昔の小生が何故、あえてブラスロコではなく、せっせと中古のプラスティックロコを購入して改造していたかというと、何といっても工作が大好きだったのと、世界で唯一、自分だけのロコが保有できる喜びがあったからです。というのは真っ赤な嘘で、単に嫁からの厳しいブラス購入制限があったからです。
1990年、トレーニーとしてマイアミの業務提携先に赴任した小生は、当地の老舗ホビーショップ「オレンジブロッサムホビー」で、米国滞在の記念にと、日本型中古ブラスを1台だけ求めます。当時は何もわかっていませんでしたが、それはユナイテッドのUSRAパシフィックで、きれいにオーナーペインとされたものが220ドルでした。小生、その精密なつくりと滑るような走りに、すっかり魅力されてしまいます。で、1か月のうちに続けて2台の古い日本製中古ブラスを買ったのですが、その結果、嫁の激しい怒りを買って、長い論争の結果、ブラスは250ドル以下のものを年3台まで、という約束をさせられてしまいました。まあ、彼女にしてみれば、ダンナがどうみても同じ見た目の、高額なおもちゃを月に何台も買うわけですから、その怒りはしごくまっとうであって、仮に家庭裁判所に持ち込んでも、裁判官がよほど変わり者の趣味人でない限り、小生の敗訴でしょうね。
とはいえ、こちらにも言い分があって、そのときは、米国から帰国してしまったら、お手頃価格の日本製中古ブラスは二度と買えなくなってしまうと思っていたのです。その後まさか、天賞堂の4階に中古コーナーができて、米国型ロコが溢れたり(今はずいぶん少なくなりましたが、2000年代前半の出品数は凄かったです)、インターネットというものができて米国のネットショップから写真やビデオを見た上で模型を購入できたり、はてはヤフオクなどというものができて、個人間でお宝の売買でできるようになるなんて、夢にも思っていませんでした。
ともあれ、在米時、プラスティックロコは、購入制限の対象外でした。提携先での研修は1年で終わったのですが、その後赴任となったニューヨークで、週末に田舎町のトレインショーをまわって、改造のネタになる中古のプラロコを探すのは、実に楽しい時間でした。今回はその中でもゲテモノ中のゲテモノをご紹介しましょう。
 
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デジカメのなかった時代で、写真が残っていないので、画像をネットでお借りしたのですが、今回の元ネタは、D&RGWのケバケバしい塗装(ゴールドペイントスキームと呼ぶのでしょうか?)で塗られた、トゥエルブホイーラーです。メーカーはタイコ。こんな機関車は実在しないと思うのですが、同じ上回りの4-6-0があって、こちらはシエラ3号機という西部劇で有名な機関車をプロトタイプにしています。たぶん、4-6-0がヒットしたので、続編として4-8-0が発売されたのでしょうね。「同じ金型でラインエクステンションできるから、丸儲けじゃん。実物があるかないかなんて、多くの人は気にしないさ。やろうやろう」という、タイコ社における新製品企画会議の会話が聞こえてきそうなロコです。

 

 で、シリアスモデラーの小生としては(どこがやねん・・・)、冷静だったらこんなロコには決して手を出さないのですが、フリマでテンションが上がっていて、売り手のおっちゃんに、からかい半分にテストランしてもらったら、けっこうシャカシャカ走ったので、30ドルで購入してしまいました。とはいえ、でっかいカウキャチャーに巨大なキャブ(OOスケール、つまり1/76でつくられているようです)、薪を積んだデンダーという機関車、どう改造するか考えあぐねて、なかなか手がつけられなかったのですが、日本に戻ってから乾坤一擲、大改造に取り組みました。ここで紹介している改造ロコの中では、最も手間がかかっています。

 

 さて改造箇所は、フロントパイロット交換、キャブ高さ下げ、ドーム高さ下げ、フロントライト交換、空制化、石炭積みへの変更など。古典期がどこかの炭鉱線あたりで生き残った、という雰囲気にしました。ただし、ディカールは安直にも、マイクロスケールの、余ったユニオンパシフィックのものを貼ってしまってます。リッチなUPがこんなロコを使い続ける訳がありませんよねえ。そもそも実物構造に詳しい諸兄からみると、「あのねえ、この配管だと、このロコ、ブレーキが利かないよね」とか、「そもそもこの構造だと走らないよね」とかいわれそうです。まあ、そこは、鉄道模型のゆるーい楽しみ方、ということで、ご容赦ください。

 
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