第215話 クリスマス大宴会 その二

「あ、飲み物はこちらからお選びください」


 天目先輩の号令に従い、乾杯準備に入る。ということで、用意しておいたものをトントントントントンと机に並べていく。


「……いや多い多い多い!」

「どんだけ用意してんの!? BARかってぐらいのラインナップだけど!?」

「ボタン君そんな楽しみだったんスか?」

「ウッキウキでお酒選んでるの想像すると可愛いね」

「相変わらず加減知らねぇのなお前……」

「しかも半分ぐらい高いやつだし……」


 怒涛のツッコミである。あと若干不名誉な勘違いが発生していた。


「一応言っておきますけど、ここにあるのアレですからね? 皆さんとのコラボの時に用意したやつの残りですからね?」

「それにしたって……その、多くない?」

「お酒好きの方もいらしたので。そちらの方々に満足していただけるラインナップを意識したら、いつの間にかこの量に」

「あー……」


:四谷……

:草

:四谷かぁ

:あとサンちゃんかな? デンジラスの酒カス勢は

:草

:草

:他は普通に好きぐらいだもんな、酒

:草

:草

:大体四谷のせいなのは分かった

:サンちゃんも大概だけどな

:四谷のせいか

:四谷……

:草


 特に名指ししてないのにこのコメント欄よ。そこんとこどう思いますか、二人とも。そんな全力で顔逸らしてないでこっち向いてくれません? 3Dだから視聴者側にもバレとるぞオイ。


「あのー、私はお酒飲めないので分からないんですけど。どれがどれぐらい高級なんですか?」

「え、知らんけど」

「美琴先輩?」

「いや、普通は銘柄とか値段とか分かんねぇからな? 即答できるのなんて、それこそ酒好きかコレクターぐらいだよ」

「へー。言葉先輩は分かるんですか?」

「え? あー、うん。大体分かるよ。サンちゃん先輩も分かりますよね?」

「何で私も巻き込んだの? いやまあ、いくつかは分かるけど……。私、メインは焼酎とか日本酒だから、ワインやウイスキーはちょっとビミョい」


 それでもちょっとは分かるのな。そして大体分かるって言った四谷先輩はホンマ……。どんだけ酒が好きなんだこの人。


「ちなみに、この中だと一番高いのってどれですか?」

「んー、私が分かる範囲だと……多分コレかな? この日本酒、確か三万ぐらいだったはずだし」

「いえ、多分こっちですね。この赤ワイン、六万ちょいするので」

「えっ、マジ!? コレの倍するんだそれ……」

「ろっ……!?」

「たっか!?」

「そんなんサラっと並べてんじゃねぇッスよボタン君」

「いうて三万も結構なものだよ……?」

「だから加減しろってお前はさぁ!!」

「うーわー……」


 そんなドン引きされても困るんですけど。ただの在庫処分だし……。


「まあ、好きなの選んでくださいよ。選ばれなかったやつも、全部このキッチンワゴンに置いておくんで。好きな時に好きなものをどうぞ」

「おおう……。また懐からいろいろニュっと出てきた。しかも結構大きいし」

「慣れてきたけど、これも結構おかしい光景だよね……」

「こっちの段にはワイングラスとか、ジョッキとかを。で、こっちには氷入りのバケツを。冷やして飲みたいワインがあったら、ここに突っ込んでおいてください。あと一応、日本酒用の徳利もあります。熱燗とか飲みたい人は、それ使ってください」

「店か」

「準備万端がすぎるでしょ」

「あ、そんで雷火さんはこっちね」

「……何で私だけ別のワゴンが?」

「これ子供用」

「お、喧嘩か?」


 どうどうどう。拳握らないの。別に馬鹿にしてるわけじゃないから。むしろ気を利かせての行為だから。


「まあ、つまるところソフトドリンクよ。雰囲気楽しむ用に、ノンアルのシャンパンとかも置いてるし。間違わないようにってこと」

「……なら許す」

「氷はこっちにも置いてあるけど、少ないから。足りなかったら冷蔵庫ね。ジュースや炭酸も雑に入ってるから、こっちのが足りなくなったら自分で取ってきて」

「あ、了解」

「先輩たちもそんな感じでお願いします。缶ビールとかは冷蔵庫に入ってるんで、そっちが良いって人はその都度ご自分で。グラスが足りなくなったりした時も同様です」

「「「「「「はーい」」」」」」


 それじゃあ、各々好きな好きなドリンクを選んでください。


「最初の乾杯はどうしよっか?」

「んー、普通の飲み会ならビールかサワーとかだけど……」

「一応はクリスマスって名目ですし、ここはワインやシャンパンとかでは? ……どれがシャンパンなのかは分かんないんスけど」

「まあ、せっかくだからお洒落にいきたいよねー」

「出番だ言葉。なんかオススメとかある? てか、そもそもどれが何?」

「えー? よく見れば種類ぐらいは書いてあると思うけど……。えっと、コレとコレが赤で、こっちのとそれが白。で、この端のがシャンパンで、そっちはスパークリングワイン」

「シャンパンはフランスのシャンパーニュ地方で作られたワインだけを指すんですよね!」

「急にどったの?」


 突然謎のウンチクを語り出すじゃん。なに? 酒の話に馴染めなくて寂しかったの? でもちょっと唐突すぎるから、キミは黙って子供用シャンパンを飲んでなさい。


「……無言で私にノンアルボトルを勧めてくる意味」

「酒の席だと、いまみたいな脈絡ない語りは煙たがられるからね。ほら、吹雪先輩を見なさい。当て擦りされたみたいになってるから」

「……そういうキミの台詞の方が、万倍失礼なんスけど?」

「はっ!? 失礼しました!!」

「そっちはそっちで謝ってくるんじゃねぇッスよ! この後輩たち本当に失礼!」


:草

:草

:草

:草

:草

:草

:草

:草

:草

:草生える

:草

:草

:コイツらw

:草


 えー、なんのこ……え、待って雷火さん。何でそんな愕然とした顔でこっち見んの? その裏切られたみたいな表情なに? まさかガチで謝ってたの? ネタとか煽りとかじゃなく、本当にゴメンなさいしてたの? うせやろ天然すぎでは?


「はいはい。とりあえず、さっさと乾杯するよー。時間も押してるからね」

「……というか、いまさらですけど二時間って短すぎません? 八人で料理することを踏まえると、タイムスケジュール相当キツくないですか?」

「あはは……。そこはまあ、理想は二時間って感じだからな。オーバーすることもちゃんと想定されてるよ。あとはほら、どうせ二次会するからね。スタッフさんたちは早めに解放してあげよう的な、ね?」

「あー。最初から二次会にシフトする想定なんですね。納得です」

「やっぱ個人所有のスタジオって無法ッスね」

「それでも3D使える時間は限られてるんだから、進められるところは進めちゃうよー。てことで、一花。音頭お願い!」

「はーい。じゃあ皆、グラスは持ったね? それじゃあ、今日のクリスマスコラボ、思いっきり楽しもうね!! ──乾杯!」

「「「「「「「かんぱーい!」」」」」」」








ーーー

あとがき

キャラが多すぎて進まねぇな……。まあ、じっくりやっていくかも?


えー、前回に続きお知らせを二つ。

カクヨムネクストの新連載、

【神宮寺オカルト相談所の業務日報】を引き続きよろしくお願いします。

まだ連載開始したばかりなので、最新話以外は無料で見れる……はずです。

二十話まではそんな感じが続くはずなので、ネクストに加入してないよって人も、是非ともお読みください。……まあ、まだ序盤も序盤なので、溜めてから読むのも全然ありですが。むしろ私もそっちを進める。

好きに書いて良いと言われて、まあアレコレ書いたんですけど。分割したらワンエピソードが……うん。思ってたより長くなってしまってなぁ。そこはご了承ください。

とりあえず、ハート、コメント、星評価もよろしくお願いします。


本作の書籍版、第三巻がもうすぐ発売です。三十日なので、具体的にはあと三日ですね。

電子版、紙版をよろしくお願いします! 予約注文もね!

こちらもお読みいただいた場合、Xでの感想とか、Amazonとかでのレビューとかもお願いしたいです。私がすっごい喜びます。


あと、発売を記念して火曜か水曜に更新予定です。それではまたお会いしましょう。

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