第219話 クリスマス大宴会 その六

──さて、料理チャレンジもそろそろ後半戦。常夏先輩の折り返しをすぎ、五番目である俺の番となった。


「さて、と……」


 というわけで、調理である。時間は無駄にはできないので、テキパキと準備していく。


「にしても、やっぱり料理って個性出るよなぁ。吹雪先輩は無難な感じでそつなくこなして、常夏先輩は自分の好みMAXだもんなぁ」


 吹雪先輩が作ったのは、クリームチーズに生ハム、スモークサーモンをそれぞれ合わせたオシャンなカナッペ。

 サクサクっと作って持ってきて、夜光先輩に『手抜き料理はこうやるんスよ』と見せつけてた。

 対して、常夏先輩は凄かった。なんせたっぷりの大根おろしを添えただし巻き玉子である。洋風のメニューしかなかったテーブルに、ゴリッゴリの和食が鎮座することになった。『だって和っぽいメニューも欲しかったんだもん!』とは本人談。

 なんというか、料理でもちゃんと自分らしさを出しているので、素直に感心。改めて俺も見習わければと思った次第。


「えーと、まずお湯沸かしてー」


 なので今回は、ちょっとネタに走った料理を作ってみようと思います。予想の斜め上を突っ走るのが俺だからね☆

 お湯を沸かしている間に、オーブンをセット。そんで鉄板の上に、餃子の皮を重ならないように並べていく。並べ終わったら、ハケを使ってオリーブオイルを餃子の皮に塗る。

 っと、お湯が沸いたな。んじゃ、卵を沢山入れて、タイマーを……八分ぐらいかな?


「そんで餃子の皮もオーブンに入れて。んー、焦げないよう四分ぐらいかなぁ」


 次は玉ねぎ。三玉ほどをシャッと粗みじんにして、冷水に晒して辛味を抜く。これはゆで卵ができるまでやっておこうか。

 その後はピクルス。たっぷり瓶二本分を、これまた粗く刻む。

 そして大きめの器に刻んだピクルスを移しぃの、マヨネーズを一本入れぇの、粒マスタード、蜂蜜、ケチャップを入れぇの。塩で味を整えぇの。


「──お。餃子の皮焼けたな。どらどら……?」


 うん。良い感じ良い感じ。しっかり茶色い焦げ目がついてるし、オリーブオイルの力でカリッカリになってる。見て分かるぐらいにクリスピーだ。……んじゃ、これは皿に盛っていきましょう。


「卵もそろそろかな。えーと、氷氷……」


 氷水をボウルに作って、そこにできあがったゆで卵を放り込んで冷やす。

 その間に、水に晒していた玉ねぎをザルに移してしっかり水気を切る。それが終わったら、いろいろぶち込んである器へとポイ。


「……何作ってるの?」

「ん? あら雷火さん。どったの?」

「いや、ちょっと炭酸の追加を……。って、そうじゃなくて。ボタンさん何作ってるの……?」

「タルタルソース」

「やっぱりそうだよね!? というか、量凄くない!? 卵とかそれ何個あんの!?」

「二十かな?」

「多いって!? え、時間とか大丈夫!? ゆで卵だよね!? それいまから剥くんだよね!? 私手伝おうか!?」

「でぇじょうぶ」


 HAHAHA。俺を何だと思っているんだい? ちゃんと分かってやっているに決まってるじゃないか。

 というか、もう長い付き合いなんだからさ。俺のことを常識で測ったところで、無駄に疲れるだけだって知ってるでしょうに。……いや、心配してくれるのは大変ありがたいんだけども。


「まずゆで卵を持ちます」

「うん」

「そんで指でピンと弾きます」

「うん」

「すると簡単にツルッと剥けます」

「何で? ……いや本当に何で!?」


 まず最初のデコピンで殻だけに衝撃を伝えて、全体に亀裂を走らせつつ白身から剥離させるんですわ。そしたら後はツルッと向けるの。


「こんな感じで、一つ剥くのに一秒掛からないから。全然気にしなくて大丈夫よ?」

「え、やってみて良い?」

「……手伝いはいらないよ?」

「いや単純にやってみたい」

「ア、ハイ」


 やってみたいのなら仕方ないかなぁ。……でもちゃんと手は洗ってね?


「えーと、どうぞ」

「うん。……わぁっ、本当にツルッて剥ける! ナニコレ楽しい!!」

「そんな楽しい?」


 卵の殻剥きだよ? ただちょっと楽に剥けるだけだよ? ……楽しいのかそっかぁー。しかもオカワリ欲しいのね。了解。

 いやー、黙々と剥くね雷火さん。俺には何が楽しいのか分からないけど。なんかティンとくるものでもあったのだろうか? 気付けばほぼ全部剥かれてるし。


「……ふぅ。なんかスッキリした!」

「さいですか」

「いやー、ゆで卵もこうやって簡単に剥けると楽しいね! 前やった時は、全然剥けないわ身がボロボロになるわで散々だったからさ!」

「そっかー」


 それ多分キミが不器用なだけだと思うんだけど、まあ敢えては言うまいよ。グー飛んできそうだし。


「んで、これからどうするの?」

「あとはほぼほぼ混ぜるだけだけど……戻らなくて良いの?」

「この際だから最後まで見てたい」

「うーん自由人」


 一応配信中なんだけどなぁ……。テーブルの方でトークするべきなんじゃねぇかなと思いつつ、ササッと仕上げて二人で戻った方が早いなと脳内で結論付ける。

 というわけで、すべてのゆで卵を器に移して、ヘラを使って粗く潰しつつ、調味料をムラなく馴染ませるように全体をかき混ぜる。


「で、仕上げにクルトンをドサッと入れて、軽く混ぜれば──完成。ゴロゴロ具材のタルタルディップ。餃子の皮で作ったクリスピー生地でどうぞ」

「こ、これは……!? なんという、カロリーの暴力……!!」


 まあの。でも美味いと思うよ?








ーーー

あとがき

まだまだ続くんじゃよ。


あと二点ほどお知らせをば。

まず書籍版三巻、Amazonの在庫が復活いたしましたので、まだ買ってないという人は是非。レビューや感想などもよろしくお願いします。


そして明日、コミカライズ版の追っかけ更新がございますので、カドコミ、ニコニコ漫画をチェックくださいな。

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