんです。それで「はい」と答えると、続けて「何という名前で呼ばれたいですか」と尋ねます。
その問いに「レオと呼ばれたい」と答えた直後くらいから、いかにも教皇という雰囲気が出ました。それまでは1人の、もの静かな枢機卿さんという感じだったんですけれども、受諾して自分はレオと呼ばれたいと宣言した瞬間から、自信に満ちあふれた雰囲気になりました。
もちろん、よく見ているととても悩んでおられたし、ドキドキされていたと思いますけれども、醸し出す雰囲気はとても落ち着いたものだったと思います。
初のアメリカ出身 何が評価された?
コンクラーベ前に行った枢機卿の全体総会の中で、今の教会の課題とか、次の教皇に何を期待するのかということを議論したんです。その中で2つの要素が出ました。
1つは教会、そして、バチカンという行政上の国家、両方のリーダーシップをとれる人が必要だということ。この点は、とても多くの枢機卿さんが強調していました。
つまり、世界のカトリック信者を導く牧者となれる人で、実務の能力もある、この2つの才能を持った人が必要だというのが共通の意見だったんです。
いろいろな枢機卿さんがいますが、それぞれ一長一短あります。その中でも、プレボストさんはやっぱりペルーで宣教師として教会で働いたことがあります。そして、司教としても働いたことがある。
それから彼はアウグスティヌス会という修道会の会員で、そのトップとして数年にわたって運営にも携わってきました。さらに、このバチカンの司教省という役所の長官も2年間務めてきました。
教会の牧者としての宗教的な側面と、それから組織を運営する実務者としての才能と、両方の経験を深く持っている人物なんです。それはあまりほかにいないんですよね。
そういう意味で、彼が一番才能があり、深い経験を持っているということに、枢機卿たちは事前に気がつき始めていたのだと思います。
有力候補にアジアやアフリカの枢機卿もいたが?
ですから、イタリアの文化を理解し、イタリアでの働き方を知っていて、イタリア語が話せなければなりません。
文化的な意味で「イタリア人」である必要があって、アフリカやアジア出身の人物をローマの司教に選ぶためには、まだ道のりが残っていると思います。
プレボストさんは、最初の演説で言葉を発したときに、イタリア語で話しました。ほかの話す機会でも、彼はまずイタリア語で話すんです。それはどうしてかというと、やはり周りからはアメリカ人初の教皇だとよく言われますが、彼はまず「ローマの司教」として選ばれたのだという意識をとても強く持っておられて、それをはっきりと言語で示そうとしたのだと思います。
レオ14世「平和」を重視している?
今回のコンクラーベ前の枢機卿総会の時に、多くの枢機卿たちが、ウクライナやガザ地区、ミャンマーに言及がありました。アメリカの枢機卿からは核兵器の廃絶の問題についても発言があって、平和ということを多くの枢機卿さんたちが語っていたと思います。
教会こそが平和を語り、実現していくものでなければならないというのは、ある程度コンセンサスがあったと思うんです。
教皇は最初にバルコニーに姿を現して発言した時にも、平和と対話ということを何度も繰り返されました。それがやはり最優先事項なのだと思います。
バチカンの役割とは?
フランシスコ前教皇の葬儀の時には、トランプ大統領もウクライナのゼレンスキー大統領も、フランスのマクロン大統領も来ていました。トランプ大統領とゼレンスキー大統領が大聖堂の中で会談をしましたが、世界のさまざまな紛争の当事者たちが、その違いを乗り越えてバチカンに集まってくるんです。
もちろん国連のようなものもとても重要です。それと同時に、宗教や政治の枠を超え、各国のリーダーに対話をさせようという、倫理的な指導者としての教皇の役割は、これからもどんどん強くなっていくと思います。
トランプ大統領とどう向き合う?
けれども、やはり教皇という立場にいる限りは、どこかの国の国民であるということを超えて、世界的な視点から、そして宗教的な視点からものを語るということになると思います。
その意味では多分、立場が違うから対立するとか、そういうことではないとは思います。
「教会内の分裂」への懸念 どうまとめる?
1つはやはり、教会の組織の立て直し、組織改革という側面です。もう1つは信仰上の問題です。それぞれにおいてやはり意見の相違が存在していると思います。
信仰上の意見の相違に関しては、実はそれほど一致することは難しいことではないと思います。やはり信じているものが一緒なので、そこで大きく分裂することはないと思うんです。
ただ問題は、人間が作っている組織のあり方についてです。
祈る方法もそうですし、組織を運営する方法もそうです。特に組織については、フランシスコ前教皇がこの数年進めてきた方向性があります。「シノドスの道」というもので、みんなでともに助け合いながら、耳を傾け合いながら歩んでいきましょうという道です。
プレボストさん自身も、枢機卿のときに「シノドスの道」に関する会議に何度も参加していますし、そこで一緒に話をした人たちの声を聞いても、やはり彼も教皇フランシスコが始めた教会のあり方としての改革には非常に積極的です。なので、改革をやめるということにはならないと信じています。
けれども、組織としてのあり方については意見の相違が大きいので、プレボストさんがどのような形で治めていくのかというのは、まだ未知数だと思います。
レオ14世に期待することは?
前任者がすごく偉大だと、その次の人というのはとても大変だと思います。それだけいろいろなことを期待されるので、どうしてもちゅうちょしてしまったり、恐れをなしてしまったりすることがあると思いますが、自分の後ろには、彼を選んだ枢機卿団がついているんだと、勇気を持って自分の考えをしっかりと推し進めて頂きたいと思います。
フランシスコ前教皇もそうですし、ヨハネ・パウロ2世もそうでしたが、広島と長崎という、世界に知られた被爆の地から、平和について世界にメッセージを発信することはとても重要なことです。
できれば一度、教皇である間に来ていただいて、広島、長崎からメッセージを発信していただきたいと思っています。
野原 直路
2015年入局 新潟局 国際部を経て現所属
現在は欧州 パリ五輪 環境科学分野などを取材
佐藤 真莉子
2011年入局 福島局 社会部 国際部 アメリカ総局
ニュースウオッチ9キャスターを経て現所属
WEB
特集 秘密投票の舞台裏で何が?コンクラーベ 菊地枢機卿が語る
「『レオと呼ばれたい』。そう答えた直後から自信に満ちあふれ、いかにも教皇という雰囲気になりました」
レオ14世が投票の結果を受諾したときの様子について、こう語るのはコンクラーベに参加した菊地功枢機卿です。
初のアメリカ出身の教皇はどのように選ばれたのか。新教皇はどのような人物なのか。外部との接触を完全に断って行われた秘密投票の舞台裏を菊地枢機卿に聞きました。
※以下、菊地枢機卿の話(インタビューは5月12日に行いました)
コンクラーベどうだった?
実は「教皇選挙」の映画を飛行機の中で見て、こんなふうなんだと思っていたのですが、実際に集まってみると、本当に和気あいあいとした雰囲気でした。映画みたいにお互いをけなし合ったりおとしめたりというような、謀略的なことは実際にはなかったです。
133人の投票権を持った枢機卿たちは、最近枢機卿になった新しい人が多いので、お互いをあまりよく知らないんです。ですから、「あなたはどこの国から来たんだ」とか、「その国の状況はどうなんだ」とか、お互いを知るための会話がものすごくたくさんありました。
世界中から集まった枢機卿 言語は?
コンクラーベの前に毎日行われていた枢機卿団の総会では、英語とイタリア語、フランス語、スペイン語などの同時通訳が入っていたので、なんとか何が行われているかわかりました。
コンクラーベの会場でも、本当に重要なことはイタリア語と英語で案内されたので、ある程度まではみんなわかっていたと思いますが、説明や理解に時間がかかるのと、資料はほとんどイタリア語のものしかありませんでした。
本当に携帯なども取り上げられる?
そこに空港の保安検査場と同じような機械がずらっと並んでいました。そこで全員が持っている荷物をエックス線検査の機械に通して、その場ですべての電子機器を取り上げられました。
スマホから始まって、パソコン、充電器もです。全部その場で取り上げられて、特別な封筒の中に入れて、封をされました。非常に厳重なセキュリティ検査でものすごく時間がかかりました。
いわゆるスマホに連動しているような腕時計がありますよね。それを持っていた枢機卿も、みんな取り上げられました。
それで何人かの枢機卿は一切時間を知る手段がなくなったので、「明日はどうやって起きるんだ」みたいな騒ぎになって、職員の人が慌てて近くの土産物のお店に目覚まし時計を買いに行って、みんなに配っていました。
コンクラーベ中 どうやって過ごした?
私はたまたまジャーナリストの人から、前回の教皇フランシスコが選ばれたときのジャーナルを頂いていたので、英語でしたがずっとそれを読んでいました。
それからサンタマルタ館(宿舎)の1階にフランシスコ前教皇がご存命だったときに、毎朝、ミサを捧げていた聖堂があるんですが、そこに行くと、いつも誰か、枢機卿さんがお祈りをしていたんです。だから、お祈りをする時間をとてもたくさん持つことができました。
クリスチャンですから、お祈りをするというのはとても重要な意味があるので、その意味で十分に祈る時間を与えられたというのはとても助かったと思います。
2日目に決まると思っていた?
2日目の午後の投票で決まりましたが、正直なことを言うと、2日目の午後の投票を始めるときには「もしかしたらもう1日くらいかかるんじゃないかな」と、みんな思っていたんです。でも午後の最初で決まって、みんなほっとしていました。まずはよかったなと。
午後の投票の前、お昼ご飯と休み時間があったんですが、そのときプレボストさんはお昼ご飯を食べに来なかったと思うので、お祈りをしていたんだと思います。
午前中から票が少しずつ増え始めていて、このままいくだろうなという雰囲気でしたので、一生懸命悩んでいらっしゃったのだと思います。
決まったときの雰囲気は?
それで、教皇になるのに必要な票を超えた瞬間にみんないっせいに拍手をし、立ち上がって拍手をしている枢機卿もいました。
私もずっと皆さんの顔を見ていたのですが、私が見た限りではみんな本当に喜んで、これで新しい牧者(=信者のリーダー)が誕生した、よかったという喜びの表情でした。プレボストさんは本当に頭を抱えるような、下を向いてずっと何か祈っているような雰囲気でした。
新教皇レオ14世はどんな人?
彼はスペイン語を話すグループに入っていましたので、あまり深いコミュニケーションがあったわけではないですけれども、とても優しそうな人だなという印象が1つ。
それと、彼がアメリカ人だということに気がつかずにペルーの人だとばかり思っていたので、後からシカゴ出身だと聞いてびっくりしました。
もの静かでコミュニケーションがとりやすい人だったと思います。今回のコンクラーベにアメリカから来ていた枢機卿さんたちと比べると、プレボストさんはとても落ち着いた感じで、典型的なアメリカ人という雰囲気ではありませんでした。
レオ14世の様子 どうだった?
投票が終わって選出された後に、首席の枢機卿が「その結果を受諾しますか」と尋ねるんです。それで「はい」と答えると、続けて「何という名前で呼ばれたいですか」と尋ねます。
その問いに「レオと呼ばれたい」と答えた直後くらいから、いかにも教皇という雰囲気が出ました。それまでは1人の、もの静かな枢機卿さんという感じだったんですけれども、受諾して自分はレオと呼ばれたいと宣言した瞬間から、自信に満ちあふれた雰囲気になりました。
もちろん、よく見ているととても悩んでおられたし、ドキドキされていたと思いますけれども、醸し出す雰囲気はとても落ち着いたものだったと思います。
初のアメリカ出身 何が評価された?
コンクラーベ前に行った枢機卿の全体総会の中で、今の教会の課題とか、次の教皇に何を期待するのかということを議論したんです。その中で2つの要素が出ました。
1つは教会、そして、バチカンという行政上の国家、両方のリーダーシップをとれる人が必要だということ。この点は、とても多くの枢機卿さんが強調していました。
つまり、世界のカトリック信者を導く牧者となれる人で、実務の能力もある、この2つの才能を持った人が必要だというのが共通の意見だったんです。
いろいろな枢機卿さんがいますが、それぞれ一長一短あります。その中でも、プレボストさんはやっぱりペルーで宣教師として教会で働いたことがあります。そして、司教としても働いたことがある。
それから彼はアウグスティヌス会という修道会の会員で、そのトップとして数年にわたって運営にも携わってきました。さらに、このバチカンの司教省という役所の長官も2年間務めてきました。
教会の牧者としての宗教的な側面と、それから組織を運営する実務者としての才能と、両方の経験を深く持っている人物なんです。それはあまりほかにいないんですよね。
そういう意味で、彼が一番才能があり、深い経験を持っているということに、枢機卿たちは事前に気がつき始めていたのだと思います。
有力候補にアジアやアフリカの枢機卿もいたが?
ですから、イタリアの文化を理解し、イタリアでの働き方を知っていて、イタリア語が話せなければなりません。
文化的な意味で「イタリア人」である必要があって、アフリカやアジア出身の人物をローマの司教に選ぶためには、まだ道のりが残っていると思います。
プレボストさんは、最初の演説で言葉を発したときに、イタリア語で話しました。ほかの話す機会でも、彼はまずイタリア語で話すんです。それはどうしてかというと、やはり周りからはアメリカ人初の教皇だとよく言われますが、彼はまず「ローマの司教」として選ばれたのだという意識をとても強く持っておられて、それをはっきりと言語で示そうとしたのだと思います。
レオ14世「平和」を重視している?
今回のコンクラーベ前の枢機卿総会の時に、多くの枢機卿たちが、ウクライナやガザ地区、ミャンマーに言及がありました。アメリカの枢機卿からは核兵器の廃絶の問題についても発言があって、平和ということを多くの枢機卿さんたちが語っていたと思います。
教会こそが平和を語り、実現していくものでなければならないというのは、ある程度コンセンサスがあったと思うんです。
教皇は最初にバルコニーに姿を現して発言した時にも、平和と対話ということを何度も繰り返されました。それがやはり最優先事項なのだと思います。
バチカンの役割とは?
フランシスコ前教皇の葬儀の時には、トランプ大統領もウクライナのゼレンスキー大統領も、フランスのマクロン大統領も来ていました。トランプ大統領とゼレンスキー大統領が大聖堂の中で会談をしましたが、世界のさまざまな紛争の当事者たちが、その違いを乗り越えてバチカンに集まってくるんです。
もちろん国連のようなものもとても重要です。それと同時に、宗教や政治の枠を超え、各国のリーダーに対話をさせようという、倫理的な指導者としての教皇の役割は、これからもどんどん強くなっていくと思います。
トランプ大統領とどう向き合う?
けれども、やはり教皇という立場にいる限りは、どこかの国の国民であるということを超えて、世界的な視点から、そして宗教的な視点からものを語るということになると思います。
その意味では多分、立場が違うから対立するとか、そういうことではないとは思います。
「教会内の分裂」への懸念 どうまとめる?
1つはやはり、教会の組織の立て直し、組織改革という側面です。もう1つは信仰上の問題です。それぞれにおいてやはり意見の相違が存在していると思います。
信仰上の意見の相違に関しては、実はそれほど一致することは難しいことではないと思います。やはり信じているものが一緒なので、そこで大きく分裂することはないと思うんです。
ただ問題は、人間が作っている組織のあり方についてです。
祈る方法もそうですし、組織を運営する方法もそうです。特に組織については、フランシスコ前教皇がこの数年進めてきた方向性があります。「シノドスの道」というもので、みんなでともに助け合いながら、耳を傾け合いながら歩んでいきましょうという道です。
プレボストさん自身も、枢機卿のときに「シノドスの道」に関する会議に何度も参加していますし、そこで一緒に話をした人たちの声を聞いても、やはり彼も教皇フランシスコが始めた教会のあり方としての改革には非常に積極的です。なので、改革をやめるということにはならないと信じています。
けれども、組織としてのあり方については意見の相違が大きいので、プレボストさんがどのような形で治めていくのかというのは、まだ未知数だと思います。
レオ14世に期待することは?
前任者がすごく偉大だと、その次の人というのはとても大変だと思います。それだけいろいろなことを期待されるので、どうしてもちゅうちょしてしまったり、恐れをなしてしまったりすることがあると思いますが、自分の後ろには、彼を選んだ枢機卿団がついているんだと、勇気を持って自分の考えをしっかりと推し進めて頂きたいと思います。
フランシスコ前教皇もそうですし、ヨハネ・パウロ2世もそうでしたが、広島と長崎という、世界に知られた被爆の地から、平和について世界にメッセージを発信することはとても重要なことです。
できれば一度、教皇である間に来ていただいて、広島、長崎からメッセージを発信していただきたいと思っています。
野原 直路
2015年入局 新潟局 国際部を経て現所属
現在は欧州 パリ五輪 環境科学分野などを取材
佐藤 真莉子
2011年入局 福島局 社会部 国際部 アメリカ総局
ニュースウオッチ9キャスターを経て現所属