第193話 銀世界でコーヒーを その二

「というわけで、早速飯の準備をしていこうと思います。ただ今回は外ですし、雰囲気を出すために道具のセッティングから始めます」


 キャンプは道具を準備するところから楽しい。どっかの誰かがそんなことを言ってた気がする。……と言っても、実際は全然キャンプって感じじゃないんだけど。テントとかはないし。


「いやー、この日のためにわざわざ道具揃えたのよ俺。キャンプ用品の専門店行って、『野外で使える料理キットありますかー?』って聞いてさ」


 まあ、本当ならわざわざ買い揃える必要もないんだけどね。俺、空間袋あるし。持ち運べる荷物の量に上限がないので、家の調理器具をそのまま持ってくればこと足りるのよ。

 でも、それだと風情とかないじゃん? だからいろいろ見繕ってもらったのよ。小さいガスコンロとか、飯盒とかメスティンとか、固形燃料とか、まな板、ナイフ、焚き火台とか焚き火シートとかね。

 似たようなアイテムも多いけど、そこは今後の配信におけるバリエーションのためにも妥協しなかった。


「それじゃあ、並べていくから少々お待ちを」


︰おけ

︰はーい

︰待ってる

︰がんばえー

︰キャンプやん

︰絶景の中でこういうことするの浪漫よね

︰いろいろあるなぁ

︰メスティンって良いよね

︰今度ワイもやろうかしら?

︰ソロキャンは良いぞ

︰おけ

︰り

︰意外と量あんのな


 えーと、ここにパソコン置いてるテーブルがあるから……この辺りを中心にするのが良さげかな? 位置が悪いと、配信画面に置いてあるLive2Dの動きに影響があるから、ちゃんと具合の良い位置を探さなければ。

 対して、カメラの方は気にしないで良いから本当に楽だ。視界と同期してるってマジ神。しかもマスク状態だから、反射とか気にする必要がないのはデカイよね。……顔以外はもう表に出てるし。

 ぶっちゃけ、家やスタジオでの料理配信でもコレ使いたいのよなー。臨場感もめっちゃアップするだろうし。ただあっちだと、内装とか窓からの景色でいろいろ特定されかねないのがね……。

 だからダンジョン、それも人が滅多にいない下層以降でしか使えないの。凄く悲しい。

 いやまあ、贅沢を言っているのは分かってるんだけどさ。こんな便利なアイテム、他の配信者は持ってないんだから。獲得した経緯もかなり運というか、神の気まぐれ的なアレだし。

 だから使えるだけでも儲けもの。ないものねだりというか、できないことを夢想しても不毛なだけだ。


「──さて。セッティングはこんなもんでしょうかね。……ああ、ついでにアレだ。ちょっと離れて、景色と道具を見てみよっか」


 えーと、道具が良い感じに画角に入って、風景込みで一番映えそうな位置は……。


「……ここかな? ほら、どうよ?」


︰すっげぇぇぇぇぇ!

︰うおー。すっごい

︰おもくそ綺麗で草

︰これは熱いわ

︰見渡す限りの雪景色に、ポツンと存在するキャンプ用品。……アリです

︰びゅーてぃふぉー

︰なんて雄大な景色……

︰登山家じゃないと見れない絶景よな

︰VTuberとは思えない配信画面

︰大自然に比べれば、人間がどんだけちっぽけな存在かが良く分かるわー

︰絶景かな絶景かな

︰めっちゃ映えやん


 やっぱりこういう景色ってテンション上がるよね。ぼーっと景色を眺めるだけの配信とかも需要ありそう。下手するとモンスターが襲ってくるけど。……冗談。少しでも近づいてきたら分かるし、画面に映らない距離で斬り殺すから問題ないです。なんならいまもそうしてる。

 あー、でもアレか。モンスターを眺めるだけの配信とかも楽しそうだな。一般人には馴染みのない存在だし。ディスカバリーチャンネルみたいな感じで、ところどころ解説入れながら生態とかを垂れ流すのもアリかも?


「うし。んじゃ、料理パートといきますかね。せっかくのエクストリームキャンプ。それも極寒の世界の中で食べるものだからね。アッツアツのメニューを考えてきたのよ」


 もう十二月になるし、季節的にも温かい料理はマストだろう。そんなわけで、材料を出していきまーす。


「まず油。オリーブオイルね。で、ニンニク。いっぱい用意したよー。じゃがいも、ベーコン、玉ねぎ。薄力粉、牛乳、バター、チーズ。あとバゲット。それと調味料各種。……これで分かる人は分かるかな?」


︰あー、はいはい。完全に理解した

︰洋風なのは分かった

︰グラタンとかシチューかな?

︰あったかいやーつ

︰分からん

︰ニンニク沢山……ガーリックトーストか?

︰うわもう美味いやつやん!

︰分かる人凄いわ……

︰料理しないんで……

︰寒い時に食べたいやつやね

︰めっちゃシャレオツ

︰アカン腹減ってきた

︰外で食べるってだけで美味いんだよなぁ……

︰全然分からん


 うん。コメント欄に正解は何人かいたな。やっぱり材料言えば大体分かるか。……まあ、例に漏れず材料のいくつかはダンジョン食材なので、まだまだお楽しみはこれからってやつなのだが。

 ま、材料の細かい解説はあとで。料理の合間合間にしていく予定なので、ここではあえて語るまい。


「──てことで。今日はガーリックトーストとグラタン。これとインスタントコーヒーで優勝していくことにするわよ」


 ちなみにインスタントコーヒーはあえてのチョイスである。こういう時はインスタントの方が乙だから。キャンプとかしたことないけど、俺知ってる。チープさこそが輝くんだよきっと。











ーーー

あとがき


二月です。コミカライズ第一巻発売まで、もう少し。十日だから、ほぼ一週間かな?


てことで、予約などなどよろしくお願いします! 是非とも買ってぐたちい。

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