ホロライブプロダクションのVTuber1人あたり年間売上高4.87億円、演者報酬は6,440万円
カバー株式会社の2025年3月期決算が発表されたので、決算説明資料から気になる小ネタをひとつ紹介します。
カバーは2025年8月の第2四半期決算までは「VTuber1人あたりの売上高」の推移を公表していましたが、第3四半期以降は「VTuber1人当たり売上高をベースとして会社の長期的な成長を予測することが適切ではなくなった」との理由から、資料への掲載を見送っています。
ただし、「必要に応じてお手元で計算していただける」とのことなので、それならこちらでやってみようと思います。ついでに、やはり気になってしまう“お給料”、つまり演者報酬の推移についても計算してみました。
カバーが掲載を見送った背景には、おそらく「ホロメン1人あたり4億円売り上げている」が「ホロメン1人あたり4億円もらっている」にすり替わって、誤解やデマが広がったことがあると思われます。これを防ぐには、売上と報酬の両方をきちんと示すべきでしょう。
なお、カバー社が公表していたのは「直近4四半期の売上高 ÷ その期末時点の所属人数」という形式の数値ですが、今回は「直近4四半期の売上高(および演者報酬)÷ 4四半期の平均所属人数」という形式で計算しています。というのも、新たにデビューしたホロメンは、それ以前の売上には関与していないからです。
VTuber1人あたり売上高は前年比32%増、演者報酬は横ばい
カバー社の決算説明資料をもとに整理してみると、意外なことがわかります。VTuber1人あたりの年間売上高は、2021年3月期末には約1.2億円だったものが、右肩上がりで推移し、2025年3月期末には約4.87億円と、4倍以上に伸びています。
一方、VTuber1人あたりの年間演者報酬は、2023年3月期第1四半期に6,000万円を超えて以降は横ばいで推移しており、2024年3月期には一時6,000万円台を割り込む場面もありました。
この間、所属VTuber数が増加していることも一因と考えられますが、それ以上に、IPを活用したグッズやライセンス販売など、演者の稼働に依存しない収益が増えてきたことが大きな要因でしょう。こうした売上は、演者報酬の上昇を抑える構造でもあります。
これを谷郷社長は「レバレッジをかける」と表現しており、VTuber個人の活動にレバレッジをかけることで、大きな売上成長を実現している様子が見て取れます。
また、この「1人あたり売上高」には、男性グループのホロスターズや海外展開であるホロスターズEnglishも含まれています。しかし、視聴者数や露出の比率などを見る限り、売上の大部分は女性グループであるホロライブに偏っているのは明白です。そして、そのホロライブ内でもさらに売上には大きな差があることは想像に難くありません。
となれば、トップ層は一体どれだけ売り上げて、どれだけもらっているのか…。そんな妄想が膨らむのもまた、こうした数字を眺める楽しみのひとつかもしれません。
まとめ
VTuber事業は急成長を続けており、演者1人あたりの売上高も見違えるほどの伸びを見せています。しかし、その裏で演者報酬は頭打ち状態が続いており、企業としての「効率化」が進む一方で、個々の演者には負担だけが増えているようにも見えます。
実際、活動量の多さに悩んでいる演者も少なくない中で、カバー社にはこれまで以上に多様な活動スタイルを用意し、演者自身が長く続けやすい仕組みを整えていくことが求められるのではないでしょうか。
レバレッジをかけて売上を伸ばすのは素晴らしいことですが、その土台となっている演者の持続可能性にも、もう少し目を向けてほしいところです。
コメント
5TCGなど演者への報酬に依存しない方面からの収入の増加は、演者の負担を下げることに直結するはずと思います。
>VTuber1人あたりの年間売上高は、2021年3月期末には約1.2億円だったものが、右肩上がりで推移し、2025年3月期末には約4.87億円と、4倍以上に伸びています。
>2023年3月期第1四半期に6,000万円を超えて以降は横ばいで推移しており、2024年3月期には一時6,000万円台を割り込む場面もありました。
この言い方は誤解を招くと思います。2023年3月期第1四半期のカバーの売上高は2021年第4四半期の2倍に達しており、同時に演者報酬も約50%増加しました。演者一人当たりの報酬はそれ以来ほぼ横ばいだが、売上高の増加は4倍ではなく約2倍である。
しかし、2023年3月期第1四半期あたり、つまり2022年の夏あたりは、ホロメンには非常に忙しい時期でもありました。一部のホロメンは、当時よりも暇な時間が増えたと言っている一方、一人当たりの報酬を同じレベルに維持できることは、演者の稼働がすでに効率化されると言えると思います。
社員の増強による業務の効率化とそれによる演者の負担減も考えられませんかね?
と言うか実現の度合いはともかくその方向で動いてる感じはずっとしてる気がしますけど
良記事!