南紀熊野ジオパークセンターで展示している絵本の原画(和歌山県串本町潮岬で)
南紀熊野ジオパーク推進協議会は、和歌山県上富田町の民話を題材にした絵本「南紀熊野の民話 彦五郎の堤」を制作した。エリア内の小学校や保育園、幼稚園、図書室などに配布したほか、データ化した絵本をホームページに掲載している。
協議会は子どもたちにジオパークに興味を持ってもらうとともに、地域文化の伝承を目的に、地域の民話を題材にした絵本を制作している。2021年の「橋杭岩の立岩伝説 鯛島と河内島」、22年の「クジラとモグラ おいの伝説」、23年の「瀞のぬしさん」に次ぐ4作目となった。
作品は上富田町を流れる富田川が舞台。大雨になると大洪水になることから「暴れ川」と呼ばれ、大きな災害をもたらしていた。そんな中、治水のため人柱になった彦五郎の伝説が題材となっている。
24年8月に熊野高校(上富田町朝来)サポーターズリーダー部ジオ班の生徒が防災やジオパークの学習をした。絵本制作にも携わり、実際に彦五郎堤防で石や植物に紙を置いて鉛筆で写し取る「フロッタージュ」を行い、素材集めに取り組んだ。その後、新宮市の熊野川中学校の美術科教諭、大江みどりさんが原画制作に取りかかった。
絵本は全18ページで、フロッタージュによって岩や植物の質感を表現している。文面は独特な響きやリズムを楽しんでもらおうと上富田町の方言で表している。標準語との比較もできる。
南紀熊野ジオパークセンター(串本町潮岬)の大江晃司主査(42)は「フロッタージュの技法を用いることで実際の場所にあるものの質感が見て取れる。幅広い人に手に取ってもらいたい」と話した。
同センターでは絵本の原画6点や作品の解説パネルを展示している。25日まで。時間は午前9時~午後5時。入場無料。