第221話 クリスマス大宴会 その八

「──さて。これで全員の料理が出揃ったわけですが」


 四谷先輩が料理を作り終えたことで、クリスマスコラボも遂に終盤へと突入した。あとはそれぞれが料理についての感想を述べながら、配信を〆にかかるのが当初の予定。

 が、すでに宣言しているように、ここでオリチャーを発動。コッソリ用意していたクリスマスプレゼントを景品とした、クジ引き企画へと移行する。

 あ、それはそれとして。皆さんの料理は大変美味しかったです。順番のせいかクッソ悩んでた雷火さんも、ちゃんと問題なく一品を用意することができていたので、上手い具合に進められたと言って良いだろう。

 なお、雷火さんが作ったのはトマトの……なんだろアレ? 耐熱皿にカットしたトマト入れて、大量のチーズとオリーブオイルを投入して、オーブンで焼いたヤツ。名前は分かんないけど、シンプルながら普通に美味しかった。

 いやー、俺を含めた料理できる組で説得した甲斐があったよね。『用意した材料の関係もあるし、慣れてない人が急にメニューを変更するのは無理よ』って力説して、最初に予定していた料理を出す決心をさせたのは英断だったと思う。

 まあ、その説得に便乗した四谷先輩が、大トリの癖してシーザーサラダを出してきたのは笑ったけど。最初はデザート系で攻めるべきかとか言ってたのにね。悩みに悩んで諦めたらしい。草である。

 

「それじゃあ、ちょっと準備に入るのでお待ちくださーい」

「「「「「「「はーい」」」」」」」


 まず新しいキッチンワゴンを空間袋から出しまして。そこに用意したプレゼントを並べて。そんで机の一部をお借りして、さっきも使ったガラポンをセット。


「最後に天目先輩。お手伝いよろしいでしょうか?」

「ん? なーに?」

「こちらのメモ帳に番号を書いて、好きなプレゼントに割り振ってください。ランダム要素は増やしてたいので」

「なるほど。それなら任せて」


 それじゃあお願いしまーす。……うし。これにて準備は完了。


「えーと、それでは皆さん。質問などはありますか?」

「プレゼントってどんなの?」

「え、それ訊く?」


 うせやろ巫女乃先輩。開封のドキドキこそがこの企画のキモでしょうに。


「ちげぇよ馬鹿野郎! そりゃ私だってあんまこんなこと訊きたくないけどさ! お前のスケールでプレゼント渡されても困るんだわ! そこんところ分かってる!?」

「ああ、そういう。安心してください。基本的には、大人がちょっと気合いを入れたプレゼントぐらいの範疇で済ませてますから」

「……その『基本的には』って部分がすっごい不安なんだけど」

「そのあたりは開けてみるまでのお楽しみってことで。まあ、ちゃんとネタとして消化できる範囲に収めてますよ」

「……ダンジョンのなんたらとかは?」

「今回はナシです。ネタとして消化できる範囲ではないんで」

「そのあたりちゃんと理解できてんだなお前……」

「どういう意味です?」


:草

:草

:そういう意味だよ

:草

:日頃の行いである

:これは巫女様が正しい

:草

:草

:草

:山主さんのプレゼントが不安なのは分かる

:草

:草

:確かにクッソ高いの用意してそうよな

:これは草

:ダンジョン関係のアイテムはなしか


 理解できてなきゃ料理の時点で使ってんだよなぁ。普段のアレコレは半ば分かった上での行動であってじゃな。無自覚に周囲を引っ掻き回すバケモノじゃないんですよ俺。


「まあ、そこまで不安に思うのなら……マネさん。あ、ジェスチャーで大丈夫なんで。ちょっとよろしいですか?」


 あ、はい。そうですそうです。……大丈夫? それは良かった。


「マネさん用のプレゼントなんですけど、いまここで受け取っていただいて大丈夫だったりします? それでよろしければ、そのまま開封していただいて……あ、はい。指針的な感じで」


 ちょっと風情がないというか、チュートリアル扱いで申し訳なくあるんですけど。……あ、OKな感じですか? それは良かった。ご協力していただきありがとうございます。


「えーと、ではこちらがマネさん用のプレゼントです」

「改めて思うけど、私たちとは分けて用意しているあたり、意外とそつないよね山主君」

「何を言ってるんですか四谷先輩。マネさんをこの企画に巻き込めるわけないでしょ……?」

「待ってその台詞で一気に不穏になったんだけどちゃんとマトモなプレゼントなんだよねそうだよね!?」

「HAHAHA」

「笑って誤魔化さないでくれる!?」


 いやだって、ここは誤魔化した方が面白いでしょ。


「それでは、開封のほどを……え? あ、こっちでやって大丈夫? よろしいんですか?」

「オーケーだってさ。じゃあ、山主君がそのまま開けたら?」

「さすがにそれは……。リアクションとかもあるので、常夏先輩お願いします」

「むむっ。私に返ってきたか」


 言い出しっぺの法則とは違いますけど、まあそんな感じです。


「えーと、じゃあ失礼して。……うわっ、木の箱だコレ。え、マジで何入ってんの?」

「サンちゃん先輩。早く開けてみてくださいよ!」

「はいはい。皆も興味津々だねぇ。では失礼して……おん?」

「これは……タオル?」

「タオルの詰め合わせッスね……」

「タオルだねー」

「これ本当にクリスマスプレゼントか?」

「どっちかと言うとお歳暮やお中元……」

「クリスマスプレゼントでタオルセットって……」

「ちなみにそれ、最高級のタオルで三万ぐらいします」

「「「「「「「さんっ……!?」」」」」」」


:三万!?

:タオルセットは草

:草って打とうとしたけど待てや

:タオルって三万するやつあんの!?

:それカシミヤのタオルだったりしない?

:たっか!?

:そんなタオルあるんか

:お中元かと思ったけどそんなんじゃなかった

:三万円!?

:タオルでその値段はヤバいやろ

:いやネタになるかギリギリの値段では……?

:草

:さすが山主さんや……

:やっぱりこの人金銭感覚おかしいって

:うせやろお前……

:草

:やっばぁ……


 まさかの値段に全員絶句。やっぱり驚くよね。俺も見つけた時驚いたもん。タオルでも高いやつは高いんだなって。それもダンジョンとか関係ない商品で。超ビックリよね。


「さ、三万円って……。何処でそんな凄いタオル買ったの……?」

「銀座の百貨店で」

「……それはつまり、プレゼント全部がそれぐらいってこと?」

「いえ。渋谷とか新宿で買ったやつもありますよ? 結構広範囲で探し回ったんで」

「えぇ……」


 最初は渋谷だけで全部賄おうと思ったんだけどね。さすがに無理だった。なんかこう……凄い偏りみたいなのを感じて。結局こういうのは足を使うべきだなと、酷く実感した次第である。


「このマネさんのタオルを……んー、まあ当たり枠的な感じで考えていただけると。んで、普通枠とハズレ……てかネタ枠が混ざってる感じですね」

「な、なるほど……」

「参考になったような、ならないような……」


 まあ、全体的にマトモというか、普通にもらって嬉しい内容だとは思いますよ? ……ネタ枠を除いて。


「ちなみになんスけど、ボタン君」

「はい」

「何故にタオルを?」

「男からもらっても、比較的使うのが負担にならない消耗品だからですかね? それでいて、あんまり合う合わないがない。使って違いを実感しやすい。自力で手に入れるには心理的なハードルが高い。……このあたりを考慮した結果です」

「待って思ってた以上にちゃんと考えてた」

「ボタンちゃん、意外と分かってる側だね……」

「そんな驚くほどです?」


 めっちゃ唖然とされたんだけど。これ普通に失礼では?













ーーー

あとがき


やっと終わりが見えてきた……。



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