島根女子大生殺害

未解明残し幕引き 捜査本部会見、歯切れ悪く

 現場周辺で居住し、性犯罪歴があったという矢野容疑者の存在がなぜ早い段階で浮かび上がらなかったのか。杉原課長は「不審車両に素行不良者が乗っていたとの事実を確認するには時間がかかる」とし、捜査の落ち度を言外に否定した。

 容疑者特定の決め手は、矢野容疑者の関係先で押収したデジタルカメラとUSBから得られた画像だったと繰り返した。平岡さんの遺体や損壊に使用したとみられる包丁などが写っていたからだ。ただ、ほかにも犯人性を示す証拠は「ある」としつつ、捜査上の観点から踏み込んだ言及はなかった。殺害に関する直接的な証拠は得られず、画像の撮影状況から「容疑者がやったとしか考えられない」と判断したという。

どこで殺害かも分からず

 容疑者死亡のため、会見は真相を知るほぼ唯一の場だったが、結局、平岡さんがなぜ、どこで殺害されたのかさえ分からないままだった。

 近畿大の辻本典央教授(刑事訴訟法)は「(書類送検は)地道な捜査が実を結んだ」とする一方、「警察に法的な説明責任はないが、市民が安心できるような内容は積極的に公表すべきだ」と語った。

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