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斎藤元彦兵庫県知事は消費者庁の技術的助言をフル無視していた?! 情報開示請求で関連文書の不存在が判明

赤澤竜也作家 編集者
2025年4月5日、バスケットボールB.LEAGUE B2の試合で挨拶する斎藤元彦兵庫県知事写真:松尾/アフロスポーツ

公益通報者保護法を所管する消費者庁が、知事の記者会見での発言について「庁の公式見解とは異なる」と指摘したうえ、地方自治法第245条の4第1項の規定に基づき技術的助言をするという前代未聞の異常事態に立ち至っている兵庫県。

法が定める体制を整備するよう国から促されているにもかかわらず、県は一切対応をしていない可能性が浮上した。

神戸学院大学の上脇博之教授が行った情報公開請求で明らかになったもの。

5月8日の定例会見で消費者庁の新井ゆたか長官は「自浄作用を働かせていただきたい」と語ったが、果たして県は自律して動くことができているのか、深刻な疑義が呈されている。

「知事以下関係部署は趣旨を理解して適切な対応を」

法に基づく技術的助言として消費者庁の参事官(公益通報・協働担当)室から兵庫県・県政改革課へ送られたメール。(上脇博之教授提供)
法に基づく技術的助言として消費者庁の参事官(公益通報・協働担当)室から兵庫県・県政改革課へ送られたメール。(上脇博之教授提供)

元西播磨県民局長(故人)は昨年3月、斎藤知事らを告発する文書を作成し、一部の県議や報道機関に送った。告発された側である斎藤知事みずからが調査を指示し、県は作成者捜しをしたうえで文書作成・配布などを理由に元県民局長を懲戒処分にした。

県が設置した第三者調査委員会は本年3月19日、元県民局長の告発を「外部公益通報(3号通報)に該当する」としたうえで、県の対応は不当・違法だと断じた。

しかし、斎藤知事は3月26日に行われた記者会見において、

「体制整備義務につきましても法定指針の対象について3号(外部)通報も含まれるという考え方がある一方で、これは内部通報に限定されるという考え方もあります」

と述べた。

この発言に対し、消費者庁は4月8日、兵庫県・県政改革課に対して「公益通報者保護法に関するご連絡につきまして」というメールを送り、「技術的助言」を行ったのである。

斎藤知事の法解釈が「消費者庁による公式見解とは異なる」と指摘したうえで、文末には、

「本件にてご送付した内容の趣旨を、知事以下関係部署も含めて十分にご理解を頂き、適切な対応をとられるよう何卒よろしくお願い申し上げます」

と記されていた。

斎藤知事は県職員と意思疎通できているのか?

兵庫県による公文書の非公開決定通知書。「公開しないこととする理由」の欄では「公開請求に係る公文書については、作成していないため、保有していない」と記載されている。(上脇博之教授提供)
兵庫県による公文書の非公開決定通知書。「公開しないこととする理由」の欄では「公開請求に係る公文書については、作成していないため、保有していない」と記載されている。(上脇博之教授提供)

技術的助言という極めて重たい言葉を投げかけられた斎藤知事および兵庫県の側はいかなる対応を取ったのか?

上脇教授は消費者庁の技術的助言に対して公益通報者保護法の専門家の見解の記録された文書、もしくは県の見解をまとめた文書の開示を請求。

しかし県は不存在だという。

消費者庁の技術的助言に対し顧問弁護士の意見が書かれた文書についても求めた。

しかし県は不存在だという。

国から適切な対応を取るよう促されたのだから、どのような対応をするのか検討しなくてはならないはずだ。その内容を記した書類も開示請求した。

しかし県は不存在だという。

法を所管する官庁から技術的助言を受けたわけだから、当然、返答しなくてはならない。上脇教授は「どんな返事をしたのかわかる文書やメールを見せて」とお願いした。

しかし県は不存在だという。

メールをもらったにもかかわらず、返事を打っていないということは、既読スルーしたのだろうか。

そもそも消費者庁のメールは県政改革課の課長以下4人に宛てて送られていた。斎藤知事と県の職員との間でまともなコミュニケーションが成り立っているのか心配になってくる。

国会でも取り上げられたがやっぱり「受け止める」だけ

2025年4月17日、衆議院の消費者問題特別委員会で公益通報者保護法の一部を改正する法律案について質問する川内博史衆議院議員(衆議院インターネット国会中継より)
2025年4月17日、衆議院の消費者問題特別委員会で公益通報者保護法の一部を改正する法律案について質問する川内博史衆議院議員(衆議院インターネット国会中継より)

4月17日、衆議院の消費者問題特別委員会で立憲民主党の川内博史議員は、公益通報者保護法改正にかかる質疑において、

--現行法で事業者に課されている体制整備義務について、3号(外部)通報も法定指針の対象に含まれるのでしょうか?

と尋ねたところ、消費者庁の藤本武士政策立案総括審議官は、

「法定指針におきましては、3号通報に関する部分も含まれていると認識をしております」

と述べた。

また伊東良孝内閣府特命担当大臣も、

「引き続きしっかり助言を続けてまいりたい」

と語るに至る。

兵庫県知事による法的解釈の問題が国政の場でも取り上げられたわけで、上脇教授はこれらの答弁を踏まえて、「斎藤知事はどのような意見を持ったのか」、「どのような対応をすると検討したのか」、「消費者庁になんらかの返答をしたのか」について、わかるような文書を求めた。

しかし、やはり県は不存在だという。

5月8日の記者会見で技術的助言について問われた斎藤知事は、

「消費者庁からそういった一般的な法解釈としての指摘を受けたことは大変重く受け止めなければいけない」

「国の担当者がメールで県に送ってきていただいたものですから、しっかり受け止めていくことが大事だと思いますね」

と、いつものマジックワードである「受け止める」を繰り出した。

想定外だった「違法性を是正しようとしない知事」

2025年3月25日、斎藤元彦兵庫県知事が設置した第三者委員会をめぐる情報公開請求について、兵庫県による非公開決定の取り消しを求める訴訟を神戸地方裁判所に起こした上脇博之神戸学院大学教授(筆者撮影)
2025年3月25日、斎藤元彦兵庫県知事が設置した第三者委員会をめぐる情報公開請求について、兵庫県による非公開決定の取り消しを求める訴訟を神戸地方裁判所に起こした上脇博之神戸学院大学教授(筆者撮影)

今回の開示請求の結果を聞いた川内議員は、

「国の技術的助言に対して対応せず無視しているのは異常。担当課が如何なる報告を斎藤知事に対して行い、それに斎藤知事が如何なる反応をしたのかという文書さえ不存在なら、担当課は当該技術的助言を報告していないということになる。いずれにせよ、政府は兵庫県に対して地方自治法上可能な働きかけを更に強め、本来あるべき姿になるようにしていかなければならないと思う」

と話した。

公文書の開示請求を行った上脇教授は、

「地方自治法によると、『地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない』、これに『違反して行つた地方公共団体の行為は、これを無効とする』と定めていますので、消費者庁から同法の『技術的な助言』を受け、大臣らも国会答弁したのですから、正常な地方公共団体なら、その助言等を受け入れるはずです。にもかかわらず兵庫県は、それを受け入れないだけではなく、専門家らの見解にさえ基づかないまま文書での対応さえしてはいません。兵庫県は知事が斎藤氏なので、法治主義を事実上否定し違法状態を続けており極めて異常です」

と語る。

違法性を指摘されながら是正しようとしない行政の長に対してどのように対応していけばいいのか。

われわれがいまだかつて経験したことのない事態は続いている。

2025年5月14日17時57分追記

本日、立憲民主党の川内博史議員が消費者庁のレクを受けたところ、「メールは技術的助言ではなく、一般的な法解釈を伝えたもの」だと言われたとのこと。

消費者庁はマスコミも間違った報道をしてしまうほどまぎらわしい会見や答弁を行っているものの、いまだに技術的助言を行っていないということだ。

川内議員もレクを聞いて驚愕したという。

なぜ消費者庁はなにもしないのか。さらなる疑義が生じざるを得ない。

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ありがとうございます。
作家 編集者

大阪府出身。慶應義塾大学文学部卒業後、公益法人勤務、進学塾講師、信用金庫営業マン、飲食店経営、トラック運転手、週刊誌記者などに従事。著書としてノンフィクションに「国策不捜査『森友事件』の全貌」(文藝春秋・籠池泰典氏との共著)「銀行員だった父と偽装請負だった僕」(ダイヤモンド社)、「内川家。」(飛鳥新社)、「サッカー日本代表の少年時代」(PHP研究所・共著)、小説では「吹部!」「白球ガールズ」「まぁちんぐ! 吹部!#2」(KADOKAWA)など。編集者として山岸忍氏の「負けへんで! 東証一部上場企業社長VS地検特捜部」(文藝春秋)の企画・構成を担当。日本文藝家協会会員。

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