「謎の細菌戦部隊」にいた父は何をしたのか 足跡を追った息子の執念

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後藤遼太

 捕虜らに生体実験をしたことで知られる旧日本軍の731部隊(関東軍防疫給水部)と同様の細菌戦部隊が、日中戦争の間に中国各地に存在していた。南京を拠点とした「1644部隊(中支那防疫給水部)」もそのひとつ。14日に国立公文書館から研究者や遺族に開示された隊員名簿は、日本軍の大規模な「細菌戦部隊ネットワーク」の実態解明につながる可能性がある。

 貴重な資料が戦後80年経って世に出た陰には、元隊員の息子の執念があった。

 長野県駒ケ根市に住む竹上勝利さん(77)は、7年前に自宅の蔵で木箱に入った大量の写真を見つけた。

 写っていたのは、軍服姿の父や戦友、井戸近くや川辺での作業風景、「防疫課」という看板など。

 生前、従軍経験についてほとんど話さなかった父だが、「(戦争中は)水をきれいにする仕事をした」と言葉少なに語っていたのを思い出し、興味を引かれた。

 厚生労働省から父の軍歴を取り寄せ、記されていたのが「中支那防疫給水部」だった。

「731部隊と同様」記述にショック

 最初は何のことか分からなか…

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この記事を書いた人
後藤遼太
東京社会部|メディア・平和担当
専門・関心分野
日本近現代史、平和、戦争、憲法
戦後80年

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