『人国記』という本があります。
これは作者不詳、成立年代も室町末期らしいということしか分からない本で、日本の国別の地勢、風俗、気質などを書いた地誌です。
この本の陸奥国のところに驚くべき記述があります。
「この国の人は日の本の故にや、色白くして眼の色青きこと多し」
今でも東北の人にはハーフでもないのに瞳の色が青や緑の人がときどきいる聞いていましたが、かなり昔からそうだったようです。
東京大学の余郷嘉明助教授が人の体内にあるヒトポリオーマウイルス(DNAに感染するウイルス)の調査を世界34ケ国で行ったところ、ヨーロッパに集中しているEUタイプのウイルスが東北地方の日本海側の秋田中心で見つかったそうです。
このウイルスは元々、白人にしかなかったものだそうです。つまり東北地方の人たちの祖先には明らかに白人がいたことになります。
それも近年のことではなく、少なくとも『人国記』の書かれるかなり以前のことと思われます。
東北地方の人たちが白人の遺伝子を持っているのなら、青い眼の人が生まれるのも納得がいきます。
また秋田犬が他の地方の日本犬と違い、ヨーロッパ犬と同じ血液型を持つということも分かっています。
犬だけでヨーロッパからアジアの果てまで移動したとは考えにくいので、これは犬を連れた白人系の民族が、東北地方にやって来たということではないでしょうか?
よくいわれる秋田美人などの雪国の色白美人の秘密は、もしかしたら白人の血が混じっているためなのかも知れませんね(*^▽^*)
それから「この国の人は日の本の故にや」という記述にも注目したいですね。
この文章を読んでまず思い出したのが中国の歴史書『旧唐書』倭国日本伝の記述です。
「日本国は倭国の別種なり。その国日辺に在るを以て、故に日本を以て名となす」
「あるいはいう、日本は旧小国、倭国の地を併せたりと」
ここにはかつて倭国と日本が別の国であったことが記されています。
つまり『人国記』の「この国の人は日の本の故にや、色白くして眼の色青きこと多し」という記述は、「この国の人は「日の本」の国の人間のため、肌の色が白く、瞳の色が青いことが多い」という意味ではないでしょうか?
もっともこの本(岩波文庫)の「日の本」の注釈では「日が昇るもと(東)の国」と解説していますが、それでは「色白くして眼の色青きこと多し」の理由説明にならず、文章の意味が通りません。
ゆえに「日の本」=異人種=蝦夷の住む土地という認識で、「日の本の故にや」と書かれたと僕は解釈します。
この「日の本」という国については『常陸国風土記』には「この地は、本(もと)、日高見国」という記述や『日本書紀』の「東夷の中に日高見国あり」という記述で記録されています。
日高見国とは「日つ上の国」の意で、日の出るほうにある国とされています。つまり「日の本」という意味です。
代々津軽地方を領した豪族の安東氏は自己の家系を蝦夷の子孫として伝承してきましが、その一族の安藤康季は自らを日之本将軍と称し、天皇もその呼称を認めていました。
豊臣秀吉も手紙の中で奥州(東北地方)を日本(ひのもと)と呼んでいました。
これらのことからも「日の本」という呼称が元々東北地方(もしくは蝦夷の地)を指していたことが分かります。
余談ですが安東氏の一族の秋田氏には、初代天皇である神武に敗れた長髄彦の兄である安日の子孫という伝承が残っているそうです。
日本と言う国は調べれば調べるほど謎が深まり、いやがうえでもロマンが掻き立てられますね。
シュメール人の痕跡、ユダヤ人の痕跡もしかり、そしてこの東北にあったもうひとつの日本と白人の血。
本当に色々な面で面白い国です。
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1
か。
ヴィヴィアン
2012-06-20 20:38:49
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