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2025年5月14日水曜日

第11回【戦場の風】ゲームブックリプレイ FT新聞 No.4494

第11回【戦場の風】ゲームブックリプレイ

※ここから先はゲームブック【戦場の風】のネタバレを含んでいます。ご注意ください。


ぜろです。
ゲームブック「戦場の風」もいよいよクライマックス。
コーデリア王女を戦場から離脱させるため、王女と相乗りした馬で、戦場を疾走する主人公ロニー。
丘のウォードレイクをまんまとまくことに成功しましたが、そこにふもとのもう1頭のウォードレイクが立ちふさがります。
進んだ先のパラグラフは、どうあがいてもゲームオーバーしか待っていない袋小路。
これまでに得てきたパラグラフジャンプを駆使して、ウォードレイクを攻略します!


【ロニー 技術点9 体力点17 運点11】
【持ち物】
・剣
・荷物袋
・食料1
・馬
・ガーネット
・黒いコイン
・牛飼いの笛
・牛の血


●アタック07-7 街道のウォードレイクふたたび

まさか、序盤にウォードレイクに遭遇した時のパラグラフに進むとは思わなかった。
今の俺は、馬に乗り、背中に王女を乗せている。
序盤の俺は単騎で、他の兵たちが逃げるための時間稼ぎが目的だった。

シチュエーションはまったく異なる。
それでも、共通する描写のみを用いることで、違和感がないように巧みに表現している。
こういうところ、さすがと思う。

ウォードレイクとの遭遇。最初の選択肢は、正面から戦うか、側面に回るか、だ。

これは間違いなく、側面に回るを選択する。
どんな対策があったとしても、正面からぶつかるのは無茶だ。

俺が側面にまわりこむと、ウォードレイクは空中へ舞い上がった。
巨体がうなるぞ空飛ぶぞ。

そしてここで、次の選択肢が、出る。

・周囲を走り回り、着地を待つ
・武器を構えて反撃を狙う
・今のうちに背を向けて走り出す

ここで俺が選ぶのは、もう決まっている。
それは、「今のうちに背を向けて走り出す」だ。

実はこの選択肢、どれを選んでもゲームオーバーか、ふりだしに戻るかになっている。
なら、なぜその選択肢にするのか。

それは、「背を向けて走り出す」の進み先が、19だからだ。

俺は前回、パラグラフジャンプミスのため、パラグラフ91を見たことがある。
そこで91を見てあったことが、今回の攻略に生きているのだ。

走り出す。ウォードレイクは馬より早く接近してくる。
今、このタイミングだ。

俺はウォードレイクに「止まれ!」の命令を下した。
パラグラフジャンプだ。
その内容は、「今いるパラグラフの、十の位と一の位を入れ替える」というもの。

つまりジャンプ先は、91となる。

そう、すでに91で「止まれ」の命令が効果を表していることを俺は「知っていた」。
だから、この選択をしたのだ。結果的に、ちょっとした未来予知みたいになった。

俺の号令で、ウォードレイクはぴたりと動きを止めた。
俺はその隙に、ウォードレイクとの距離を突き放す。
ウォードレイク騎兵が新たな指示を下し、再び動き出すまでに、距離を稼ぐことができた。

まだだ。まだ終わりではない。完全に振り切ってはいない。
次の選択肢が並ぶ。

・このまま走りやすい街道を進む
・川を渡る道を選ぶ
・林を抜ける道を選ぶ

これまた、来るときの逆算だ。
街道では、追いつかれて終わりだろう。
川は、渡し守がいるが、そんな悠長なことはしていられない。

となればここは、ウォードレイクには走りにくいと思われる、林の道一択だ。
俺は林に馬を乗り入れた。

林の中では馬もそう早くは進めない。しかし同時に、視界を遮ってくれる。
巨体のウォードレイクにはきついはずだ。これで諦めてくれればいいのだが。

ところが、羽ばたきの音と、巨体が舞い降りる音が聞こえた。
ウォードレイクだ。林の中に舞い降りたのだ。

どうやら目で探すことは諦め、鼻で探すつもりなのか。
こちらが先にウォードレイクを視認した。

今のうちに脱出すれば、逃げ切ることができそうだ、とある。
しかし、ここで俺たちを見失ったウォードレイクは街道に戻るに違いない。
そうなると、丘から撤退してきた我が軍は、このウォードレイクと激突することになる。

どうするか、の選択肢が並ぶ。

・ロング・ナリクに向かい走る
・ウォードレイクの背後から近づき、騎兵を襲う


●アタック07-8 ロニー、英雄となる

ロング・ナリクに向かい走れば、逃げきれそうとある。
実はその選択肢の先はすぐ下にあって、そこからパラグラフ100に進むことが、もう見えてしまっている。
この作品、100パラグラフゲームブックシリーズなのだから、パラグラフ100というのはつまり、エンディングだ。

でも、俺はあえて、困難な道を選ぶ。
兵たちを安全に撤退させるため、俺がここで、ウォードレイクを食い止める。
それに、ウォードレイクではなく騎兵を狙うのは、最高の戦術といえる。

さらに、俺はまだウォードレイクの好物である「牛の血」を用いるというパラグラフジャンプを使っていないのだ。
それを使う場面ってどこだ。ここだろう。
未使用のパラグラフジャンプの存在が、俺に、真の道の存在を気づかせてくれる。

俺は、背後から素早くウォードレイクに接近すると、その背に飛び乗った。
愛馬は王女に任せる。

「うっ! なにぃ! バカな!!」

ウォードレイク騎兵が、車田正美漫画のような叫び声を上げる。
一撃を加えるが倒しきれない。騎乗での戦闘になる。

【ドラッツェン騎兵 技術点9 体力点3】

技術点が高めだ。しかし俺はここまで無傷。
体力点3点まで弱らせているのだから、なんとかなるはずだ。

一進一退の攻防を制したのは、俺だった。

俺は勝利したが、騎兵と2人して、ウォードレイクの背から転がり落ちた。
騎兵は最後の力を振り絞って叫ぶ。
俺の知る「止まれ」の号令ではない。
たぶん「襲え」だ。

ここが「牛の血」の使いどころだろう。

俺は、その血を敵兵にぶちまけた。
なにがなんだかわからない、といった表情の敵兵に、ウォードレイクがかみついた。

ウォードレイクの食事中に、俺は再び背に上がり、鞍にまたがる。
手綱を握り、食事が終わるのを待つ。
ウォードレイクの手綱さばきは何度か見た。
見よう見まねでやってみる。

うまくいった。戦場はともかく、乗りこなすだけなら問題なさそうだ。
むしろ、降りたらどうなるか、わかったものではない。このまま乗っていった方が安全だろう。
ここは、ここまで従順に飼いならしてくれたドラッツェンに感謝した方が良いのかもしれない。

「だ、大丈夫なのですか?」

コーデリア王女が近づいてくる。
ウォードレイクは王女を襲うようなことはしない。
大丈夫だ。問題ない。

コーデリア王女はあまりの出来事に驚き、改めて俺の評価を上方修正したようだった。

「しかし……これでは、こっそり帰る、というわけにはいきませんね」

まったくそのとおりだよ!

こうして俺は、ウォードレイクに騎乗し、王女とともに帰還を果たしたのだった。

こうして俺は、100パラグラフのその先、101パラグラフにて、真のエンディングに到達したのだった。

金牛の丘の戦いは、敗戦だった。
しかし、王女自らが囮となったことで、撤退戦ではほとんど犠牲者は出なかったという。
それに、貴重なウォードレイク1頭を奪ったのだ。
土地は取られたものの、向こうにとっては完全な勝利とは言えないものであることだろう。

本来の俺の任務は、王女を秘密裏に救いだすことだった。
しかし、秘密なんていう次元ではなくなってしまった。

「若き騎士が、単身で戦場に乗り込み、ウォードレイクを奪い、王女を救いだした」

こんなストーリーが出来上がってしまった。
そんな劇的な展開ではないし、順番は違うが、戻って来た状況からしたら、そうなる。
敗戦だからこそ、人々には英雄譚と、英雄が必要だ。

俺はそれに、祭り上げられてしまった。

俺は、亡きウォーレンの剣を受け継ぎ、聖騎士として任命された。

聖騎士としての誇りと、王女からの信頼を勝ち得て、俺の今回の任務は完了した。
だが、俺の本当の活躍は、ここから始まる。

クリア! おめでとう!!


【ロニー 技術点9 体力点17→15/17 運点11】
【持ち物】
・剣
・荷物袋
・食料1
・馬
・ガーネット
・黒いコイン
・牛飼いの笛
・牛の血


●感想

アタック01 グレゴリー 運だめし凶。序盤のウォードレイクに切り裂かれる。
アタック02 フィル 序盤のウォードレイクから逃げきれない。
アタック03 リー 序盤のウォードレイクに踏みつぶされる。
アタック04 ウォーレン 王女を説得できない。
アタック05 リオン 王女を説得できない。
アタック06 ゴドフリー ウォードレイクを観察しすぎて食される。
アタック07 ロニー ウォードレイクを駆り、王女とともに無事に帰還の真エンド!

やあ、こうやって履歴を表示するのも久しぶりです。
7回のプレイでクリアは、けっこうよくやりました。
本来なら、7回でクリアはできていなかったと思うんですよ。

パラグラフジャンプのミスとかで、先の展開をいろいろ覗き見してしまった結果が功を奏しました。
ズルといえばいえなくもないのですが、見えちゃったものはしょうがない。
むしろこういったアナログさ加減が、ゲームブックの醍醐味とも言えます。

序盤でウォードレイクと繰り返し戦い、袋小路になっていることを把握しておいたのが、ラストで役に立ちました。
特にラスト付近、ちょっと間違えたら、どうしようもないくらいにゲームオーバーを量産するような構造になっています。
それを序盤にやっておいたからこそのスムーズな展開でした。

パラグラフジャンプを駆使することが求められるタイプの作品です。
5つのパラグラフジャンプが登場しました。

・王女の居場所を知る
・司祭セロの名前を出す
・牛飼いの笛を使う
・牛の血を使う
・ウォードレイクへ「止まれ」の号令をする

この中で特筆すべきは「牛飼いの笛」ですね。
このアイテムは、手に入れる機会が2つあります。
そして、最初に手に入る方がフェイクとなっております。
ここでのアイテム入手にこだわってしまうと、クリアが遠のいてしまうわけです。
いやあ、これは意地悪な仕掛けですね。もちろん誉め言葉です。

ただ、ここで牛飼いの笛を手に入れるためには、そこそこの強敵と戦う必要があるので、違和感を感じるようにできています。
とはいえ、敵の強さがインフレしているファイティングファンタジーのシリーズに慣れ過ぎていると、その違和感を感じられないかもしれませんが。

それにしても、まさにその牛飼いの笛のパラグラフジャンプにバグがあるなんて。
仕掛けの上でも、別の意味でも、牛飼いの笛に泣かされた作品でした。

この作品は、たしか、もともとFT新聞で連載されていたものだったと記憶しています。
そう思ってみると、全体がだいたい20パラグラフずつの5つに分割されていると感じます。

第一パート 序盤のウォードレイクを切り抜け、丘へ。
第二パート 丘で情報を得つつ、王女に出会うまで。
第三パート 王女の説得。
第四パート ドラッツェン軍の陣でウォードレイクの知識を得る
第五パート 王女とラストの脱出行

ここでまた工夫が凝らされているとうなったのが、ラスト、王女との脱出行の際に、序盤に遭遇したウォードレイクと再度相まみえる場面ですね。
パラグラフまるごと、序盤の頃の番号に飛ばされてしまいます。
序盤での遭遇で、絶対にかなわないとわからされてしまっている相手ですから、絶望感が半端ないです。
もちろん今度は、手に入れているパラグラフジャンプの力で危地を脱することができるのです。これは見事な構成ですね。

パラグラフジャンプといえば、バグの他にも少々気になった点はありました。
それは、入手するパラグラフジャンプの情報が、同じことがある点です。

作品のうえでは、司祭セロの名前を告げるのと、牛飼いの笛を吹くののパラグラフジャンプの番号が同じです。
バグ修正を加えた場合、牛の血を使うのと、牛飼いの笛を吹くののパラグラフジャンプの番号が同じになります。

もちろん私は、よく慣らされたゲームブック読者ですから、空気を読んで理解はします。
けど、同じ番号のパラグラフジャンプでは、読者がどっちを使う意図だったのか、という疑義が生じる可能性があると言えましょう。
とはいえ、文章が繋がっているかどうかの判断も読者に委ねられていますから、ゲームブックというのはつくづく、読者にもそれなりの力量を要求する作品なのだな、と思います。

さてたぶん、この時の若き騎士が、「龍の王女と大釜の魔女」の頃には王女の恋人になっているんでしょうねぇ。
そしてさらにその先の時代まで続いていくわけです。
それぞれが独立した作品なので、主人公の名前は別々としてプレイしていますが、作品間の繋がりは、歴史を感じさせますね。

この時にドラッツェンの手に渡った「金牛の丘」はこの後、どうなったのでしょう。
ロング・ナリクは奪還に成功したのでしょうか。
私は自分がプレイした作品以外はわりと目を通せていないので、もしかしたら、今後どこかで知る機会があるかもしれません。
楽しみにしたいと思います。

そうそう、私、本作の挿絵を担当しているあすろんさんのイラスト、とても好きです。
ものすごく殺伐としてもおかしくない内容ながら、あすろんさんの独特の雰囲気が、作品全体の空気を和らげているのを感じます。
だからこそ冊子版では、見開きのページが少々残念なことになってしまっていて、もったいないと感じました。

では最後に、正誤表を改めて掲載し、本リプレイを終了したいと思います。
今回も面白い作品を、ありがとうございました。


【正誤表】 数値を4→1に変更
パラグラフ28
(誤)以降、この笛を使うべきだと思った時、君はいまいるパラグラフ番号に4を足した番号を確かめることができる。
(正)以降、この笛を使うべきだと思った時、君はいまいるパラグラフ番号に1を足した番号を確かめることができる。

パラグラフ64
(誤)以降、この笛を使うべきだと思った時、君はいまいるパラグラフ番号に4を足した番号を確かめることができる。
(正)以降、この笛を使うべきだと思った時、君はいまいるパラグラフ番号に1を足した番号を確かめることができる。


■登場人物
ロニー ロング・ナリク軍の一員で若き騎兵。7人目の挑戦者。英雄となる。
ロング・ナリク王 おうさま。コーデリア王女の父。
コーデリア ロング・ナリクの王女。15歳で初陣。戦場の指揮を執る。
ジャルベッタ ドラッツェン軍の指揮官。冷酷無比との噂。
聖騎士ウォーレン ロング・ナリクの当代一の聖騎士。ロング・ナリク軍の副官。戦地で命を落とす。
ジェイコブ 金牛の丘の牛飼い
アンドロ 聖騎士ウォーレンに従っていた兵士。ウォードレイクに遭遇し生き延びる。王女の説得に一役買う。
セロ 聖堂の司祭。コーデリア王女の神学の先生でもある。



■作品情報
作品名:戦場の風
著者:丹野佑
編集:エディットなかの
発行所・発行元:FT書房
購入はこちら
https://www.amazon.co.jp/dp/B00SSZ9D5C


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