(社説)兵庫県と立花氏 虚偽の発信 放置できぬ
虚偽や真偽不明の情報、誹謗(ひぼう)中傷を発信する行為は、けっして許されない。
死亡した前兵庫県議を巡りネットに虚偽の内容を投稿した立花孝志氏の責任は極めて重い。そして、そうした情報を拡散させないために何をすべきか、改めて考えたい。
斎藤元彦知事らが内部告発された兵庫県で、前県議の竹内英明氏が死亡したことを受け、立花氏は竹内氏について「県警からの継続的な任意の取り調べを受けていました」「明日逮捕される予定だったそうです」などと投稿した。
竹内氏は、疑惑解明のため県議会が設置した百条委員会の委員だった。県警本部長は県議会で「(竹内氏を)被疑者として任意の調べをしたこともなく、ましてや逮捕するといった話はない」と明言した。個別の捜査についての説明は異例で、事態の深刻さを踏まえての対応だろう。
立花氏は一部の投稿を削除し、謝罪の意を示したが、「竹内県議に対して何か申し訳ないなとかっていう感情は正直ない」とも語った。
昨秋の出直し知事選に、立花氏は斎藤氏を応援するとして立候補。竹内氏について「告発文書を作って(斎藤県政を)転覆させるようにした」などと主張した。
同僚県議によると、竹内氏は立花氏以外からもSNSを通じ様々な誹謗中傷にさらされる中、立花氏から来訪予告を受けた。おびえる家族を守りたいと県議を辞職。その後も中傷はやまず、つらさを周囲に漏らしていたという。
立花氏は、現職の国会議員を有する政治団体の代表だ。民意を代表すべき人物が虚偽の情報を流し、少なからぬ人が拡散する「ネットの暴力」の深刻さを改めて思う。
元宮崎県知事の東国原英夫氏は、竹内氏について「警察から事情聴取もされていたと聞く」と投稿。その後削除したが、断定しなければよい、間違ったら謝ればよいという姿勢は悪質な拡散に加担することにほかならない。
兵庫県警は、推測や臆測で人を傷つけるような書き込みをやめるよう呼びかけた。県議会と県庁も、それぞれの役割を果たす必要がある。
県議会は、百条委の報告書づくりが当面の課題だ。納得できる内容になるよう、審議を尽くしてほしい。
そして県庁、つまり斎藤知事である。竹内氏の死去後、会見で「心ない誹謗中傷はしないで」と呼びかけたが、立花氏の虚偽発信は許されないと語るべきだ。自身の知事再選に貢献した形となった氏の言動にどう対処するのか、見識が問われている。