兵庫県伊丹市立伊丹病院(414床、同市昆陽池1)と統合予定の近畿中央病院(445床、同市車塚3)が2026年3月の診療休止を検討していると市に伝えていることが分かった。ただ、統合後の新病院の開院は当初計画の25年度中から27年度後半にずれこんでいる。開院まで近畿中央病院の患者の医療継続をどうするか、市は対応に苦慮している。
市によると、近畿中央病院を運営する公立学校共済組合本部(東京)は「統合計画は継続していく」と説明している。同組合本部は、毎日新聞の取材に対し「診療休止に向け準備を進めている。現時点では、組合本部において関係諸機関と調整中。詳細についてはその結果を受けて改めてお知らせする」としている。
両病院は20年4月に統合の基本協定を締結し、当初は25年度に602床の新病院を開院する計画を立てた。両病院とも新病院開院まで医療体制を継続し、職員の雇用や患者の診療は新病院にそのまま移行させる予定だった。
ただ、資材価格の高騰などで新病院建設工事は、入札参加者の応札がない入札不調が2度続き、23年2月に事業者が決定。契約額は当初の予定価格の1・5倍の約417億円に膨らんだ上、開院時期は26年8月に延期された。さらに、24年度には建設予定地に大規模な土壌汚染が確認され、対策工事のため、開院時期を27年度後半に見直した。
近畿中央病院の診療休止の理由について、市は「経営状況が厳しいと伺っている。(新病院開院の)計画が遅れているのは事実で、総合的に判断されたのではないか」とする。一方、同病院のホームページでは現在も「統合までの間に医療提供体制を縮小する予定はありません」と掲載。患者の診療継続や職員雇用が大きな課題となるが、同組合本部は「現時点では何も答えられない」としている。
市は「正直、困惑している。患者はできる限り伊丹病院で受け入れる体制を考えねばならないが、病床数も空いている訳ではないので、地域医療機関とも相談しなければならない。新病院の職員体制も両病院の職員全員を足しても足らないぐらいだったので、対応に苦慮している」と話している。【桜井由紀治】