未解決事件を追う

遺体にポリ袋、焼け跡…ナゾだらけの猟奇的事件 島根女子大生殺害 「胸が押しつぶされそうになる」

遺体は頭部や胴体、大腿骨(だいたいこつ)の一部などが、臥龍山の崖下の斜面を中心に見つかった。外見から性別を判定できないほど傷んでいた。死後に小型の刃物で何度も傷をつけたり、遺体の一部に火をつけたりした跡もあったという。

遺棄現場で多量の血痕が確認されなかったことから、別の場所で殺害された可能性が高いとみられる。

捜査本部は、犯人が空き家を使った可能性があるとみて、島根県西部や広島県との県境付近を中心に、対象となる約9千棟のうち約7割で確認作業を終えた。しかし、管理者と連絡が取れないなど一部で建物に入れないケースもあり、作業は難航している。

ショッピングセンター周辺などで目撃された白のセダンの乗用車についても、これまでに寄せられた約30件の情報で事件に直結するものはなかった。

遺体に付着していた電話帳配布用のポリ袋は数少ない犯人の遺留品とみられている。袋は平成7年初旬に広島県三次、安芸高田、東広島、呉、三原各市で配布されたことは分かったが、大量配布のため犯人の割り出しは困難で、地道な聞き込み捜査が続く。

「情報を寄せてください」。平岡さんが行方不明になってから5年を迎えた今年10月26日、松江市のJR松江駅前で島根県警の捜査員らがちらしを配った。

事件は、22年2月から有力情報の提供者に上限300万円の懸賞金を支払う捜査特別報奨金制度の対象となり、これまでに約1800件の情報が寄せられている。昨年10月以降の1年間では約140件。島根県警の宇山洋刑事部長は「事件を解決して被害者の無念に応えるともに、県民の不安を解消したい」と話した。

地域を明るく照らす

「夜に女子学生1人で暗い道を歩く姿を目にする。市民が事件を少しずつ忘れているのではないか」

市民団体「はまだを明るく照らし隊」隊長の村武まゆみさん(53)=浜田市=は、事件の風化を懸念する。

平岡さんと一緒に入学した県立大の学生約230人は昨年卒業し、ほとんどが県外で就職した。

村武さんは事件のあった年、市内を覆った暗い雰囲気を心配し、学生と市民で照らし隊を立ち上げた。地域安全の向上のため、各家の門灯の点灯を呼びかけたり、市内を見回りしたりしている。今年も10月26日、県立大で追悼式「はまだ灯(ともし)」を開催。約2千個のキャンドルや灯籠(とうろう)に明かりをともし、平岡さんの冥福(めいふく)を祈った。

「遺族のことを思うと胸が押しつぶされそうになる」と村武さん。事件から5年を振り返り、「未解決のままでは不安を取り除くことはできない。市民一人ひとりが自分たちのこととして考え、生活していくことが大切だと思う」と語った。

島根女子大生殺人・死体遺棄事件

平成21年10月26日、島根県立大1年の平岡都さん=当時(19)=が、同県浜田市内のアルバイト先のショッピングセンターを出た後、行方不明になった。11月6日、広島県北広島町の臥龍山で女性の頭部が見つかり、島根、広島両県警は7日、平岡さんと確認し、死体損壊・遺棄事件として合同捜査本部を設置した。24年11月、死体遺棄罪の公訴時効が成立したが、島根、広島両県警が殺人事件として捜査を継続している。情報は浜田署内合同捜査本部(フリーダイヤル0120・385・301)。

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