「通信の秘密」との兼ね合いで問題があるのは理解できる。それでも国民の健康と財産を守るために知恵を出し合い、有害な違法オンラインカジノのブロッキング(強制遮断)を可能にしたい。
深刻な社会問題になっているオンラインカジノ対策を考える総務省の検討会が始まった。カジノサイトへの接続を強制遮断し、閲覧できなくするブロッキングの検討が最大論点だ。
海外オンラインカジノ業者が現地で合法でも、日本から賭ければ違法だ。日本では違法との認識が薄く、警察庁の調査では利用経験者は約337万人、賭博額は年間1兆2423億円に膨れ上がったと推計される。
憂慮されるのは利用者の6割に依存症の自覚があることだ。スマートフォン一つでどこでもいつでも入金から配当受領まで完結できるため、依存症、経済的困窮に陥るスピードが非常に速い。深刻な状況なのだ。
政府は3月、ギャンブル依存症対策の基本計画を閣議決定し、広告排除やクレジットカード決済をできなくするなどの策を挙げた。ただ根本的解決策はブロッキングの実施である。
実施にあたっては、通信会社が全顧客の通信先を確認しなければならない。この行為が憲法が保障する通信の秘密に抵触する可能性が出てくる。
平成30年、漫画を無断掲載する海賊版サイトのブロッキングが検討されたが、通信の秘密に抵触するとして見送られた。国内で行われているのは児童ポルノサイトのブロッキングのみだ。被害児童の人権侵害を重視し、「緊急避難」として強制遮断を認める法的建て付けだ。
海外カジノ業者は日本を狙い撃ちにしている。依存性を高めるアルゴリズムを使い、再三の違法性指摘にも耳を貸さない。法的困難性は高かろうが、「国民を侵す病理」として緊急避難の対象とできないか。賭博に特化したブロッキングの制度化も検討に値するのではないか。
検討会は夏にも中間の論点整理をまとめる方針だが、できない理由を並べるのでなく、「どうしたらできるか」の知恵を多角的に提示してほしい。
一方で政府は、日本でサービスを提供しているオンラインカジノ業者に強い態度で中止を指示すべきだ。国民を守るとの強い意思を示してもらいたい。