市が累計59億円を支援した地下商店街…経営不振で結局、営業終了 市有化の予定も、老朽化で今後の活用策は見えず
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新潟市中央区の地下商店街「西堀ローサ」が3月末、半世紀にわたる商業施設の役割に終止符を打った。市は2025年度中に運営会社で市の第三セクター「新潟地下開発」から西堀ローサを取得する予定。ただ、施設の老朽化や取り巻く環境の厳しさもあり、今後の跡地の活用策については不透明なままだ。 【グラフ】急落する西堀ローサのテナント売上高 市は、西堀ローサを市有化した後、「公民」で連携して運営する方針を示している。しかし、空調や給排水、電気設備など約350カ所のうち、老朽化で9割以上が「早急に修繕・更新が必要」とされる。中原八一市長は4月の会見で「修繕や更新には多額の費用を要する。費用を投じる価値があるものが実施できなければ、市として税金をかけられない」と語気を強めた。 ただ、「費用を投じる価値があるもの」が何かは全く見えていない。市は昨年8月から民間のアイデアを募るサウンディング型市場調査(対話型意向調査)を実施し、今年4月末までに18件が寄せられたものの、事業性のある有効な提案はまだないという。 新潟地下開発の社外取締役を経て、解散が決まった後の24年から共同代表取締役を務める佐藤健之さん(72)は、ローサにアウトレットやアミューズメント施設の誘致を検討したこともあったが、古町への客足が見込めないことから「交渉は進まなかった」と明かす。莫大な投資が必要で立地上の制約もあるため、飲食店街にするのも難しいという。 西堀ローサが立地する古町エリアでは、地下で連結した大和新潟店や新潟三越など、2000年代に入って百貨店や商業施設の閉店が相次いだ。三越跡地での再開発計画も動き出していない。 地元の商店街関係者も、エリアをどうもり立てていくのか描きかねているのが実情だ。ある関係者は「どの商店街も行政の補助金ばかりを当てにしている節がある。実行力のある組織をつくらないと古町は再生できない」と指摘する。 ◆新潟市支援は累計59億円 西堀ローサは1976年、新潟地下開発が総工費約68億円を投じ、華々しく開業した。人の波が押し寄せ、最盛期の91年度にはテナントの総売上高が50億円を突破した。だが、NEXT21が開業した93年度に業績が急落。バブル崩壊もあり売上高は減少の一途をたどった。新潟市から財政支援を受けても経営難を脱せず、2025年7月の臨時株主総会で会社の解散が決議される見通しだ。 経営の重荷になったのは、巨額の債務だ。総工費約68億円のうち、運営会社の自己資金はわずか約3億円。残りは金融機関からの借入金と、テナントの保証金と敷金でまかなった。 2000年代に入ると経営環境は厳しさを増す。市は古町の地盤沈下を食い止めようと、新潟地下開発の不採算部門だった地下2階の駐車場を19億5900万円で買い取ったが、債務超過は解消されなかった。 06年には整理回収機構(RCC)の下で経営改善計画が策定され、市は9億円を貸し付けた。万代地区や郊外では大型商業施設が開業する一方、ローサの10年度の売上高はピーク時の1割に満たない4億9200万円にまで落ち込んだ。 市によると、これまでに出資や貸付など直接的な支援に約11億1000万円を投じた。さらに01年の地下駐車場のほか、19年度には地下1階の通路部分を市道化し、維持管理費を負担。このほか、入居する行政施設の賃料、工事費など間接的な支援も合わせ、累計で約59億円を支出している。 9日には、新潟地下開発の代表取締役2人が中原八一市長と面会し、返済できる見込みがないとして、市から借り入れた9億円と、1億円超と見込まれる遅延損害金の債権放棄を求めた。ローサの保有部分や所有ビルなどの資産を市に無償譲渡する意向も示している。
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